おはようございます。
医師、看護師の人生の転機でお役に立つ
転職コンサルタント歴13年の
ジーネット株式会社の小野勝広です。
<「医療否定」は患者にとって幸せか>
村田幸生 祥伝社 を読みました。
最近は医療を否定する本が売れていますね。
しかも医師自身がそれを書いており、
ん~どうなんだろうなあ?と
率直な疑問を持っています。
代表的なのは、
少し前にブログにも書きましたが、
近藤誠先生の
「医者に殺されない47の心得」ですね。
https://gnet-doctor.com/blog/archives/3608
今回読んだこの本は著者が、
<2000年代に入って言われ始めた
「医療崩壊」は
その後もまったく改善されないまま、
世の中はついに「医療否定」ブームに
突入してしまったかのようだ。
しかしこの「高齢者には何もするな」
「医療とかかわるな」
「自然にまかせる」ことが、
本当に患者さんの幸せにつながるのだろうか。
現場の医師としては、
それが机上の空論のように聞こえてしかたがないのだ。
それに一歩間違えれば、寝たきり、
病気の高齢者は、
もう生きている意味がないという方向に流れそうな
危うさを感じるのはわたしだけだろうか>
という疑問を持ったところから
スタートしています。
タイトルからは、
医療否定本に対する
カウンターパンチのようなイメージを持ちますが、
決してそれだけではありません。
一部は、医学的な見地から
反論や異論を唱えている部分もあります。
ただ、著者はそれを目的としているのではなく、
<ぜひ、もう1度冷静に、
「高齢者が治療を受ける意味」
「長生きする意味」
「人間の長い人生の意味」について
ゆっくり考えていただきたい>
と言っています。
医療否定本と真正面から戦うのではなく
本質を見つめ直そうという本です。
よって、非常に考えさせられる
テーマが多かったです。
きっと、医療否定に辟易としている医師や
怒りに近い感情を持っている医師は、
この本を読むと溜飲を下げ、
こちらの方が医療の奥深さを捉えていると
思われるのではないでしょうか?
そして、最もこの本を読んで頂きたいのは
医療否定本を読んで、感心し、
信じてしまっている、一般の方です。
医療否定本に書かれている事を
頭から否定するつもりは私にはありませんが、
できるならこの本を読んで、
その上で医療否定本に書かれている事を
実行に移すのかどうかを考えて頂きたいです。
きっとその価値はあると思います。
人間は流されやすいものですが、
冷静な判断力を持っていると思うのです。
その冷静な判断をする為には、
この本は大変役立つのではないかと思いました。
最後に目次をご紹介します。
第1章 なぜ、ここまで「医療」が嫌われるのか?
-「老い」「病」「死」が想定できていない日本人
第2章 なぜ真逆の「医療常識」が、まかり通るのか?
-長寿食、血圧、コレステロールに関する医者の見解
第3章 なぜ人は、病院で死ぬと怒るのか?
-「理想の最期」と現実との大きすぎる乖離
第4章 「説明責任」と「同意書」が医療を壊す
-医者と患者の関係は、いかにあるべきか
第5章 「抗がん剤」は本当に無意味なのか?
-誤解される効果と目的、かみあわない議論
第6章 高齢者の胃瘻は本当に意味がないのか?
-「平穏死礼賛」に対する六つの疑問
お奨め度は ★★★★★ と満点と致します。
できる事なら、
この本も冒頭にご紹介した本と同じくらいに
売れてほしいなと思いました。
そういうバランス感覚が
良い医療を受ける為には必要ではないかと
思うのです。
わかりやすくてとても良い本ですよ。
それでは、また…。
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