おはようございます。
医師、看護師の人生の転機でお役に立つ
転職コンサルタント歴13年の
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「歌うクジラ」
村上 龍 講談社文庫 を読みました。
私にとっては
最も好きな作家である
村上龍さん…。
本作品も非常に楽しみに読み始めたのですが…。
えっと、大の村上龍ファンの私ですら
ん?ん?と思ってしまった当作品…。
正直に申し上げると、
いわゆる村上龍テイストが
炸裂している箇所もあり、
龍さん、さすがだぜ!と
思うところもあるんだけど、
ちょっと行き過ぎというか、
ぶっちゃけ読みにくい箇所もあり、
SF的な要素も満載なんだけど
村上龍作品にそれはあんまり求めてないし、
100年先の未来を描いているのはわかるけど
どうも臨場感が湧かなくて
何となくいかにも物語を作りました的な感じが
してしまったんですね。
他の人は
この作品をどう評価したのかが
とても気になったので
アマゾンの評価を見てみたら、
案の定の賛否両論…。
う~ん、この作品はかなり好き嫌いが
分かれてしまいそうですね…。
それでも毎日芸術賞を受賞していたりするので
わかる人にはわかる…という事なのでしょうか。
まあそうは言っても龍さんの言葉には
唸らせられる部分があります。
本作品では
私は下記の2箇所がグッときましたので
ご紹介します。
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直立二足歩行をはじめた
わたしたちの遠い祖先の
平均的な寿命は二十歳前後だった。
農耕がはじまり規則的な食事が可能になり
国家が誕生して
社会と個人に規律と規範ができて
平均寿命は十年ほど長くなり、
産業革命と近代初期の医学の発達で
さらに十年ほど延びた。
そして偉大な発明が続いた。
最初の人工臓器である
入れ歯と体温計と光学顕微鏡だ。
原始時代において歯がなくなるのは
死期が近いことを意味したが、
入れ歯がその伝統を変えてしまった。
体温計が病という概念を浸透させ
治療が祈祷から薬と手術に変わった。
次に電子顕微鏡の発明によって
遺伝子が発見されて平均寿命は
さらに数十年長くなり、
宇宙空間の無重力を利用することで
さらに数十年延びた。
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いかがでしょうか?
科学的には正確ではないかもしれませんが、
人類の歴史をこれ以上ないくらいに
簡潔に説明しているように感じました。
これは科学者にはできず、
小説家だからこその
スキルではないかと思いました。
最後の一文は
小説の中の未来像なので
さあ果たして?ってなところですけどね。
それともうひとつが、
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生きる上で意味を持つのは、
他人との出会いだけだ。
そして移動しなければ出会いはない。
移動が、すべてを生み出すのだ。
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出会い、そして移動…。
ここは考えさせられました。
確かに私たちは日々誰かと出会い、
日々目的があろうがなかろうが移動している。
移動自体に意味は大してないけど、
移動するからこそ新たな出会いがあり、
出会いが何かを生み出していく。
生きる意味をとてもわかりやすく
教えてくれているように思いました。
冒頭に書きましたように
作品全体としては高評価はできないですが
村上龍さんならではの刺激は
しっかりと頂きました。
おススメ度は ★★★☆☆ と致します。
それでは、また…。
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