ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

55歳からのハローライフ

 

おはようございます。

 

医師の転職・開業相談を

オーダーメードで5年、10年先を見据えて行う

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「55歳からのハローライフ」

村上 龍 幻冬舎文庫 を読みました。

 

医師転職ハローワーク

 

何故だかわかりませんが、

大好きな村上龍さんの本にも関わらず

本書には手が出せなかったんですね。

 

まだまだ50代は遠いという

個人的な強がりなのか、

何となく希望よりも失望の方が

大きそうな内容を想像してしまったからなのか、

55歳という言葉に

下り坂を感じてしまったからなのか、

なぜかはわかりませんが、

随分前に本書を買ったにも関わらず

どうしても読む気にはなれなかったのです。

 

そしてこれまたなぜかはわかりませんが、

ふとまだ読んでいない本が置かれている

本棚を見ていた時に何となく目に入りました。

 

こういう偶然的な要素には

何かそうすべきという

神の導きのようなものを感じたのでしょうか。

 

ついに読み始めた次第です。

 

村上龍という作家の物語を生み出す能力、

それはヒシヒシと感じました。

 

さすがだなあ龍さん…と思いながら読みました。

 

ただし5編の中編小説に登場する主人公たちは

決して幸せな人生を歩んでいる訳ではなく、

むしろ不幸を前にして戸惑い、嘆き、悲しみ、

そして苦しんでいます。

 

正直、読むのが苦痛でした。

定年後、老後を迎えた主人公たちが

それぞれ苦難を迎える…。

 

そこには夢も希望もありません。

 

あるのは現実だけです。

目の前に現れた現実に翻弄されながらも

決して上手く立ち回る訳でもなく、

ただただ現実に向き合うだけ…。

 

何だか辛くて途中で読むのを止めようかと

何度も思いました。

 

しかし止めなかったのは、

これが小説とは思えず、

まるで実話のようで

圧倒的なリアリズムを感じたからであります。

 

まさに止めるに止めれないという状態でした。

 

読後もスッキリした感じはなく、

達成感や満足感、充実感はありません。

 

徹底的に主人公に寄り添い、

ありのままの現実を描写していますので

そこには嘘のような希望はなく、

奇跡のような解決がある訳でもなく、

困難を乗り切ったシーンもありません。

 

あるのは現実だけなのです。

 

身内に1人くらいは

こんなケースに直面している人がいるかも…という、

リアルなストーリーが展開されるだけです。

 

バブル崩壊から始まり、

失われた10年リーマンショック

日本経済は輝きを失い、我が国の国力は

右肩下がりと言わざるを得ない時代です。

 

医療を始めとする

社会保障に回す財源にも余裕はなく、

国民の自己負担の割合を上げざるを得ない。

 

人に優しくとか、

人を許すとか、

そんな事よりも否定、非難、批判をして

引きずりおろすような風潮も強くなっています。

 

こんな時代に来年は良くなるとか、

もっと夢や希望を持とうとか、

そういうアナウンスをされても

素直に頷けないのは当然でしょうし、

現代社会は「不安」が蔓延していて

誰もその不安を解消できないのかもしれません。

 

そして不安の中身は漠然としていて、

何となく不安なだけであり

その実態は

よくわかっていないのではないでしょうか?

 

村上龍さんが何を目的に、

どんな思いで本書を書いたのかはわかりませんが、

私は「不安」の実態を明らかにして、

日常生活における不安の事例を提供する事で、

不安と向き合う事を怖がるな…

そんなアナウンスがあるように感じました。

 

確かに今の日本には

急成長を遂げていた頃の勢いや

希望、夢はありません。

 

ですが少なくとも

それなりな安定、安心、安全は確保されている訳で、

そう悲観する事もないようにも思います。

 

まして日常生活においての危機は

100年、200年前と比較すればないに等しいですよね。

 

不安が的中し多くの人が死に至るような事態は

可能性として高くはありませんし、

過去の歴史を振り返ってみても

自然災害や戦争などは何度も何度も起きていて

その被害はとてつもなく大きく、

現代よりも不安は確実に大きかったと思うのです。

 

だからこそ不安の事例を提供する事で、

我々1人1人がまだまだできる、

もっと粘れる、より頑張れる、

そう思えるようなモチベーションを

社会に与えたかったのかな。

そんな事を考えました。

 

不安感を強く持っても不安は消えませんよね。

不安に立ち向かい、乗り越える事でしか

解消できないと思うんですね。

 

こうならないように頑張るとか、

このレベルが不安の姿ならまだまだ行けるとか、

そんな思いを抱かせるような内容…

と私は勝手に解釈しました。

 

最後に目次をご紹介します。

 

・結婚相談所

・空を飛ぶ夢をもう1度

・キャンピングカー

・ペットロス

・トラベルヘルパー

 

おススメ度は ★★★★☆ と致します。

 

ライフプランやキャリアプランを考えようと

いつも提唱している当ブログですが、

考えようによっては

本書にはなぜそれが必要なのか?が

書かれているように感じました。

 

反面教師的な意味合いですが…。

 

それでは、また…。

 

 

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