ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

お医者さん 医者と医療のあいだ

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

転職・開業・経営シーンを支え続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

最近では医師であり、作家であるという先生も

見掛けるようになりましたが、

北杜夫さんとか、なだいなださんは

その「はしり」ではないでしょうか?

 

本日のブログのタイトルは、

【 お医者さん 医者と医療のあいだ 】といたしました。

 

医師転職ブログ

 

本書をピックアップした理由

『 お医者さん 医者と医療のあいだ 』

なだ いなだ 中公新書 を読みました。

 

毎年秋に開催される

神田の古本祭りに家族総出で出掛ける我が家です。

私は昨年も30冊くらい購入しました。

もう帰り道が重いのなんのって(笑)。

 

でも神田ならではの出会いってのがあるんですよね。

ブックオフではそう滅多に出会えない本があります。

 

それが本書でした。

何と昭和45年に発行されています。

私が昭和44年生まれで49歳ですから

48年前の本なんですね。

 

し・しかもですよ、

状態がかなり良くてまるで最近発行されたかのような

とてもきれいな状態だったんですね。

 

なだいなださんと言えば

精神科医でありながら文筆活動を行った方。

6度も芥川賞の候補になったそうですね。

 

いつか読んでみたいなあと思っていたのですが、

運良く古本祭りで見つけまして、

最近、医療の本を読んでないなあ…と反省しつつ

本書を手に取ったのでした。

 

目次

第1章 「お医者さん」のうそとまこと

第2章 仁術の幻想はどこからきたか

第3章 医者をしていて

第4章 医者と病気

第5章 医療の内側と外側

第6章 あなたならこれからの医療をどうする

 

感想

いや~驚きました。

昭和45年の本ですよ。

内容は全く古くないんです。

 

強いて言うなら看護師ではなく

まだ看護婦という時代だった事と、

専門医制度が始まる前だったという点くらいでしょうか。

 

なだ氏は一貫して患者に語り掛けます。

決して上から目線ではなく、

医師側の都合を述べるだけではなく、

医療現場の現実をありのままに述べて、

さあこうは思わないかい?と

率直に諭していく…。

 

医療哲学。

私にはこの範疇にあるのではないかと

本書の価値をとても高く感じました。

 

いつもの如く私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

医療の実態は何千年ものあいだに、

大きく変わった。

私は、結果から見れば、

それがすくなくともよいほうに変わってきたと思う。

だから、過去の医療そのもののなかに、

理想的なものの原型があったとは思われない。

ひとつだけ思いあたることがある。

この何千年間、いや何万年間かわからないが、

変わらないのは患者だ。

病人であること、病人として救いを待つ心理、

これだけは何千年を通じても変わっておるまい。

人間が人間であるかぎり、

病気とそれに影のごとく寄りそっている死に対する不安は、

いつまでも残るだろう。

病気であることの不幸さの感覚、

病気から解放されたいという願い、

それはけっして現在の医療、

その時代その時代における現在の医療に満足せずに、

理想を求めただろう。

仁術の、そして万能の医者の幻影を見させたものは、

そこにあるのではなかろうか。

だが、どうしてそれが過去に求められたかの疑問はとけない。

(P.32~33)

 

私は、「お医者さん」と医者とは、

別ものだとかねがね思っている。

医者というのは、たんなる職業だ。

だから、病気になると「お医者さんのところに行く」と

あなたたちは言う。

実際には非人格な病院に行く場合でもそう言うのだ。

医療というものは、そのままの形では、

けっして姿を現わさない。

つねに、「お医者さん」の姿でしか現われない。

医療の問題は、つねに「お医者さん」の問題なのだ。

医療が悪いのは、お医者さんがダラクしたからであり、

医療をよくするためには、

お医者さんのモラルがただたんに高まればいいことになってしまう。

私たち医者も、充分にそのことを心にとめておく必要があるだろう。

(P.38~39)

 

これから組織的な医療をグループで行うようになれば、

そしてデータ通信がとりいれられるようになれば、

ピラミッド型の身分制度につながる専門医制度は

不要になってしまうだろう。

(P.190)

 

他にもいくつも感じ入る点はあったのですが、

スンゴク長くなりそうなので

この辺で終わりにしておきます。

 

取り上げている話題は実に幅広いです。

そして深い洞察と考えに考え抜いた思想が

本書にはあるように感じました。

 

率直にスゲー、スゲーと呟きながら読み終えました。

私は本書を読んで医療現場に対する想像力が膨らみましたし、

医療従事者の心の中が少しだけわかるようになった気がしました。

読んで良かった…としみじみ思います。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

正直に申し上げますと、

昔の本を読めば医療の歴史がわかり

理解力が増すかな?程度の興味で読み初めました。

 

しかし数ページ読んだだけで、

内容の深さに驚き、

真剣に読み込みました。

 

きっとスゴク勉強になったと思いますし、

医療に対する私の見方は少しだけ深くなったと思われます。

そして今後出会う医師をもう少し理解できると思います。

それぐらいに深イイ内容でした。

 

ところで本書は随分と読まれた本なのでしょうか?

ベテランドクターで当ブログをご覧になって下さった方が

いらっしゃいましたら是非教えて頂きたいです。

 

それでは、また…。

 

 

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