ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

政治と秋刀魚 日本と暮らして45年

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

転職・開業・経営シーンを支え続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私は人を学ぶ、社会の仕組みを学ぶことを

自らに課して読書するようにしています。

 

最近、日本社会を知るためには、

日本を知る外国人の物の味方、考え方を知る事が

実に大事だなと感じるようになってきました。

 

本日のブログのタイトルは、

 政治と秋刀魚 日本と暮らして45年 】としました。

 

医師キャリアブログ

 

本書をピックアップした理由

『 政治と秋刀魚 日本と暮らして45年 』

ジェラルド・カーティス 日経BP社 を読みました。

 

ジェラルド・カーティス…。

アメリカ生まれの政治学者。

コロンビア大学政治学部教授。

東京大学慶応義塾大学、早稲田大学客員教授

 

アメリカにおいての日本研究の第一人者。

専門は日本政治外交、比較政治学、日米関係。

 

どこかで聞いた事のある名前だよな~と思いながら

具体的に思い出す事なく、

でもこの本書のタイトル…

政治と秋刀魚に何だか惹かれてしまい

思わず本書を手に取ったのでした。

 

目次

序章 初めての東京

第1章 知日派

第2章 代議士の誕生

第3章 日米交流

第4章 「失われた一〇年」は分水嶺

第5章 日本政治-どこから、どこへ

 

感想

率直に面白かった。

勉強にもなりました。

 

前半は著者の自伝的な内容。

これはこれで面白いです。

 

著者が来日したのは1964年、昭和39年です。

私が生まれる前の事(笑)。

 

きっと当時の日本は

今よりも人の優しさを感じる時代だったのではないかと思いますし、

最初に住んだ西荻窪でも

街の大衆食堂でも随分と良くしてもらったようです。

それが本書のタイトルの秋刀魚。

マスターが秋刀魚など焼き魚を出してくれて

食生活も劇的に変わったそうです。

 

日本語が話せる外国人は珍しかったでしょうし、

それが日本の政治を学ぶにも

かなり役立ったようなんですね。

 

後に総理大臣になる中曽根さんから紹介を受けて

大分の代議士の選挙活動に密着するなど

日本政治の現場に入り込む事で

著者の政治学は成熟していったようです。

 

そして後半は日本政治についての分析。

1960年代~1980年代くらいまでは

我が国も高度経済成長期であり、

去年より今年、今年より来年と

世界中が驚くほどの経済成長を遂げていきました。

 

それと歩調を合わせるように

政治も様々な変化を見せつつ

政官財一丸となった日本式の特長を的確に捉えています。

 

著者が築いてきた多様な人脈から得た情報を元に、

また現場に足を運ぶ著者の研究スタイルが奏功し

日本人が読んでもなるほどと思う鋭い分析をしています。

この説得力はさすが日本の専門家と頷かされるレベルです。

 

ただ最近の日本文化の変化や憂慮しており、

日米関係には懸念を示しています。

 

日米の議員交流が減ってしまった事、

日米ともにお互いに興味を持たなくなった事、

確かにそういった側面はなくはないのでしょうね。

 

そうは言っても日本びいきの著者が書く文章には、

愛情に満ち溢れており、

日本文化、日本人の価値観生活様式まで

世界に誇れるものだと褒めてくれていますので

そんな所も日本人が読むとほっとする所があります。

 

政治的な部分では、

私は中選挙区小選挙区選挙制度の分析、

そして小選挙区にした事による弊害などが

非常に興味深く感じました。

 

今の日本政治を見ていると、

確かに中選挙区に戻した方が良いかもしれない…と

私も賛同したくなりました。

 

歴代首相20人中19人と面識がある著者ですから

日本人よりも日本政治を知っているとも言えますし、

外国人であるからこその客観性と

親日派であるからこその深い洞察が

絶妙にミックスされて説得力のある主張をされてます。

 

そして現代日本

何でもアメリカの言う通りに動く米国追随と

古き良き日本への復古との二重構造になっていると分析し、

そのいずれもが誤りであり、

日本人らしさを最大限に発揮した

新しいシステムを構築すべきだという主張には

私は日本人へのエールを感じました。

 

やはり日本社会を斜めから

冷静に見つめる事のできる著者ならではの

指摘には目から鱗と思う事も多いです。

 

日本社会の仕組みを知るには

最適で、とても学びの多い1冊でした。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

外国人著者の本って

母国語で書いたものを翻訳する事が多いですが、

それだけ若干の違和感を持ったり

何となく意味がストレートに伝わって来なかったりしますよね。

 

ところが本書は外国人でありながら

日本語が達者の著者ですから

全編最初から日本語で書いたそうなのです。

 

だからこそ読みやすく、わかりやすい。

そして著者の真意がビシビシ伝わるんですね。

 

日本への愛情を持ち続け、

的確な情報発信をしてくれる著者に

感謝の思いを持ちました。

 

それでは、また…。

 

 

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