ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「辛酸 田中正造足尾鉱毒事件」

城山 三郎 角川文庫 を読みました。

 

医師キャリア事件

 

田中正造足尾鉱毒事件。

教科書で見掛けましたね…(苦笑)。

 

この本も私のまだ読んでない本棚に

随分前からずっと保管されていたのですが、

なぜかふと読みたくなり

手を伸ばしてみた次第です。

 

毎日新聞を読んだり、

ニュースを見たりする中で、

今こそ本書を読むべきだ…と

深層心理で心に訴えてきたのかもしれませんね~。

 

さてこのテーマに城山三郎さんが

どんなスタンスで挑むのか?

城山作品ファンの私としては

その点も楽しみだったのですが、

完全に裏切られました。

 

別に悪い意味ではありません。

 

何と足尾鉱毒事件自体には

ほとんど触れておりません。

 

田中正造の名を知らしめたのは

間違いなく足尾鉱毒事件だと思うのですが、

本書はその後について書かれているのです。

 

二部構成になっており、

一部では足尾鉱毒事件の後に騒がれた

谷中村問題について。

 

二部では田中正造が亡くなった後に

その志を引き継いだ若者たちに

焦点を当てています。

 

田中正造の生い立ちや足尾鉱毒事件に

どう立ち向かったのかを学びたかった

私としては残念ではありましたが、

城山作品の意外性に舌を巻きながらも読み進めました。

 

いやはや足尾鉱毒事件ってのは、

事件そのものだけではなく

その後も国、県のひどい仕打ちが続いたのですね…。

 

田中正造の晩年から

死を迎えるまでの戦いは、

谷中村の住民と共に権力に対しての反抗でした。

 

明治維新以降、

我が国の富国強兵のイチ役を担った足尾銅山

 

それが鉱毒事件以来、

これほどに残酷で、悲惨で、

度重なる裁判紛争がありながらも、

まさに血も涙もない国、県の住民軽視。

 

いやそれどころか鉱毒事件を隠すかの如く、

現場をダムの中に沈めてしまうために

その候補地であった谷中村の住民を追い出す始末。

 

ここに携わった役人たちの残忍さ。

 

本人たちは命令の下に

動いていただけなのでしょうが、

人として許せない…という

感情が沸き上がりました。

 

衆議院議員であった田中正造が関わったから

世間からも注目され、

今でも記録が残されていますが、

もし住民運動だけであれば

確実に権力に握りつぶされ、

今ではすっかり忘れ去られているのでしょうね…。

 

日本初の公害と言われる

足尾鉱毒事件自体も実に酷いものでしたが、

何とこの公害を起こした企業は現代でも

大企業のまま生き残っているのですね…。

 

こんな企業を生き延びさせてしまう我が国…。

これでいいのか?と疑問に思います。

 

また当時の他の政治家は何をやってたんだ!

田中正造だけでなく、

他にも協力者がいれば

もっと良い解決策を打ち出せたのでないか?

という憤りもありますが、

それよりも酷い話しなのは、

現在でも、水質検査の結果、

降雨時の堆積場からの水質が

環境基準を超えていて、

2011年に発生した東北の震災時には、

渡良瀬川下流から

基準値を超える鉛が検出されるなど、

全く解決されていない事であります。

 

この責任は官僚にあるように思えます。

 

中央省庁、県、警察などが

事件を隠すために住民を迫害したとも言えますし、

結果的に現在でも影響が残るような

放置をした訳ですね。

 

責任逃れという目的だけは果たしましたが、

子孫に苦しみを残した事は間違いありません。

 

100年以上も前の事件ではありますが、

私たち国民は

絶対に忘れてはいけない史実だと思います。

 

そして現代でもこのような事が

各地で行われていますね。

 

権力は腐敗すると言われますが、

これは絶対的な真理なのでしょう。

 

田中正造や谷中村の住民たちが、

どのように権力と戦い、

自らを犠牲にしてきたのか。

 

現代社会に生きる我々も

知るべきだと思いました。

 

そうしないと同じような手法で

官僚どもにいい様に扱われてしまいます。

 

もっと語り継がれて良い

近代日本の恥部だという事を知りましたので、

またいずれ詳しく学びたいと思います。

 

おススメ度は ★★★★☆ と致します。

 

もっと分厚くなってもいいから、

それこそ公害がなぜ起きたのか?

その後、田中正造がどう動き、

地元住民がどのように歩んだのか…。

もっと詳しく述べて欲しかったです。

それが☆がひとつ足りない理由です。

 

でもホントこの事件は

反面教師としなければならない

近代日本の大きな事件だと思いました。

 

それでは、また…。

 

 

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