ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

イノセント・ゲリラの祝祭

 

おはようございます。

 

医師、看護師の人生の転機でお役に立つ

転職・開業コンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

イノセント・ゲリラの祝祭

海堂尊 宝島社 を読みました。

 

医師ライフプランをベースにしたキャリアプラン

 

チーム・バチスタの栄光」、

ジーン・ワルツ」、

ナイチンゲールの沈黙」、

螺鈿迷宮」に続く

私にとっては5冊めの海堂作品。

 

今回もやられました…。

お・面白すぎる…。

この数日間、寝不足になりました。

 

それぐらいに次の展開が気になって、

気になって仕方がないくらいに面白かったです。

 

もう途中からは小説を読んでいるのか、

ノンフィクションを読んでいるのか、

わからなくなってしまいました…。

 

もちろんフィクションな訳ですが、

あまりにもリアリティがあり過ぎて、

現実にこういう事が

行われているんだろうなあ…と思ってしまう

すごい内容でした。

 

医療について

それなりに勉強をしてきたつもりの私ですが、

正直解剖とか、法医学とか、

エーアイなどについての知識は

ほとんどありません。

 

ですが、

そこに日本の医療の問題がありそうだというのは

何となくわかりますし、

著者がその辺りの問題意識を相当に持っている事は

過去の作品からもわかります。

 

そこに加えて今作品は官僚の世界、

官僚のロジックなどが描かれており、

思わず登場人物に本気で腹立たしくなってしまうくらいに

リアルに感じてしまいました。

 

いや~、

毎度海堂作品には驚かされるし、

学ばされるし、

そして何より面白くて仕方がないですが、

この作品は期待以上でしたね。

 

お奨め度は文句なく、

★★★★★ の満点です。

 

すでにお読みの方は多い事と思いますが、

まだの方はこれは手に取った方が

いいのではないかと感じました。

 

きっと海堂さんは様々なメッセージを

この小説に織り交ぜているのでしょうが、

私は下記の言葉を

登場人物に述べさせているのが気になりました。

 

「医療と司法の完全分離。

 それが僕の北極星です。」

 

う~ん、深い。

そして何となくわかるような気がします。

 

難しい事は私にはわかりませんが、

医療とは司法で裁けるものではないと思うんです。

 

司法が入り込めば入り込む程に、

医療はおかしなものになってしまうような気がしますし、

それは結果的に患者側である私達にも

マイナス要素が大きいと思います。

 

とは言え、

「(前略)本当は、司法と医療が

 互いに無関係に存在しうる社会なんてあり得ない。

 なぜなら医療は、人体のエラーを排除する仕組みなので

 社会生活に不可欠だし、

 司法は法律という社会の骨格を呈示し、

 社会自身のシステムエラーを是正するもの。

 どちらも人間社会にとっては

 本質的な構成要素なんですから」

と述べさせており、その上で、

「現状の濁りはあまりにもひどすぎる。

 社会正義の名の下に

 司法が守ろうとしているのはひとびとの幸福ではなく、

 自らのシステムの整合性と

 飽くなき拡張原則なんですから」

とあり、

「診断名は官僚という悪性腫瘍の転移増殖、

 田口先生への依頼はその治療の一環です」

とも言わせ、

「腫瘍の定義は、

 制御を受けない無制限の自律性増殖ですからね。

 外部の制御機構が外れた、

 今の官僚の振る舞いそのものでしょ」

と官僚に関して痛烈に批判をしています。

 

この一連の下りは実に考えさせれました。

 

医療問題も然りですが、

震災の復興処理然り、

原発への対応然り、

官僚の存在そのものが、

現代の日本社会が抱える

様々な問題の根っことなっているように

感じるケースが多いです。

 

日本という国が、

ここまでの国になれたのは官僚の力も

大きかったのでしょう。

 

ですが、バブル崩壊以降の経済不振が始まってからは

官僚とは国民の敵のような存在に

なってしまっているように思います。

 

もちろん、そんな中でも必死に国を思い、

国民の為に働いている官僚もいると信じたいですが、

果たしてどうなのでしょうか…。

 

別に官僚に限らず、

東京電力

大手マスコミなど

民間企業でも

官僚的な体質を持つ組織は

国民の敵になりつつあるのではないかとも思います。

 

そもそも私達が民主党に政権を取らせたのは、

官僚の好き勝手にさせないだろうという

期待があったのだと思いますが、

残念ながら実現はできませんでした。

 

あらゆる所で今、

日本のシステムが、

ルールが疲弊し、

現状のままではいけないというレベルにまで

達したのではないかと思います。

 

司法の問題もそうですが、

一旦ここでシステムやルールを

変えなければいけないのではないかと思うんです。

 

だからこそ、

日本維新の会に期待が集まっているのでしょうね。

彼らはできるかどうかは別として、

新たなシステムを作ろうとしているのですから。

 

ちょっと読後の感想からズレてしまいましたが、

こんな事を考えるきっかけになる本でした。

 

その後、話しは進みクライマックスを迎えます。

 

もうこの辺りになると

読まずにはいられないくらいの状況になります。

 

眠い目をこすりつつ読みきりました(笑)

 

そして…

「たとえ国家は滅びても医療は必ず残る。

 医療とは人々の願いであり、

 社会に咲いた大輪の花なんです」

という所まで進みます。

 

医療費亡国論なんてものを発表した

バカな官僚が笑えてきます。

 

私はそんな官僚よりも

余程この本に書かれている事の方を

支持したくなりました。

 

あまり内容を書き過ぎるのも、

良くありませんので、

この辺りで終えますね。

 

今までの人生の中で

何万冊という本を読んできましたが、

この本はベストスリーに入るくらいに面白かったです。

 

さて、次の海堂作品は何を読もうかな?

今から楽しみです。

 

それでは、また…。

 

 

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