おはようございます。
医師が本業に専念できるように、
転職や開業をオーダーメードでフルサポートする
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「マルクスが日本に生まれていたら」
出光 佐三 講談社+α文庫 を読みました。
少し前に読んで感動した
この本の結びに、
80歳を超えた主人公が
自らの思想、哲学を社員に伝えようとして
勉強会を開いたという箇所があり、
その勉強会を記録した小冊子のタイトルが
「マルクスが日本に生まれていたら」。
「海賊と呼ばれた男」を読んだ方々が
ネットで調べるとこの小冊子が実在した事を知り、
書店を探しても見つからないという事で
出光興産に問合せが何件も入ったのだそうです。
そこで新たに出版されたのが本書との事。
私も「海賊と呼ばれた男」を読んで
心を揺さぶられた1人ですから、
これはもう是非読まねば…と思い
手にしてみました。
本書はそもそも
1966年に初版が発行されています。
何と48歳になる私が生まれる前です…。
社長室のメンバーが出光佐三氏に質問し、
それに応えるという形で書かれているのですが
さすがに社員たちの前ですから
出光氏の経営理念、行動規範、思想、哲学、
そしてその根本となる考え方を
包み隠さずに教えてくれています。
本書を読みながら、
日本人って本来そうだよね…とか、
ああ出光の社員って本当に幸せだな…とか、
感動という言葉だけでは言い表せないほどに
心に染み込んでくる金言の数々…。
そんな日本もグローバリズムに巻き込まれて、
出光佐三氏が望んだ形からは遠ざかってしまったし、
出光自体も2006年に株式を上場してからは、
佐三氏自慢の定年制やタイムカードがなかったのも
数年前に導入されたりと変化してしまっています。
佐三氏はあの世で地団駄を踏んで
悔しがっているかもしれません。
まあ時代の流れですから、
いかんともしがたい部分もあるのですが、
ここで目次をご紹介します。
序論 なぜマルクスをとり上げるのか
一 平和に幸せに暮らす社会とは
具体的にどんな社会か
二 人間解放の道
三 歴史と社会
四 経済と経営
五 労働感と貧乏論
六 道徳と宗教
七 マルクスと私
出発点、目標は同じでありながら
そのプロセスは全く異なった訳ですが
マルクスは対立闘争の道を歩き、
出光は和の道を歩いた…という
言葉に象徴されるように、
似て非なるものになっている要因が
よくわかりました。
そして日本人である私としては、
とても共感しましたし、
現代日本に必要なのは
まさにこれだ!というくらいに、
感銘を受けました。
佐三氏は、
批判する訳ではなく、
むしろいい所は吸収しようというスタンスです。
マルクスの唱える階級的対立闘争が
冷戦を生んだ訳ですが、
佐三氏はそんなマルクスも
西洋に生まれたからであって
彼も日本に生まれていれば
違う考えを持ったのではないか?と、
考えています。
ふむ…。
実際にそうなるのかはわかりませんが、
そもそもの出発点と目標が同じ2人が
ここまで異なる道を歩む事になったのですから
佐三氏の言う事にも一理ありそうです。
ある意味では
マルクスは利用されてしまったのでしょうし、
発想や理論は素晴らしくとも
結果的には世界に
混乱を広めてしまったようにも思います。
なんて言うと
左寄りな方に叱られそうですが…。
冒頭申し上げたように、
本書は1966年に発行されています。
ですがまったく古さを感じさせないどころか、
我が国が間違った方向に進んでしまう前の
美しさがあるんですね。
いわゆる社会のリーダーと
呼ばれる人たちにとっては
必読の書と言えるかと思います。
特に経営者は
読まねばならないように感じました。
おススメ度は ★★★★★ といたします。
私も早速自社の経営理念や
ミッションに取り入れました。
本書が日本中に広まれば、
グッドカンパニーが増える事と思います。
そして最後に…
あまりブログなどで政治的な発言をするのは
宜しくないかもしれませんが、
本書には本物の保守があります。
これぞ保守本流。
昨今のユラユラ揺れている保守ではなく、
保守にしがみついているえせ保守でもなく、
本物の保守ここにあり!という感を受けました。
非常に心地よかったですし、
本物でないと
左側に付け入る隙を
与えてしまうんだろうな…なんて事も
考えてしまいました。
佐三氏は、
黄金の奴隷になるな!
主義の奴隷になるな!と言っています。
マルクスも、
私はマルクス主義者ではないと言ってたようですから、
主義に妄信するのは宜しくないですね。
現代社会を見ると、金、金、金…。
イデオロギーに翻弄されて、
みな奴隷になってしまっているのかもしれません。
武士は食わねど高楊枝…的な
我々日本人が本来持っている美学みたいなものを
もっと大切にすべきではないかと思います。
それでは、また…。
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