おはようございます。
医師が本業に専念できるように、
転職や開業をオーダーメードでフルサポートする
ジーネット株式会社の小野勝広です。
本日のタイトルにもしました
『考えるヒント』
小林 秀雄 文春文庫 を読みました。
「考えるヒント」をピックアップした理由
小林秀雄…。
もう少し読み込まねばと
常々思っていました。
たまたまブックオフで見掛けた本書。
考えるヒント…。
う~ん、考えるヒントなんて素敵だぜ。
これは欲しい!と思いながら
レジに並びました(笑)。
小林秀雄さんの著書は
若い頃にも読んだ事があり、
正直、難解…のひと言。
それ以来、手が伸びなかったのは確かです。
しかし本書をパラパラと捲ってみると、
あれ?これなら行けそう!と思い、
ちょっと考えるヒントを
頂いちゃおうなんて考えて読み始めたのですが、
これが意外と思っていたより平易ではなくて、
頭を唸らせながら読んだのでした…。
「考えるヒント」の目次
・考えるヒント
常識
プラトンの「国家」
井伏君の「貸間あり」
読者
漫画
良心
歴史
言葉
役者
ヒットラーと悪魔
プルターク英雄伝
・四季
人形
樅の木
天の橋立
お月見
季
踊り
スランプ
さくら
批評
見物人
青年と老年
花見
・ネヴァ河
・ソヴェットの旅
「考えるヒント」の感想
上記の目次をご覧になって頂ければ
おわかりの通り、
テーマは実に幅広いです。
国家、映画、漫画、良心、歴史、言葉、演劇、批評など。
しかもそこに登場してくるのは、
とにかくテーマの取り上げ方が興味深く、
そこに対する小林氏一流の批評、解説が
これまた面白く、
難しいんだけど
なぜか一気読みできてしまったのでした…。
印象的だったのは2点。
ひとつは当代一流の批評家である小林氏が、
「批評とは人を褒める特殊な技術」と言っていた事。
昨今の否定、非難、批判だらけの社会の中で、
批評こそは人を褒める技術なんだという主張には
う~んと考えさせられました。
多くの人がそう考える事ができたとしたら、
我々の社会も大きく変わりそうですね。
ついでにネット社会でも
そんな文化ができたら
スゲー健全化するのではないか?なんて
考えてしまいました。
もうひとつは少し長いですが原文をご紹介します。
(140頁~141頁)
歴史を鏡と呼ぶ発想は、
鏡の発明とともに古いように想像される。
歴史の鏡に映る見ず知らずの幾多の人間達に、
己の姿を観ずる事が出来なければ、
どうして歴史が、私達に親しかろう。
事実、映るのは、詰まるところ自分の姿に他ならず、
歴史を客観的に見るというような事は、
実際には、誰の経験のうちにも存しない空言である。
嫌った人も憎んだ人も、殺した人でさえ、
思い出のうちに浮び上れば、
どんな摂理によるのか、
思い出の主と手を結ばざるを得ない。
これは、私達が日常行っているいかにも真実な経験である。
だから、人間は歴史を持つ。
社会だけなら蟻でも持つ。
現在の行動にばかりかまけていては、
生きるという意味が逃げて了う。
一たん死んだ積りになるのもよい事なのだ。
実にいろいろな人間が、実にいろいろな生れ方をし、
死に方をしたその動かせぬ有様を尊重し、
静かに眺めてみるのはよい事だ、
歴史が鑑であるとは、
そういう本質的な意味を含んでいるように思われる。
ただ生活上の単なるお手本の意味ではあるまい。
そうでなければ、鑑が鏡に通ずる意味もわからなくなる。
ふむ…。
歴史好きの私ですが、
歴史自体をここまで深く考察した事はなく、
ある意味での甘さを痛感させられました。
気軽に歴史っていいよね~。
歴史から学ぶ事って多いよね~なんて
言ってちゃいけませんね…。
歴史とは何ぞや?
歴史から何を学ぶべきか?
歴史をいかにして現代に活かすのか?
そういった考えを持たねば、
本当の意味での歴史を知る事には繋がらない…。
そう思いました。
ご紹介した2か所以外も、
価値あるアフォリズムがきっと見つかると思います。
非常に勉強になりました。
ちなみに考えるヒントは「2」と「3」も
出版されているようです。
う~ん、読まねばならんな~。
「考えるヒント」の評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
ちなみに本書に収められているエッセイは、
昭和34年から昭和38年頃に書かれたものです。
なんと私の生まれる前…。
でも私が手にした本は
平成22年に出版されたものなんです。
それだけ長く読み続けられているって事なんですよね。
つまりそれだけの価値を
多くの読者が感じているという事でもあります。
これってすごくないですか!?
是非とも皆様も考えるヒントを手に入れて下さい。
それでは、また…。
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