ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

油断!

 

おはようございます。

 

転職を検討している医師・看護師に

キャリアプランを提供している

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「油断!」 堺屋太一

日経ビジネス人文庫 を読みました。

 

医師キャリア油断

 

この本すごいっす。

メチャクチャ面白いっす。

 

この本は堺屋太一さんの

デビュー作なんですね。

 

全然知らなかったですけど…(苦笑)

しかも、1976年にはフジテレビで

ドラマ化もされたようです。

 

1973年に小説の第一稿は

書き上げられていたのですが、

現実世界で本物のオイルショックが発生した為、

不安を助長させないために出版を見送ったという

曰く付きの小説です。

 

石油危機が落ち着いた1975年に満を持して

第一稿に若干の修正をして出版をしたんだそうです。

 

30年も前の本とは思えません…。

 

JRが国鉄になっていたり、

携帯電話などが登場しないなどの点を除けば

現代でも充分に通用する内容です。

 

「中東からの石油輸入が制限されるようになった時に

 日本はどのような状況下に置かれるのかを書いた

 シミュレーション小説」

と、言われておりますが、

もうシュミレーションとか

そんな問題ではありません。

 

まるで事実なのではないかと思ってしまう程、

実にリアルに日本の危機を書いた小説であります。

 

その後、堺屋太一さんが

これだけ世に出ている訳ですから、

相当多くの方に読まれた本なのだろうと思いますが、

恥ずかしながら私は読んでおらず

2005年に日経ビジネス人文庫から出版された

文庫本を結構前に購入していたのですが、

でもすぐには読まずに置いてあって、

ひょんな事から読み始めた訳ですが、

あまりにも面白すぎて

あっという間に読み終えてしまいました。

 

このひょんな事…というのは、

震災以降、1年以上の時が経つのに

一向に復興は進んでいないと言われており、

また瓦礫の処理などは

自治体の協力を思うように得られていない中で、

余震はまだまだ続いてもいて、

新たな地震の予知もされている。

 

危機は続いている…な~んて事を考えていて、

ふとこの本の存在を思い出した訳であります。

 

このタイミングで読んでおいて

本当に良かったと思いました。

 

また、そもそも原子力発電というのは

資源を持たない日本が

あまりにも石油に依存し過ぎた中で、

そのリスクヘッジ的な意味合いもあったと思うんですね。

 

私は原発は廃止すべきだと思うし、

原子力に頼らない代替エネルギーの開発を

急ぐべきだと考えていますが、

世論に押されて代替エネルギー

開発される前に原発を廃止してしまい、

万が一中東からの石油輸入が滞ったら、

この小説にような事になるのではないかと

恐怖を感じました。

 

この当時と比較すれば

中東以外の輸入先も増えているでしょうし、

備蓄も進んではいると思うけど、

でも相当の割合で中東依存はしているだろうし、

備蓄も何年も耐えるほどにはないでしょう。

 

昔、何かの本で

「群衆とは責任を負わず、

 自制心を喪失しており、

 しかし大きな権力を持つ」

という言葉を読みましたが、

その通りだとは思います。

 

だからこそ盲目的にはなりたくないし、

とは言え自分自身も群衆の1人な訳ですし、

何の責任もないのだけれど、

それでも自制心を極力持ち、

意味のある発信をしたいとは考えています。

 

それでも原発は、廃止すべきだと思います。

 

だからこそエネルギー全体を考え、

リスクヘッジを考え、代替エネルギーを確保し、

その上で原発を廃止すべきだと考えます。

 

随分昔の本ではありますが、

全く色褪せていないこの本…。

 

原発などをどう考えるべきか?

闇雲に廃止を求めていいのか?

 

そんな事を考えている人には

是非読んで欲しい本です。

 

 

著者は…

「すべての危険の中で最も重要な危機は

 社会組織の崩壊である。」

と登場人物に述べさせており、

「日本の社会組織は、

 一般に考えられているよりもはるかに脆弱である。

 もともと、宗教的連帯を欠き、地域的共同体も薄く、

 戦後においては血縁的結束をも失った日本の社会は、

 核家族という最小社会単位と

 国家という最大社会単位との間には、

 企業=職場という毀れやすい社会組織以外に、

 ほとんど中間社会組織を持っていないからである。」

とも別の登場人物に述べさせています。

 

この点も今でも通用する話しだと思います。

実に様々な事を考えさせられます。

 

いつなんどき危機的な状況に陥るか

わからない時代だけに、

お奨めしたい良書です。

 

今回はお奨め度は初の ★★★★★ 星5つです。

それぐらい読み応えのある本でした。

 

それでは、また…。

 

 

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