おはようございます。
医師、看護師の人生の転機でお役に立つ
転職・開業コンサルタントの
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「転職は1億円損をする」
石渡嶺司 角川oneテーマ21 を読みました。
人様の転職を
ご支援させて頂く仕事をしている私としては、
仮に内容が我々業界に手厳しくても、
できるだけ転職関連の本は読むようにしています。
この本も、このタイトルからして、
ある程度予想はできたのですが、
良くも悪くも
これだけのタイトルを付けているのですから、
読む価値はあるかなと思いました。
まずは目次からご紹介します。
はじめに 転職すれば人生は変わる!
-望まない方向に
序 章 転職で人生をムダにした!
-早期退職者の大失敗
第1章 転職は1億円損をする
-定年退職組と転職組の損得勘定
第2章 10分でわかる人材ビジネスのカラクリ
-転職市場はこうして儲ける
第3章 転職があおられるカラクリ
-四兆円ビジネスは焼き畑農業だった
第4章 間違いだらけの転職観
-だから転職希望者はカモになる
第5章 転職サバイバル!
-それでも転職したい人のために
となっています。
え~、読後の感想ですが、
あんまり批判したくないんですけど、
非常に残念な本でしたと言わざるを得ません。
早期退職(新卒1~2年)はしない方が良いという点、
転職は慎重にすべきだよという点、
この2点に関しては共感します。
ですが、それ以外は何とも…(苦笑)
まず転職を
損得だけで見るという事に疑問があります。
昨今は望まない転職を
せざるを得ない方も多いと思うんですね。
リストラは相変わらず盛んですし、
企業からの早期退職募集に応募した方も少なくないでしょう。
中には悪質な肩たたきのようなケースもあると思います。
損得よりも、
とにかく仕事を探さなきゃいけない方に対して、
あまりにもなタイトルです。
また、この1億円の根拠も
非常に心許ないと言わざるを得ません。
他のブログでも
この本の感想で同じ指摘をしている方もいましたが、
正直かなり無理があるなあと思いました。
とにもかくにも、
このタイトルが付けたくて
このタイトルに合致しない事象には目をつぶり、
合致する事だけ大げさに取り上げるという
スタンスのように感じました。
人材ビジネスに関しても、
非常に厳しい見方をしています。
その一部は
真摯に受け止めなければならない箇所もありますが、
明らかに事実と違う箇所もあり、
その点は非常に残念でした。
右肩上がりの時代は
転職など考える必要もありませんでした。
だって普通にやり過ごしてさえいれば、
昨年よりは今年、今年よりは来年の方が
大概給料は上がっていった訳ですし、
それは基本的に定年を迎えるまで続いていたのです。
サラリーマンは気楽な稼業と~という時代ですね。
昨今のように、
いつリストラ対象になるかわからないとか、
中高年に差し掛かる頃には
給与が下がっていくような時代とは
完全に一線を課します。
なのに、著者は右肩上がりの時代を前提に
書かれているようです。
これでは真に受けてしまった人こそ
大損しそうです。
退職金制度がない会社など
世にゴマンとあります。
それなのに1億円損をするの内訳では
退職金が当たり前のように書かれています。
これはどうなのでしょうね…。
安易な転職は反対ですという事は
当ブログでも何度か書いていますが、
その点だけは心から同意します。
まして社会人になって
1年や2年で転職してしまう事は、
余程の事がない限りしない方が良いでしょう。
ブラック企業とかね…。
しかし、この本では
人材会社のコンサルタントにとっては
こういう方々も売り物商品な訳で、
人材会社の行き過ぎた広告宣伝が
安易な転職を助長しているように書かれてもいます。
う~ん、ここまで書かれると
反論のひとつもしたくなります…。
まあグッと抑えますが(苦笑)、
正直ミスリードをしている本だと思います。
一部の大企業に入社した
1~2年めの若手社員が読む本ですね。
それ以外の方には向かないと思います。
あまりにも時代錯誤ですから…。
挙げ句の果てには
転職詐欺や一部のジョブホッパーに
話しを転化させていきます。
詐欺って…と思って読むと、
それを転職詐欺って言うのか?と思う内容ですし、
ジョブホッパーなんて
転職で1億円損するかどうかという問題とは
程遠いですよね。
転職しようとしている方の事情は
千差万別です。
それを無理矢理一括りにしようとするから、
このような誤った内容になってしまうのだと思います。
お奨め度 ★☆☆☆☆ とさせて頂きます。
1人1人にはそれぞれの事情があります。
よって転職には
転職希望者の数だけ形があるのだとも思います。
そういった個人の事情と
日本経済や業界の盛衰など、
ミクロとマクロを複合的に考えなければなりません。
タイトルありきの本は本質を見失いますね。
とても残念です…。
それでは、また…。
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