おはようございます。
人の生死を目の前にして平静を保ち、
病気や怪我で苦しむ患者を助ける医療従事者だからこそ
医療以外の分野のサポートはお任せ下さいと言いたい
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「命は誰のものか」
香川 知晶 ディスカヴァー携書 を読みました。
ひと言で言うならスゲー本です。
最初に申し上げますが、
おススメ度は ★★★★★ と満点とします。
まずは目次からご覧下さい。
第1章 あなたは、薬や医療設備が足りないとき、
治療する人を選んでもいいと思いますか?
あなたなら、誰を選びますか?
-生命倫理、最初の問題
第2章 あなたは、生まれてきた子に重い障害が
あったとしたら、治療に同意しますか?
そのまま死なせますか?
-障害新生児の治療停止
第3章 あなたは、生まれてくる子どもに
障害があるとわかったとき、
その子を産みますか?
-「不幸な子どもを産まない運動」と
「間違った命」訴訟
第4章 あなたは、代理出産を依頼しようと
思いますか?
ー生殖技術の展開と自然主義vs契約主義
第5章 あなたは、自分の子ども同士の臓器移植を
決めることができますか?
-自己決定と子どもの権利
第6章 あなたは、治る見込みはないのに、
生かし続けられることを望みますか?
-カリフォルニア自然死法とクインラン事件
第7章 あなたは、家族が治る見込みがないとき、
人工呼吸器を取り外すことに同意しますか?
第8章 あなたは、「脳死」は人の死だと思いますか?
-「遅れた日本」と臓器移植法成立の意味
第9章 あなたは、臓器を提供しますか?
-臓器不足をめぐる問題
第10章 あなたの命は誰のものですか?
ー医療技術の進歩と人間の生命
いかがでしょうか?
数十年前までは死というものは身近にあり、
じいちゃんやばあちゃんが亡くなるのを
自宅で看取る時代がありました。
きっとその頃に子供だった人たちも
子供ながらに死というものに向き合い、
じいちゃんがいなくなった日、
ばあちゃんを失った日として
強烈な記憶として
刻まれているのではないかと思います。
その後、死を迎えるのは自宅から病院に移り、
一般人にとって
死は遠いものになってしまいました。
言い方を変えれば、
死を医療者に
丸投げしてきたとも言えるでしょう。
財政の問題で
昨今は入院から在宅へという
流れが加速していますが、
もしかしたら
もう1度死が近いものになってきて
私たちの倫理観も変わってくるのかもしれません。
そんな事を考えていた私にとって、
本書はまさに学びたい内容が満載でした。
生命倫理、医療倫理。
私たちが医療者に丸投げしてきた問題が、
医療があまりにも進化してきた為に
法的な問題も含めて、
国家として、人として、
どうすべきか、
考えていかねばならなくなっています。
医師を中心として、
弁護士や行政なども含めて、
我々一般人もその議論に加わり、
生命ってなんだ?
人とはなんだ?
どこまで許していいのか?という問いに
答えを見い出していかねばならないと思うのです。
しかしあまりにも
そういった倫理を学ぶ機会が少な過ぎる…。
私は多くの医師や看護師と出会ってきて、
生命に対して考えるようになりました。
そして生命倫理について
学びたいとも思うようになりました。
本書は
その入門書としては最適であると思います。
私のように医療を勉強している人にとっては
必読の書とも言えるでしょう。
これから医療職を目指す方、
若手の医療従事者にとっても良い本だと思います。
生命について物凄く考えさせられました。
医療の進歩が新たな倫理観を求める。
そんな感じなのでしょうか。
私たち1人1人が深く、深く、
そして考え続けていかねばならないと思います。
難しい問題をわかりやすく、
歴史的な経緯や法的な問題も含めて、
あるひとつの考え方に無理に導こうともせずに、
フラットでスクエアに
丁寧に知識を授けてくれる。
本書はそんな素晴らしい本と認識しました。
おススメします。
それでは、また…。
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