ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

稼ぐ力 自分の仕事に「名札」と「値札」をつけられるか

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを中心に

転職、開業、経営シーンで支え続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

稼ぐ力…。

あんまり金、金と言うのはどうかと思いますけど

稼ぐ力は持っていた方がいいですよね~。

 

本日のブログのタイトルは、

【 稼ぐ力 自分の仕事に「名札」と「値札」をつけられるか 】

としました。

 

医師キャリア

 

本書をピックアップした理由

『稼ぐ力 自分の仕事に「名札」と「値札」をつけられるか』

大前 研一 小学館文庫 を読みました。

 

大前研一さんの著書は

時々読みたくなります。

 

学者ではなく、

ビジネスマンでもなく、

やはりこの方の血はコンサルタントなんだと思います。

 

思考が戦略的で、

なおかつ国家とか外交という視点もあり、

経営目線を持てていて、

中長期的な視野が実に参考になり、

戦略家としてアイデア満載。

 

私もコンサルタントの端くれですし、

経営陣の一角でもあり、

クライアントの為に

人間を、社会の仕組みを学ぶには

最良の教科書のように感じます。

 

魂を売るような仕事はしたくありませんが、

正しく稼ぐ力を持つというのは

医療業界でビジネスをする人間の1人として

持ち合わせておくべき知識、スキルだと思います。

 

なのでよっしゃ、学ぶぞと

強い気持ちを持って本書を手に取ったのでした。

 

目次

第1章 現状認識Part1

    -日本企業は今、何に苦しんでいるのか

第2章 現状認識Part2

    -これからの日本企業に必要な人材とは

第3章 新しい働き方研究

    ー世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか

第4章 企業経営分析

    ー産業“突然死”に備えるケース・スタディ

第5章 人材教育

    ー求む!日本と日本企業を強くする新世代人

 

感想

う~ん、本書も大前節が炸裂していて

実に面白かったです。

 

ビジネスマンとして…だけでなく、

現代社会に生きる人々には必見の書ではないかと思います。

 

昨今では医師ですら

経営感覚、組織のリーダーとしての資質、

戦略的なマーケティング

ヒト・モノ・カネのマネジメントが

求められる時代です。

 

きっと医師の皆さんが本書を読んでも

いろいろな学びがあると思います。

 

それでは下記にて本書の中で

私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

いま世の中で何が起きているのか?

一言で言えば、

従来の「秩序」や「経験」といったものが

すべて否定され、

破壊されつつあるということだ。

(P.4)

 

役職や給料に見合うだけの仕事もせず、

会社にしがみついている中高年社員の姿を見るにつけ、

その下の世代は「自立して生きていく」意識を

持たざるを得なくなっているのではないだろうか。

(P.16)

 

そもそも日本のサラリーマンの年収は、

この20年間にすべての所得層で

約100万円もダウンしている。

こんな国は世界の先進国に類がなく、

その結果、人々の欲望が収縮し、

モノが売れなくなってデフレが長期化したのである。

(P.22)

 

「うちの会社であなたにしかできないことが何かありますか?」

という質問をされると答えられないのだ。

逆に言うと、そういう質問に答えられれば、

内定を得られる可能性が高いわけだ。

今、多くの企業が求めているのは、

自分で稼げる仕事を見つけてくるような社員であり、

その危機感を共有できるか否かが、

一つの「採用基準」になると言ってよい。

(P.98)

 

そもそも裁量労働制

これまで日本企業で根付かなかった背景には、

実はもっと根の深い問題がある。

それは、これまで述べてきたように、

仕事を命じる経営者や上司が、

「仕事を定義できていない」ということだ。

(P.106)

 

他の人にできない仕事ができるかどうか、

上司が「A」と言ったら「A+B」の仕事をこなして

結果を出せるかどうかで自分の仕事に

“名札”がつくかどうか決まり、

“名札”がつかなければ”値札”もつかない、とのべた。

したがって、社員を「追い出し部屋」に送り込んで

平気でいられる社長や役員には

名札も値札もつかないから、

そんな経営者が残っている会社には

さっさと見切りをつけて出ていくべきだと主張したのだが、

逆に言えば、

名札も値札もつかない社員ほど、

いったん入った会社を離れられない、ということである。

(P.129~130)

 

日本企業が「選択と集中」を標榜しながら、

会社の組織の「選択と集中」には取り組まず、

商品の「選択と集中」だけを行うという

間違った経営戦略をとっていることを指摘した。

“ハードウェア”至上主義のままだと、

デジタル大陸ではいずれ商品がコモディティ化して

利益が出なくなってしまうのだ。

(P.150)

 

つまり、ただいま現在、

どれほど利益が出ている中核事業であっても、

それがコモディティ化しつつあって

将来の中核事業になり得ないなら、

速やかに撤退しなければならない、ということだ。

(P.151)

 

私が知る限り、

国際的にどこに行っても通用する

グローバル・リーダーには共通のパターンがある。

それは、一番最初によく人の話を聞き、

実態を分析して正しい方向性を見つけるまで

謙虚そのもので全く先入観や偏見を持たずに

取り組む、ということだ。

そして改革案が出てきたら、

強いリーダーシップで周囲を説得して断行する。

(P.184)

 

そこで考えられる可能性としては、

企業連合が新たに大学を設立することである。

人材不足の一番の被害者は企業だ。

すでに一部の日本企業は日本人の採用と育成をあきらめて

海外での作用に力を入れ始めているが、

スイスのように自分たちが必要な人材を育成する

機関を創設することを、

母国への最後の”ご奉公”として展開してもらえないだろうか?

(P.201)

 

各種の調査によれば、

20代・30代のいわゆる「ゆとり世代」「草食系」社員の多くは、

「海外で働きたくない」「出世したくない」と考えているという。

そういう内向き、下向き、後ろ向きの人材を

“量産”している教育こそ、

現在の日本の最大の問題だろう。

(P.207)

 

しかし、アベノミクスで盛り上がっているのは

証券、不動産、輸出関連などごく一部の業界と企業だ。

多くのサラリーマンは、

企業のIT化やグローバル化が進み、

大規模リストラの波に脅かされる中、

人員削減のシワ寄せで仕事の量だけ増えている。

このため、職場では「うつ・無気力」

「疲弊・燃え尽き」「あきらめ」など

メンタル面を病んだ社員が続出し、

長引く業績低迷で人間関係がぎすぎすして

暗いムードの会社も少なくない。

消費では、私が7~8年前から指摘し続けている

「低欲望」社会が定着し、

少子・高齢化の中で右肩下がりの傾向が続いて、

日本という国全体が閉塞感に覆われている。

(P.218

 

ビジネスにおいても、

スポーツや音楽と同じように、

個人の力が大きな影響力を持つようになっている。

これからの人は、組織に属していても、1人でいても、

「自分ならこうする」という意見と変化を起こす

スキルを持ち合わせていないと、

うまくいかないと思う。

言われたことだけをやる人は、

賃金の安い途上国の人に淘汰される。

つまり、その人々と同じ賃金に、いずれはなってしまう。

「稼ぐ力」とは、すなわち、

余人をもって代えがたいスキルと

意欲のある人が持っている力である。

出発点は、アンビションであり、目線の高さだ。

次にそれを裏付ける”筋トレ”と、頭の訓練だ。

そして、人生を5年ずつ、8段階くらいに分けて、

どんな難題でも解決できるスキルを積み重ねていかなくてはならない。

(P.229)

 

いかがでしょうか?

基本的にはビジネスパーソン向けに書かれていますが、

医療従事者の皆様にも参考になる点が多いと思います

 

なぜなら日本経済と同様に、

今後は医療もシュリンクする事が避けられないと思うからです。

したがって本書から学ぶ点は多いと思われます。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

ビジネス、経営、人材、教育、働き方など

実に幅広い知見を手に入れる事ができました。

 

もともと大前研一さんは

マッキンゼーで大企業を中心に

コンサルティングをしてきた方ですから

ダメな大企業への厳しい指摘、

我が国の政策の浅はかさや

日本人の英語力のなさや

英語教育の稚拙さなど

ズバズバ斬り込んでいく主張には

小気味の良さを感じました。

 

そのひとつひとつに納得できてしまうので

大前さんのロジックや主張は

傾聴の価値があると思います。

 

それと巻末に特別英語講座大前流

ラクティカル・イングリッシュ習得法という

特集があるのですが、

これも実に興味深い内容でした。

英語が苦手だけど習得したい方にはおススメです。

 

またしばらくしたら

大前本を読もうと素直に思える良書でした。

 

それでは、また…。

 

 

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