ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

考えるヒント

 

おはようございます。

 

医師が本業に専念できるように、

転職や開業をオーダーメードでフルサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

本日のタイトルにもしました

『考えるヒント』

小林 秀雄 文春文庫 を読みました。

 

医師キャリアヒント

 

「考えるヒント」をピックアップした理由

小林秀雄…。

もう少し読み込まねばと

常々思っていました。

 

たまたまブックオフで見掛けた本書。

考えるヒント…。

う~ん、考えるヒントなんて素敵だぜ。

これは欲しい!と思いながら

レジに並びました(笑)。

 

小林秀雄さんの著書は

若い頃にも読んだ事があり、

正直、難解…のひと言。

それ以来、手が伸びなかったのは確かです。

 

しかし本書をパラパラと捲ってみると、

あれ?これなら行けそう!と思い、

ちょっと考えるヒントを

頂いちゃおうなんて考えて読み始めたのですが、

これが意外と思っていたより平易ではなくて、

頭を唸らせながら読んだのでした…。

 

「考えるヒント」の目次

・考えるヒント

常識

プラトンの「国家」

井伏君の「貸間あり」

読者

漫画

良心

歴史

言葉

役者

ヒットラーと悪魔

平家物語

プルターク英雄伝

福沢諭吉

・四季

人形

樅の木

天の橋立

お月見

踊り

スランプ

さくら

批評

見物人

青年と老年

花見

・ネヴァ河

・ソヴェットの旅

 

「考えるヒント」の感想

上記の目次をご覧になって頂ければ

おわかりの通り、

テーマは実に幅広いです。

 

国家、映画、漫画、良心、歴史、言葉、演劇、批評など。

 

しかもそこに登場してくるのは、

プラトンソクラテス井伏鱒二

サルトル河上徹太郎フロイト本居宣長

ヒトラープルターク福沢諭吉などなど…。

 

とにかくテーマの取り上げ方が興味深く、

そこに対する小林氏一流の批評、解説が

これまた面白く、

難しいんだけど

なぜか一気読みできてしまったのでした…。

 

印象的だったのは2点。

 

ひとつは当代一流の批評家である小林氏が、

「批評とは人を褒める特殊な技術」と言っていた事。

 

昨今の否定、非難、批判だらけの社会の中で、

批評こそは人を褒める技術なんだという主張には

う~んと考えさせられました。

 

多くの人がそう考える事ができたとしたら、

我々の社会も大きく変わりそうですね。

 

ついでにネット社会でも

そんな文化ができたら

スゲー健全化するのではないか?なんて

考えてしまいました。

 

もうひとつは少し長いですが原文をご紹介します。

 

(140頁~141頁)

歴史を鏡と呼ぶ発想は、

鏡の発明とともに古いように想像される。

歴史の鏡に映る見ず知らずの幾多の人間達に、

己の姿を観ずる事が出来なければ、

どうして歴史が、私達に親しかろう。

事実、映るのは、詰まるところ自分の姿に他ならず、

歴史を客観的に見るというような事は、

実際には、誰の経験のうちにも存しない空言である。

嫌った人も憎んだ人も、殺した人でさえ、

思い出のうちに浮び上れば、

どんな摂理によるのか、

思い出の主と手を結ばざるを得ない。

これは、私達が日常行っているいかにも真実な経験である。

だから、人間は歴史を持つ。

社会だけなら蟻でも持つ。

 

現在の行動にばかりかまけていては、

生きるという意味が逃げて了う。

一たん死んだ積りになるのもよい事なのだ。

実にいろいろな人間が、実にいろいろな生れ方をし、

死に方をしたその動かせぬ有様を尊重し、

静かに眺めてみるのはよい事だ、

歴史が鑑であるとは、

そういう本質的な意味を含んでいるように思われる。

ただ生活上の単なるお手本の意味ではあるまい。

そうでなければ、鑑が鏡に通ずる意味もわからなくなる。

 

ふむ…。

歴史好きの私ですが、

歴史自体をここまで深く考察した事はなく、

ある意味での甘さを痛感させられました。

 

気軽に歴史っていいよね~。

歴史から学ぶ事って多いよね~なんて

言ってちゃいけませんね…。

 

歴史とは何ぞや?

歴史から何を学ぶべきか?

歴史をいかにして現代に活かすのか?

 

そういった考えを持たねば、

本当の意味での歴史を知る事には繋がらない…。

そう思いました。

 

ご紹介した2か所以外も、

価値あるアフォリズムがきっと見つかると思います。

 

ちなみに私は平家物語福沢諭吉、スランプあたりが

非常に勉強になりました。

 

ちなみに考えるヒントは「2」と「3」も

出版されているようです。

う~ん、読まねばならんな~。

 

「考えるヒント」の評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

ちなみに本書に収められているエッセイは、

昭和34年から昭和38年頃に書かれたものです。

 

なんと私の生まれる前…。

でも私が手にした本は

平成22年に出版されたものなんです。

 

それだけ長く読み続けられているって事なんですよね。

つまりそれだけの価値を

多くの読者が感じているという事でもあります。

これってすごくないですか!?

 

是非とも皆様も考えるヒントを手に入れて下さい。

 

それでは、また…。

 

 

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