おはようございます。
医師が本業に専念できるように、
転職や開業をオーダーメードでフルサポートする
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「病院は東京から破綻する
医師が「ゼロ」になる日」
上 昌広 朝日新聞出版 を読みました。
医療崩壊…。
何年か前から
メディアなどで取り上げられていますが、
実感を持ってる人というのは
そう多くないと思います。
高齢者や日常的に通院している人、
医療従事者の方は感じているかもしれませんが、
それ以外の方は、え!そうなの?という
レベルではないでしょうか?
私の周囲でも、
このまま行ったら崩壊するよね…
という方もいれば、
メディアが騒ぎ立てるものは崩壊しないんだよ…
という方もおり、
課題があまりにもたくさんあるのは
間違いないのでしょうが、
果たしていったいどうなるのやら?というのが
多くの一般人の思う所ではないかと思います。
医師をはじめとする
医療従事者に話しを聞いてみても、
皆さん大きな危機感は感じていらっしゃいますし、
現場にいるから理解できる
気づきを持っていらっしゃいます。
そして具体的な改善策や、
非常に有益そうな改革案を持ってもいるのですが、
どうしても個人もしくは
小さなグループ内のものであり、
大きなうねりのようにはなってきておりません。
私思うのですが、
医療って医療現場である
医療機関内で起きている事と
厚生労働省や保健所、医師会、看護協会などといった
ある種の政治力の部分があって、
この現場と政治が
かみ合っていないように思えて
仕方がないんですよね…。
だからせっかくの改革案も
医療現場では全く歓迎できない…どころか、
時には害悪ですらある…。
その一方で院内で素晴らしい改革を起こして、
非常に良い経営、
運営ができている医療機関があっても、
それが他の医療機関には広まらずに
あくまでも個別の成功事例にしかなっていない…。
実に歯がゆいなあ…と思います。
だいたいが医療の話しというのは難しく、
なかなか一般人では
理解しにくいものでもあります。
しかし本書は、
病院は東京から破綻するという
ショッキングなタイトルとは別に、
現状について大変わかりやすく
説明してくれています。
なぜそうなのか?
どうしてこうなっているのか?
という素朴な質問に対しての
シンプルな回答をしてくれておりますね。
これだけ医療を取り巻く環境を広く、
わかりやすく書いている本は
あまりないと思われます。
大概が難しくなってしまうんですよね…
医療本って。
また著者である上昌広先生の考えや意見も
一般人にもわかるように表明してくれており、
その点も非常に興味深く読めました。
あとがきには、
「日本の医療を維持するためには、
医療の効率化と国民の合意が求められています」
と、おっしゃっています。
ホントにそうなんだろうなあ…と思うのです。
今まではお上から改革は降ってきて、
それが逆効果となってしまっていました。
これは政治を使って
既得権益を守ろうとしている人たちの合意しか
得られていなかったからだと思います。
今の新専門医制度なども
そのひとつかもしれませんね…。
しかしそれではもう保たないかもしれない…。
医療従事者をはじめとして
国民の合意。
だからこそ知識や情報が必要なんですよね。
医療崩壊に恐怖感を持っている方や
何となくこれからの医療に
不安を持っていらっしゃる方は
とてもわかりやすい本書を
手に取ってみるといいと思います。
最後に目次をご紹介します。
緊急対談 日本の医療制度は最短5年で破綻する
第1章 首都圏の医師は足りていない
第2章 病院は偏在している
第3章 老老医療がやってくる
第4章 医師増員を阻むもの
第5章 医師派遣という利権を正すには
第6章 看護師と理学療法士も足りない
第7章 首都圏の病院を襲う危機
第8章 いい病院、ダメな病院の見分けかた
第9章 味方の主治医をつくりなさい
第10章 医療は自分で選ぶもの
第11章 過去の震災に学べるか
おススメ度は ★★★★★ といたします。
医療の周辺でビジネスをしている方は
絶対に読まねばならないと思います。
特に医師や看護師の紹介業に携わっている人には
必読の書ですね。
本書に書かれている内容を知らずに
医師や看護師を紹介するなんて
あってはならない事です。
医療従事者の皆さんはすでに知識もあるし、
ご自分なりの意見もお持ちだと思いますので
本書を参考にして、
さらにブラッシュアップするのも良いと思います。
多くの日本国民、
特に東京周辺にお住いの方には
お手に取って頂きたい良書です。
それでは、また…。
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