ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

マドンナ・ヴェルデ

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

マドンナ・ヴェルデ

海堂 尊 新潮文庫 を読みました。

 

医師キャリア産婦人科

 

久しぶりの海堂作品です。

しかもちょっと古め…(苦笑)。

 

でもいろんな事を考えさせられました…。

 

代理母出産というテーマは、

正直、イチ男性としては

なかなか理解が難しい点があります。

 

しかし人としては

真正面から受け止めて

考えていかねばならない分野だとも思うのです。

 

私が海堂作品を好きな理由は、

え!ここにそれが出てくるの?というような

前ふりというか、

意外な展開であったり、

次のページが早く読みたいという

スリリングさであったり、

そういう部分なのですが、

本作はまったく当てはまらず

淡々とストーリーが展開されます。

 

正直、最初はもどかしい思いもあったのですが、

途中からこの流れが心地よくなってきて、

主人公である母娘の双方に

感情移入してきちゃいました。

 

人としての倫理観に真っ正直な母。

医師として未来の医療の為に邁進する娘。

 

いずれにも言い分があり、

それなりのロジックは持つものの、

生命倫理を考慮するといずれにも

共感はしにくくもあります。

 

医学の為とは言え、

実の母親に代理母を依頼し、

子供たちをも利用しようとしてしまう娘。

 

娘の為とは言え、

安易に代理母を請け負い、

挙句の果てには娘と諍いを起こす母親。

 

そこに出産前に離婚をする娘、

精子の提供者が夫だけでなく

尊敬する医師のものもあったり、

母親に好意を寄せる男性の死であったり、

様々な要素が複雑に絡んできて、

面白味半分、

わかりずらさ半分という所でしょうか。

 

個人的には、

もし自分の娘が血が繋がっていなかったら…とか、

自分自身が両親の子でないとしたら…とか、

養子を貰ったとして

我が子と同じように育てられるか…とか、

結構切実な事も考えてしまいましたが、

私の思いや考えなど小さなもので、

果たして我々人類は

生命倫理に答えを出せるのか?

逆に出していいのか?

それは神の領域に足を踏み入れる事になるのではないか?

このような深い、深いテーマであるのでしょう。

 

率直に言って他の作品のような読後感はなく、

すっきり感もないですし、

面白かった感もあまりないんです。

 

でも決して嫌な感じではなく、

読まなきゃ良かった…なんて事もありません。

 

おそらくテーマが深すぎて、

小説にするのは実に難しく、

おそらく海堂先生自身も登場人物たちに

何を語らせて、どう行動させて、

ストーリーが終わるまでの展開を

どのように進めていくのか…

かなり悩まれたのではないか?

そう感じました。

 

このテーマですと、

面白おかしく展開させると不謹慎だし、

逆に真剣にリアルに描いてしまうと

深刻になり過ぎてしまうのではないでしょうか。

 

だからこそ少し能天気なところのある母親であり、

真逆なリアリストである娘を設定し、

うまくコントラストを取って

バランス良く落とし込んだ…そんな感じですかね。

 

小説家としての海堂先生はさすがと思いますが、

このテーマですと

医師である事が逆にマイナスにも作用しかねず、

それこそ宗教家であったり、

哲学家が書くべきテーマなのかな?とも思いました。

 

子供を持ちたいという思いは

ごく自然な事だと思いますし、

そういう夫婦の為に医療技術を生かして

子供を持たせたいという

産婦人科医の思いは理解できますが、

法律論として、倫理として、

簡単に答えの出るようなものではなく、

時代の移り変わりとともに

自然と導き出されるべきものなのかな…と思います。

 

性急な結論は未来の為にならないような

なぜかそんな気がするんです…。

 

おススメ度は ★★★☆☆ といたします。

 

海堂作品としては低めの評価ですが、

好きな人はすごく好きなのではないかと思います。

 

私が海堂作品に求めているものとは

ちょっと違うかな…というだけです。

 

それでは、また…。

 

 

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