おはようございます。
医師に転職や開業の有益な情報提供をしている
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』
山田 昌弘 筑摩書房 を読みました。
ひと言で申し上げますと、
物凄いリアリズム…
そして真実味を与え、
心底納得させるだけの綿密なデータ、
取材、視野の広さ…。
社会を冷静かつ客観的に分析し、
未来ある若者に対して
シビアな現実と
場合によっては絶望を与えるけれども
希望への戦略のヒントも与えつつ、
社会的な提言を行う本書…。
正直、読んでいて
辛い部分も多かったですが、
これが現実、
現代日本が抱える大問題…。
「選択肢が広がった事により、
リスクが個人に降りかかるようになり、
職業、家族、教育の中で二極化が生じている。」
敢えて簡潔にひと言で申し上げるなら、
ここに集約されるのではないかと思います。
リスクが普遍化した事により、
二極化が広がった…。
そして最大の問題は心理面だと指摘し、
若者が希望を持てなくなった…と。
希望すらも二極化してしまった…と。
ふむ…、確かにそういう側面はありますし、
おそらく周囲にそんな人の1人や2人、
心当たりがある方も多いとも思います。
戦後の安定社会から、
現代に至るまでの経済、政治、行政の変化を
歴史的に的確に捉えており、
それこそ私世代(40代後半)くらいの方は
頷く部分が多い事でしょう。
現代日本社会に対して、
少しでも関心があるなら本書は手に取るべきです。
特に子供を持つ親にとっては
必読の書と言えます。
私たちが生きてきた時代とは全く違うんです。
私たちが大人になるに連れて学んできた
ノウハウや知識は完全に通用しないんです。
子供たちに
私たち親世代の価値観を押し付けても
彼らは現実としてそれを理解できません。
なぜなら理解に近づく機会など存在しないし、
彼らにとっての未来は
夢も希望もないからです。
そしてそんな社会にしたのは我々大人たちであって、
彼らにとっては我々は疎まれる存在であり、
そんな存在の我々が押し付ける価値観など
有難迷惑以外の何物でもない訳です。
まず我々大人たちが我々の時代とは全く違う
現代社会の現実を素直に受け止めて、
子供たちにするアドバイスの中身を
変えなければなりません。
子供たちは現代社会しか知りませんが、
我々大人たちは今まで生きてきた
時代の流れを知っています。
これは確実なアドバンテージです。
ただ経験を基にして現代社会を見るのは危険です。
それでは価値観の変遷を本当の意味で
理解する事ができないように思います。
我々が変わらないと
子供たちの未来が変わりません。
変わる為には知る事です。
本書はそういった意味を込めて
子供を持つ親にとっての
必読の書と私は感じました。
目次をご紹介します。
1、不安定化する社会の中で
2、リスク化する日本社会
ー現代のリスクの特徴
3、二極化する日本社会
ー引き裂かれる社会
4、戦後安定社会の構造
ー安心社会の形成と条件
5、職業の不安定化
ーニューエコノミーのもたらすもの
6、家族の不安定化
-ライフコースが予測不可能となる
7、教育の不安定化
-パイプラインの機能不全
8、希望の喪失
-リスクからの逃走
9、いまなにができるのか、すべきなのか
おススメ度は ★★★★★ と満点と致します。
最後に本書は
人材紹介事業に携わる方々にとっても
必読であると思います。
なぜか私のブログは同業の方も、
それなりにお読みになって下さっているようですので、
この本は絶賛おススメします。
あなたが真の紹介事業、
キャリアカウンセリングや
丁寧なコンサルティングも含めての
本当に役立つ転職支援をしたいなら
本書に書かれている事は
絶対に必要な知識です。
ま、求人案内だけの偽物紹介業で満足なら
まったく不要ですけどね…。
それでは、また…。
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