ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

日本は悪くない 悪いのはアメリカだ

 

おはようございます。

 

医師の転職、クリニック開業を

キャリアプランを軸にしてサポートする

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人がおススメする本って

なぜだか当たりが大いにように感じます。

特にその人が尊敬できる人であれば

尚更なんですよね~。

 

本日のブログのタイトルは、

【 日本は悪くない 悪いのはアメリカだ 】といたしました。

 

医師キャリアプラン

 

本書をピックアップした理由

『 日本は悪くない 悪いのはアメリカだ 』

下村 治 文芸春秋 を読みました。

 

先日書評をアップしました待場の憂国論にて

敬愛する内田樹さんが本書について述べていて

この本は読みたい!と強く思い、

すぐにポチッと購入したんです。

 

理由は…

経済とは何か?

日本経済はどうあるべきか?

 

こういった経済の原理、原則、基本、基礎が

書かれていると思ったのです。

 

最近の経済論は表層的であるか、

テクニック論に走り過ぎているか、

要は「人」を見失っているように思えて

仕方ないんですよね…。

 

生きるとか、生活するとか、

そういう「人」の行動を考えない経済ってのは

本質的でないように思うんです。

 

だからこそ本書を読まねば…と思い

手に取った次第です。

 

目次

第1章 世界的経済不安定の元凶は日本ではない

第2章 アメリカの言いがかり

第3章 日本は事態を正しく認識していない

第4章 自由貿易が絶対的に善か

第5章 もうすでにマイナス成長がはじまっている

第6章 “国民経済”という視点を忘れたエコノミストたち

第7章 ドル崩落の危険性はこれほどある

第8章 日米は縮小均衡から再出発せよ

第9章 個人生活は異常な膨張以前の姿にもどる

 

感想

出会えて良かった…と

心から思える本ってのが

長い人生の中には何冊かあると思います。

私にとって本書はそのレベルの本でした。

 

著者である下村治さんは経済学博士ですが、

何より名を売ったのは

所得倍増計画を打ち出した池田勇人内閣で

有力な経済ブレーンとして活躍した事です。

 

今思うと我が国の高度経済成長は

ただ所得倍増を実現しただけではなく、

そこには「人」をしっかり見つめていたからこその

成功であった事に気づきます。

 

そして昨今の経済施策は

ただ机上の論理であり、

なおかつ数字の操作だけなんですよね。

だから実感のない経済成長になってしまうのでしょう。

 

エリート層のレベルが

当時と比較して下がっているのでしょうね…。

 

もう1度ここから戻るべきではないかと

本書を読んでつくづく思いました。

 

それでは恒例の本書を読んで私がグッときた箇所を

ご紹介いたします。

 

日本は米国という

大きな船の中に入っているという前提で書かれているが、

これはまったくの間違いだ。

日本はアメリカという船に便乗しているのではない。

アメリカの肩におぶさっているのでもない。

日本という経済はアメリカという経済とは別のものである。

自主独立の経済なのである。

すなわち日本は日本の船に乗っており、

アメリカはアメリカの船に乗っている。

そもそも世界経済というのはそういうものである。

他の国がアメリカの船に乗る、というかたちで

成立しているのではない。

それぞれの国民経済があって、

それぞれがその国民に対して

できるだけよい生活水準を提供できるように、

できるだけ付加価値生産性の高い経済構造をつくり、

安定した運営をしていこうと必死に努力している。

そういう国民経済が百以上寄り集まり、

互いに手を携え、

肩を組みあって網の目をつくり、

世界経済を構成しているだけのことだ。

決して一つの船に乗っているのではない。

したがって、それぞれが、

その中で節度ある経済運営する責任を持っている。

(P.64~65)

 

もう一つの混同というか、認識不足は、

自由貿易というものを理解していないことからきている。

先にもちょっと述べたが、

自由貿易というのは、

それ自体が善なのではない。

あとでもくわしく触れるが、

最初に国民経済があって、

その国民経済にとって利益になる場合にのみ

自由貿易は意味がある。

(P.70~71)

 

日本は明治維新から、

日本列島に住む日本人に十分な就業の機会を与えながら、

かつ、付加価値生産性の高い産業を育成し、

それで十分に高い所得を再現する、という

目標を必死になって追求してきた。

ところが、雇用機会を増やすことと

付加価値生産性の高い産業を育成することとは

必ずしも簡単ではないばかりか、

同時に実現することはできないものである。

というのは、多くの人に就業の機会を与えるには、

それ相応の人手を産業に吸収させなければならない。

しかし、付加価値を高めるには、

なるべく人手を減らして生産性を高める必要がある。

このため、必然的に、

生産性の割りには人手を多く必要とする生産性の低い部門と、

徹底的に合理化して相対的に人手をあまり必要としない

生産性の高い部門の両極端の産業が成立するようになったのである。

その結果として、

今日の日本人の生活があるということができる。

(P.76~77)

 

アメリカの経済学は、

マネーゲームの思想に振り回されている。

このため、どういう悪弊が出ているかというと、

国民経済という視点がスッポリと抜け落ちていることである。

国民経済とは何であるか、

人々が経済によって生きて行くためには

どういう条件が必要であるか、

という問題が分からなくなっている。

目に見えないのである。

では、本当の意味での国民経済とは何であろうか。

それは、日本で言うと、

この日本列島で生活している一億二千万人が、

どうやって食べどうやって行きていくかという問題である。

この一億二千万は日本列島で生活するという運命から逃れることはできない。

そういう前提で生きている。

中には外国に脱出する者があっても、

それは例外的である。

全員がこの四つの島で生涯を過ごす運命にある。

その一億二千万人が、どうやって雇用を確保し、

所得水準を上げ、

生活の安定を享受するか、

これが国民経済である。

(P.100)

 

経済活動はその国の国民が生きて行くためにある。

国民の生活をいかに向上させるか、

雇用をいかに高めるか、

したがって、付加価値生産性の高い就業機会をいかにしてつくるか、

ということが経済の基本でなければならない。

もちろん、各国には歴史的な背景がある。

そうして、こういう背景はたいていが硬直化している。

このため進歩や変化との間で摩擦が生じることは

日常茶飯事である。

したがって、そういう問題を調整しながら国民経済が運営されるのだ。

しかも、こういう調整作業は自己責任でやるほかない。

どこか他の国が助けてくれるわけではないのだ。

このようにして、各国がまず自己の経済を確立し、

その上で利益を互いに増進できる形で国際経済が運営される。

自由貿易というのは、

そういう国際経済の中で選択できる一つの選択肢にすぎない。

決して、自由貿易にさえすれば

世界経済がうまくいくというものではない。

ましてや、自由貿易のために政治経済が存在するのでは決してない。

それなのに、あたかも自由貿易が人類最高の知恵であり宝であり、

犯すべからざる神聖な領域であるかのように言うのは、

一体どういう思考の仕方をしているのだろうか。

むしろ、敢えて言うなら保護主義こそ国際経済の基本ではないだろうか。

まず自国の経済を確立するためには

弱い部分を保護する必要がある。

(P.110~111)

 

非常に簡単、かつ明瞭なことだが、

世界中の国がそれぞれ節度ある経済運営をすれば、

世界経済は安定する。

世界経済といえばいかにも大げさに聞こえ、

複雑に思われがちだが、

これは各国経済の単なる連鎖にすぎない。

したがって、どこかの国が異常な経済運営をすれば、

世界経済にそのまま反映して、

世界経済そのものが不安定になる。

ただ、それだけのことである。

では、異常な経済運営とはどういう状態をさすのか。

累積債務国がまさにその異常な経済運営をしている代表格だ。

人から借金をしてそれを返さないばかりか、

さらに新たな借金を重ねる。

これでは、貸した方は借金が返済されるのかどうか不安だし、

貸し倒れにでもなれば今度はこちらの計画が狂ってしまう。

累積債務国はまさにこういう無責任な借金魔と同列である。

節度を失った姿であり、

世界経済に迷惑を及ぼしている。

(P.123~124)

 

われわれの社会、

われわれの経済を安定した望ましい形にするには、

自分たちの汗と、

場合によっては血を流さなければならない、

という覚悟、そういう苦しみや犠牲に耐える覚悟と

能力と意欲が必要であるという精神が、

日本では非常に希薄になっていることだ。

これは世界的な傾向だが、

アメリカなどにはまだ残っている。

しかし、日本には非常に欠如している。

(P.233)

 

経済問題に限っていえば、

国民経済として経済をとらえるという態度がない。

それは、日本側に何が問題なのかをとらえる目がないということだ。

すなわち、国民経済というもの、

一億二千万人が生きていくための基本的な条件は何か、

それを安定的に維持するための条件は

何かという問題をキチンととらえて、

その立場からキッチリと日本側の見解や立場を固める、

という作業がなされていないのである。

しかし、これではいけない。

交渉ごとというのは、

相手の意見や立場に対抗できる

こちらの意見や立場が確立していなければならない。

(P.235~236)

 

以上です。

いかがでしょうか?

今の日本には国民経済という概念が

必要ではないでしょうか?

 

本書は昭和62年に出版されたもので、

日米貿易摩擦が盛んだった頃のものです。

しかし日米が云々とか、

貿易摩擦が云々のレベルの本ではないです。

 

国家とか、経済とか、

私たちの生存戦略上、

日本という国が生き残るべきヒントが

本書にはあります。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

我が国が高度経済成長を果たしたのは

下村氏のような考えを持つ方が

政権中枢にいたからではないか?

そんな事を考えました。

 

逆を言えばバブル崩壊から

一向に持ち直さない我が国経済は

下村氏のような方がいないからではないかとも…。

 

人は1人では生きていけない。

one for all, all for one。

 

それでは、また…。

 

 

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