ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

「命の値段」はいくらなのか? ”国民皆保険” 崩壊で変わる医療

 

おはようございます。

 

医師の転職、開業をご支援する

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

『「命の値段」はいくらなのか? 

 -”国民皆保険”崩壊で変わる医療 』 

真野 俊樹 角川oneテーマ21 を読みました。

 

国民皆保険崩壊 医師キャリア

 

著者は、名古屋大学医学部卒で、

医師であり、医学博士であり、

そして経済学の博士でもあると…。

 

世の中にはホントにスゴイ人がいるもんですね。

医師であり、弁護士でもあるというような方も

スゴイなあと素直に思いますが、

医師でありながらも経済学を学ぶという

その発想がスゴイです。

 

しかもMBAもお持ちになり、

臨床医を経た上で、

コーネル大学の医学部で研究員となり、

その後、製薬企業のマネジメントに携わり、

大和総研主任研究員などを経て、

医療・介護ソリューション研究所所長・教授。

 

ん~、自分を思うと落ち込みます…(苦笑)。

 

さて本書ですが、

上記のようなご経歴の方が書く訳ですから

勉強にならない訳はない(笑)。

 

まずは我々が当たり前のように思ってしまっている

国民皆保険制度について。

 

著者はこのままではいずれ崩壊するだろうと

お考えではありますが、

これは国家の財政がこれだけ悪化しているので

致し方ないのでしょうが、

そもそもなぜ国民皆保険制度が立ちあがったのか?

どういうメリットがあったのかを

非常にわかりやすく書いてくれています。

 

モンスター化している患者たちや

救急車をタクシー代わりに利用している人、

空いているからと夜間診療を利用したり、

かかりつけ医を持たずに大病院を受診する人、

寿命の存在を認める事ができない人などには

是非とも読んで頂きたいと思いました。

 

それくらいに国民皆保険制度は優れた制度で

本来は我々自身がもっと大切にしていかねば

ならなかったのでしょうし、

高齢化が進む、医療の形が変わる中で、

どういう医療が必要なのか?という国民的議論が

巻き起こらねばならなかったのでしょう。

 

小手先で誤魔化してきた厚労省

追求しなかったマスコミ、

そして当たり前のものになってしまい

わがまま放題になってしまった我々自身も

大いに反省しなければならないと思います。

 

医療費は無償ではなく、

有限の資産である訳ですからね…。

 

さて残念ながら我々の医療費負担は

益々増えてきております。

 

著者は現在享受している医療サービスの何を守り、

何を合理的に省くべきなのかを問うていますが、

アメリカの医療は日本には合わないと思うし、

スウェーデンの医療まで行き着くには

あと何十年も掛かってしまうと思うし、

やはり我々自身が

自らの力で日本の医療を

再構築せねばならないのだと思います。

 

ですが財政はもう待ったなしであり、

消費税の増税

結局何に使われているのかわからず、

税負担ばかり重くなって

社会保障負担も重くなって

結局は何ら国民には還元されていないと思うのです。

 

このままでは国民皆保険制度は

近い将来に抜本的なテコ入れとなる事でしょう。

となると、一部のお金に余裕がある方以外は

今ほど気軽に医療機関には掛かれなくなります。

 

さてどうするか?

著者は、

「日本の今後の医療制度が

 現在より良くなることはありえない。」

と述べており、

「予防についての自己責任の徹底」

を制度化せざるを得ないだろうとも述べています。

 

要は病気にならない。

多くの国民が病気にならなければ

医療費は大幅に減る。

 

こういう事ですよね。

でも病気にならない為には、

禁煙をして、健康的な食事をして、

適度な運動をする。

 

さてどこまでできるのか?

 

しかしこれは我々1人1人の

自衛手段でもある訳ですね。

 

国民皆保険制度が崩壊すれば

病気になんてなってられないんです。

本書を読んでこんな事を考えさせられました。

 

最後に目次をご紹介します。

 

序章 あなたの「命の値段」はいくらなのか?

第1章 高額化する医療

第2章 壊れる国民皆保険

第3章 医療政策を変える経済学

第4章 日本と対極の国・スウェーデン

第5章 私たちはどのように長生きすればよいのか

 

と、このようになっています。

 

人の命は地球よりも重いと言われていました。

現在はどうでしょうか?

 

著者は、

「人の命は地球よりも軽くなったかもしれない。

 1年の延命は460万円の価値(値段)しかないかもしれない。

 しかし、その1年あるいは一生涯で行ってきたことの価値は

 地球より重いことは間違いないのではなかろうか」

と締めくくっています。

 

医療と経済。

こういう視点での学びも

益々必要不可欠になっていくのでしょうね。

 

おススメ度は ★★★★☆ と致します。

 

それでは、また…。

 

 

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