ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

最強の地域医療

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「最強の地域医療」

村上 智彦 ベスト新書 を読みました。

 

医師転職地域医療

 

 

まずは著者である村上先生に

ご冥福をお祈りいたします。

 

すでにニュースでも取り上げられていますし、

SNSでも精力的に活動されていた

村上先生ですから

ご存知の方も多いのでしょうね。

 

私自身もお目に掛かった事はないのですが、

実はfacebookでは繋がって頂いており、

ほんの少しですが

メッセージのやり取りをさせて頂いてもいます。

 

また以前に医療にたかるなという著書も読ませて頂き、

非常に感銘を受けておりました。

 

そんな村上先生が

5月11日に56歳でお亡くなりになった…。

 

今でもfacebook上では、

村上先生の仲間たち、

支援者が投稿をされているのを見て、

こんなにも多くの人に慕われていたんだ…と

驚きとともに

医療を大事に思う日本国民の1人として

頭が下がる思いです。

 

本書は2017年4月に発行されたばかりで、

おそらく闘病の中でお書きになられたのでしょう。

 

まさに遺書と言いますか、

村上先生の遺言のような位置づけの本であります。

 

読み終えて、

こうしてブログを書きながら、

村上智彦という1人の医師が、

何を考え、何を行い、何を実現したかったのか…

しみじみと心に刻みつけながら

まさに合掌の思いなのであります。

 

そして村上先生の思いを受け継ぎ、

地域医療に邁進する方々が多いという現実にも

心からのエールを送りたいと思うのです。

 

医療関係者なら本書を読むべき…なんてものではなく、

それこそ日本人なら本書を読むべきと言っても

過言ではない「公」の思いがここにはあります。

 

それは私たちが経済成長こそ

我が国の生きる道と信じて

わき目もふらずに生きてきて、

いつの間にやら成長が鈍化して

社会に歪みが見えてきて、

その望ましくない現状や

弊害と闘ってきた人間だからこそ言える

魂の叫びではないかと思うんです。

 

それは例えば…

 

「嫌なことに背を向けたり、蓋をするのではなく、

 死の教育等で積極的に若いうちから

 機会があるごとに死ぬことを意識しないと、

 よく生きることも忘れてしまうように思えます。

 

 世界一高齢化が進み、

 多死社会になる日本ですが、

 医療機関が未だに死を敗北と捉えているから

 緩和ケアも遅れているし、

 受容もできないように思えます。

 

 医療はある程度の病気は治せますが、

 老化や障害には案外無力ですし、

 今のところ寿命と戦っても勝ち目はありません。」

 

このような真理を述べる点に

現れていると思います。

 

モンスターペイシェントなどが生まれてしまうのは

医療を知らなすぎるからだと思うんですね。

 

死の教育どころか、

人って何だろう?という哲学だったり、

倫理観から教育せねばならないと思います。

 

また地域包括ケアの中における医師の役割としては…

 

「特に「全人的な医療をやる医師」というのは、

 とても立派なのですが、

 一見システムが上手くいっていても、

 その人がいなくなったら機能しないのであれば

 失敗だと思います。

 地域包括ケアや他職種連携においては、

 はっきり言って邪魔になります。

 

 医師が患者に寄り添うというより、

 偉いままでいてもいいから

 できるだけ口や手を出さないで、

 見守るという姿勢が必要になります。

 

 私たちはこれを「傘になる」と表現していますが、

 もっともらしい言葉で言えば

 「地域力を高めるコミュニティ・ドクター」と

 呼ばれる存在なのだと思います。」

 

ある本の中で

「今までの医師は死を敗北とする技術職であったが、

 これからは死を必然と認めて天寿を全うさせる

 サービス職となること」

と表現されていますがその通りだと思います。

 

と述べており、

おそらく家庭医、プライマリ医の先生方は

共感できるのではないでしょうか。

 

だからと言って

誰かを批判しているのではなく、

この国の行く末を案じて、

財政破綻した夕張での経験などから感じた

日本の医療は再構築が必要である事を

わかりやすく述べています。

 

「ー実際、日本は医療の評価が常に世界一であるのに、

 医療に対する満足度や国民の幸福度は

 いつも低いという結果で、

 常に不安や不満の言葉がマスコミに

 誘導されて出てきています。

 

 もういい加減に、

 日本人はリスクを回避する安心信仰から、

 リスクを享受した安全志向に

 切り替えるべきではないでしょうか。

 

 他の分野でもそうだと思いますが、

 高度成長期には「豊かになる」ことを目的に、

 専門家や行政にお任せにしていれば

 案外上手くいっていたのだと思います。

 

 しかし、日本はすでに十分豊かになり、

 気がついてみると世界一の長寿を

 20年も続けていました。

 他国に比べたら医療のレベルも高く、

 乳幼児の死亡率は極めて低い国が実現していました。ー」

 

鋭い分析だと思います。

 

だからどうすべきなのか?

気になった方は

是非本書をお手に取って下さい。

 

私は、なるほど、

地域包括ケアの神髄はここだな…と、

素直に思いましたし、

それだけではなく、

ビジネスの考え方や社会の在り方、

それこそ日本ってこういう国にしたいよね…という点まで

非常に参考になりました。

 

きっと医療従事者ではなくたって学ぶべき点は多く、

本書を読まねば

経済やビジネスも語れないのではないか?と、

思うほどの良書でした。

 

最後に目次をご紹介します。

 

第1章 高齢者医療がおかしい

第2章 夕張の「ムダ」を変える

第3章 新しい地域医療のかたち

 

おススメ度は ★★★★★ ともちろん満点です。

 

村上先生の意思を継いで

日本全国で頑張っている医療従事者のために

私は私なりの志を持って頑張ろうと思います。

 

それでは、また…。

 

 

医師キャリア相談

 

ジーネットの他の情報提供サイトもご覧下さい!>

ジーネット株式会社コーポレートサイト

医師向け情報サイト 医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>

ジーネット㈱ 小野勝広 公式twitterアカウント

ジーネット㈱ 公式facebookページ

 

いいね!と思ったら下記もポチ!

          にほんブログ村 転職キャリアブログへ

 

診療圏調査バナー