ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

社会契約論

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

転職・開業・経営シーンを支え続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

1人で生きている人なんて存在しません。

もしそう思っている人がいたら

それは残念ながら自惚れでしょう。

どれだけの人に支えてもらっているか…。

 

本日のブログのタイトルは、

【 社会契約論 】 といたしました。

 

医師キャリア相談

 

本書をピックアップした理由

『 社会契約論 』

ルソー 岩波文庫 を読みました。

 

個人と国。

個人と自治体。

個人と職場。

 

現代はこれらの関係性が

何だか上手く行っていないような気がして

しょうがないんですよね…。

 

個人の権利意識が強くなり過ぎたのでしょうか?

それとも組織がおかしくなっているのか?

 

こんな事を考えていた時に思い出したのが本書です。

 

ちょっと難し過ぎるかと不安でしたが、

今読め…と導かれているような気もして

つい手に取ってみた次第です(笑)。

 

目次

第1編 ここでは、いかにして人間が自然状態から社会状態に移るか、

    また社会契約の本質的諸条件はいかなるものであるか、が探求される

第2編 ここでは、立法がとりあつかわれる

第3編 ここでは、政治の法、すなわち政府の形態がとりあつかわれる

第4編 ここでは、引きつづき政治の法をとりあつかいつつ、

    国家の体制をかためる方法がのべられる

 

感想

やはり難解っちゃ難解なんですけど

思っていたよりはルソーの文章は読みやすくて

(訳者の問題かもしれませんが)

わりとすんなり頭に入ってきました。

 

ただ本書をどう位置付けて

ここからどういう思考をするのかは

とても難しいとも思いました。

 

ルソーが何を考えて

どんな目的で本書を執筆したのか

本当のところはわかりませんが、

国家とは何だ?

個人とは何だ?と

追求していく姿勢は

現代社会にも通用しますし、

むしろ現代人は今こそここに立ち戻るべきじゃないか?

そんな事を考えました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所を紹介します。

 

力は権利を生み出さないこと、

また、ひとは正当な権力にしか従う義務がないこと、をみとめよう。

(P.20)

 

実際上は、法律は、

つねに持てるものに有利で、

持たざるものに有害である。

以上から次のことが出てくる。

社会状態が人々に有利であるのは、

すべての人がいくらかのものをもち、

しかも誰もがもちすぎない限りにおいてなのだ。

(P.41)

 

主権は、譲りわたすことができない、

というその同じ理由によって、

主権は分割できない。

なぜなら、意志は一般的であるか、

それともそうでないか、

すなわち、それは人民全体の意志であるか、

それとも、一部分の意志にすぎないか、

どちらかであるから。

前者の場合には、この意志の表明は、

主権の一行為であり、法律となる。

後者の場合には、特殊意志か、

行政機関の一行為にすぎず、

それはたかだか一法令にすぎない。

(P.44)

 

すなわち、社会契約は、

市民のあいだに平等を確立して、

そこで、市民はすべて同じ条件で約束しあい、

またすべて同じ権利をたのしむことになる。

だから、契約の性質上、

主権のすべての行為、

すなわち、すべて一般意志の正当な行為は、

すべての市民を平等に義務づけ、

あるいは恩恵をあたえる。

したがって、主権者は、国家体のみをみとめ、

これを構成する個人に差別をつけない。

(P.52)

 

社会契約によって、

われわれは、存在と生命とを政治体に与えた。

いまや立法によって、

それに運動と意志とを与えることが、問題になる。

なぜならば、この政治体をつくり、

結合するところの、この最初の行為は、

政治体がみずからを保存するためにせねばならぬ事がらについては、

まだ何ごとも決定しないからだ。

秩序にかなったよいことというのは、

事物の本性によって、

また人間の約束から独立して、そうなのである。

すべての正義は神から来り、神のみが源である。

しかし、もしわれわれが正義を

そんなに高いところから受け取るすべを知っているとしたならば

われわれは政府も法も必要としないであろう。

たしかに理性だけから発する一種の普遍的正義というものがある。

しかしこの正義は、

われわれの間に受け入れられるためには、

相互的でなければならない。

ものごとを人間的に観察してみると、

自然が制裁を加えてはくれないのだから、

正義のおきては人間たちの間ではききめがない。

それらは悪人の幸いと善人のわざわいを作り出すにすぎない。

(P.57)

 

建築家が、大建築をたてる前には、

土地を観察したり、さぐりを入れてみたりして、

それが重みにたえられるかどうかを見るように、

賢明な立法者は、

それ自体として申し分のない法律を編む事ことからは始めずに、

あらかじめ、彼が法律を与えようとする人民が、

その法律を支持するにふさわしいかどうかを吟味する。

(P.67)

 

どんな自由な行為にも、

それを生み出すために協力する二つの要因がある。

一つは精神的原因、

すなわち、行為をしようと決める意志であり、

他は物理的要因、

すなわち、この行為を実行する力である。

(中略)

政治体にもこれと同じ原動力がある。

そこにも同じく力と意志とが区別される。

後者は「立法権」とよばれ、

前者は「執行権」とよばれる。

この二つの協力なしには、

何もできないし、まだ何もしてはならない。

すでにのべたように、

立法権は人民に属し、

また人民以外のものに属しえない。

これに反して、すでに確定した原理によって、

執行権は、立法者、あるいは主権者としての人民一般には

属しえないものであることは、容易にわかる。

(P.83~84)

 

国家が大きくなるにつれて、

国家の実力は、

国家のひろがりに比例して大きくならないにしても、

ますます増大する。

しかし、国家の大きさが同じであるならば、

たとえ行政官の数がふえるにしても、

それによって政府は、

より大きな実力をもつことにはならない。

なぜなら政府の力は、国家の力であり、

国家の力の量はつねに一定不変であるから。

だから、政府の相対的な力、

または活動力は減少するばかりで、

その絶対的な力、または実力は少しも増加しえない。

(P.92)

 

政府の職務が多数の役所に分割される場合、

最も人数の少ない役所が

おそかれ早かれ最大の権威を持つようになる。

仕事の処理が容易なために

仕事がそこにあつまるという理由だけでもそうなるものだ。

(P.96)

 

あらゆる政府において、

公人は消費するのみで何ひとつ生産しない。

それでは、その消費される物質はどこからくるのか?

構成員の労働からである。

公共の必要物をつくりだすものは、

個々人の剰余である。

そこで、市民状態なるものは、

人々の労働がその必要以上のものを生み出す、

その限りにおいて存続しうるということになる。

(P.110)

 

もし永続的な制度をつくろうと思うならば、

それを、永遠なものにしようと考えてはならない。

成功するためには、

不可能なことを試みてはならないし、

また、およそ人事がもちえぬような堅実性を、

人間の事業に与えようなどと、

うぬぼれてもならない。

政治体は、人間の身体と同様に、

生まれたときから死にはじめ、

それはみずからのうちに、

破壊の原因を宿している。

しかし、両者とも、体制に強弱があり、

それに応じてその存続期間に長短がありうる。

人間の体制は、自然のつくったものであり、

国家の組織は人間のつくったものである。

人間の生命を長くすることは、

人力ではいかんともしがたい。

しかし、できうるかぎりよい体制を、

国家に与えることによって、

国家の生命をできるだけのばすことは、

人力にかかっている。

最もよく組織された国家にも終わりがある。

(P.125)

 

法の非柔軟性は、事がおこったさい、

法がこれに適応するのを妨げ、

ある場合には、法律を有害なものとし、

危機にある国家をそれによって破滅させることにもなりうる。

形式の要求する秩序と傲慢さとは、

一定の時間を必要とするが、

事情は時としてこれを許さない。

立法者が少しも考えておかなかった場合が無数に起りうるから、

人はすべてを先見することはできない、ということに気づくことが、

きわめて必要な先見なのである。

(P.170~171)

 

すごくないですか?これらの言葉…。

本書はフランス革命の元となったと言われているようですが、

私には今1度本書を読む人が増えたら

現代社会はどうなるのか?

とても興味深く思うのです。

 

きっとフランス革命よりも

大きな流れができるのはないかと

思っちゃったりするんですよね~。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

ルソーは本書を発表した後、

迫害と不幸の連続となったそうで

フランスからスイスに亡命せざるを得なくなりました。

 

多くの団体、人々から反対を受けたそうですが、

フランス革命で見直され、

本当の意味での真価を発揮したと言われます。

 

確かに上記の文章を読むだけでも、

ある意味では政府批判、

また人民に立ちあがる事を求めていたり、

現状を打破せよと述べているようにも思えます。

 

しかしルソーの本音はそこにはあらず、

彼は人を、社会を、政治を、様々な角度から

研究しつくしただけのように私には感じます。

 

きっと彼の思いとは違う方向に

本書は流されてしまったのではないかなと…。

 

まあそんな私の勝手な想像など別にして、

人を知る、社会の仕組みを知る事を

学びの目的とする私としては

大満足の1冊でした。

まだお読みでない方は是非ご一読する事をお勧めします。

 

それでは、また…。

 

 

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