ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

「おじさん」的思考

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

『「おじさん」的思考』

内田 樹 角川文庫 を読みました。

 

医師キャリア思考

 

おじさん…。

何て響きの悪い言葉でしょうか?(苦笑)。

 

すっかりおじさんになってしまった私自身も

「おじさん」ってのは

ネガティブな言葉だなあと思います。

 

問題は

それがなぜか?だと思うんですよ。

 

おじさんは旧態依然と同義だから?

おじさんは老害を感じさせるから?

おじさんは古い時代を想起させるから?

おじさんは頑固だから?

おじさんは偉くないのに偉そうにしてるから?

おじさんはくさいから?

おじさんはイメージ悪いから?

おじさんから学ぶところはないから?

おじさんは尊敬できないから?

 

こんな事を書いていると

自己嫌悪に陥りそうですが

残念ながらいくらでも出てきますね…。

 

私が10代や20代だった頃、

やっぱりおじさんの事は大嫌いでした。

 

これは特定の誰かが嫌いという事ではなく、

総体的におじさんが嫌いだったのです。

 

個別には尊敬できる人もいたし、

憧れを持てるような人もいました。

 

しかし総体的に

おじさんは嫌いだったんです。

 

つまり象徴なんですよね…。

 

おじさんは元気がないとか、

おじさんは下を向いて歩いてるとか、

おじさんはため息ばかり付いているとか、

おじさんは気遣いができないとか、

おじさんは図々しいとか、

おじさんは酒飲むとうるさいとか、

おじさんはくたびれた背広を着てるとか、

おじさんは強い者に弱く、弱い者に強いとか、

おじさんはスケベだとか、

おじさんは古いとか、

おじさんはITに弱いとか、

おじさんは説教好きだとか、

おじさんは………。

まだまだいくらでも出てきます(笑)。

 

若かりし頃におじさんに対して

非常にシビアな目で見ていた

私もいつの間にかすっかりおじさん…。

 

そりゃ本書が気になります。

しかも敬愛する内田樹さんの本ですから、

見つけて即買いです。

 

本書は「日本の正しいおじさんの擁護と顕彰のための本」

そう内田さんはあとがきで述べています。

 

なるほど…。

おじさんへのエールであり、

正しいおじさんへの道を教えてくれています。

 

確かに日本の正しいおじさんの生き方を

思想体系として整備しようとしていますね。

これは難事業だと思います…。

 

だって現代社会におけるおじさんは、

進歩的文化人」は罵倒の枕詞になり、

「家父長」は打倒対象となり、

「常識」や「社会通念」は

反時代的イデオロギーとしてごみ箱に捨てられ、

左はフェミニストやポストモダニスト

ポストコロニアリストからさんざんに罵られ、

右は歴史修正主義者やナショナリストからこづき回され、

おじさんが後生大事にしてきた価値観を

根底から覆されている訳です。

 

おじさんがおじさんになる過程で得てきた

常識が受け入れられなくなっているのですね。

 

こんな時代のおじさん達に著者はこう言います。

 

「おじさん」たちよ、よく聞いて欲しい。

あなたがたが信じてきたもの、

信じようとしてきたものはいま踏みにじられ、

打ち捨てられようとしている。

しかも、それに代わるものが示されないままに。

 

それをそのまま見捨てるに任せるつもりなのか。

弱肉強食の能力主義

そんなに素晴らしいものなのか。

 

家族がそれぞれの利己的目標の追求に夢中になり、

誰1人家長に敬意を示さず、

集団の秩序のために貢献しない家庭は

そんなに素晴らしいものなのか。

 

暴力をふるうものは、

どれほど正義を体現し、

大義名分を掲げていようと、

一抹の疚しさを覚えるべきだというのは、

それほどに世間知らずな言い分なのか。

 

民主主義は「よりましな選択肢への開かれ」を

保証するという点において、

どれほど「完璧」な政治体制よりも

「まし」であると信じることは

それほどに素朴な考え方なのか。

 

いかがでしょうか?

その上で内田さんは

もう1度おじさんのモラルに賭けてみないか?

と問う訳です。

 

あるべきおじさん像。

おじさんとして身に付けるべきモラルや知性。

この具体例を各章では教えてくれます。

 

最後に目次をご紹介します。

 

第1章 「おじさん」の正しい思想的態度

第2章 老人国日本にむけて

第3章 「説教」はおじさんの義務であり権利である

第4章 「大人」になることー漱石の場合

 

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

おじさんが大嫌いなまま

おじさんになってしまった私ですが、

今の同年代のおじさん達や

少し上の世代を見ていて思う事があります。

 

おじさんにも魅力的な人と

まったく無魅力な人がいるという事。

 

魅力的な方には知性と余裕と深みがあります。

無魅力な方には知識と惰性と軽さがあります。

 

知性と余裕と深みがある方は、

勉強家で、向上心が強く、

無知の知を持っていて、

自分の得てきた常識を

書き換える勇気を持っています。

 

知識と惰性と軽さがある方は、

学生時代の栄華を後生大事にし、

過去を引きずり、

自分の常識内でしか物事を考えられません。

 

前者は「大人」であり、

後者は「大人になりきれない」という事ではないでしょうか?

 

内田さんは、

「大人」とは信じるものがなくなったとき、

「信じるものがなくなった状況」を

「信じる」契機に繰り上げることが

できるもののことである…と言います。

 

本書を読み、

本物の「大人」である

魅力的かつチャーミングな「おじさん」になろうと

つくづく思いました。

 

40代、50代、60代の男性諸君におススメします。

 

それでは、また…。

 

 

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