ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

医学部

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを研究し続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私のような仕事をしていると

やはり医学部から研修医、

そして若手医師から中堅医師へという

医師の成長プロセスに大変興味を持っています。

 

今回は医学部について学びます。

 

本日のブログのタイトルは

【 医学部 】 といたしました。

 

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本書をピックアップした理由

『 医学部 』

鳥集 徹 文春新書 を読みました。

 

冒頭申し上げましたように

私のように日常的に医師と

やり取りをする人間にとっては 、

受験勉強→医学部入学→医学生

→国試合格→初期研修→若手医師

→中堅医師→ベテラン医師と

医師の成長ステップに対して

大変興味がありますし、

それこそ医師と日常会話をするために

必須の知識であると考えています。

 

ですから今までもそれぞれのフェーズについて

書かれてきた本を読んでまいりましたが、

いずれも良い勉強になりました。

 

著者の鳥集徹氏は

医療問題を専門とするジャーナリスト。

 

医師が書いた本とは違う学びになると思い、

興味津々で読み始めたのでした。 

 

目次

第1章 東京大学医学部の凋落

第2章  「医局」の弱体化

第3章 医学部ヒエラルキーの崩壊

第4章 医学部とはどんなところか?

第5章 ゆがんだ医学部受験ブーム

第6章 医者に向く人、向かない人

 

感想

医学部の受験偏差値が高騰している事から

その背景を探りつつ

問題点を浮き彫りにしていく。

 

第1章では明治から日本の医療を引っ張ってきた

東京大学医学部の変遷について。

 

いわゆる「理Ⅲ」出身者の現実に迫り、

第2章では大学医局の変化について。

 

人事権を一手に握る事により機能した

教授を頂点としたピラミッド型組織が、

臨床研修制度の導入により風穴が開いたと。

 

第3章では旧7帝大、旧制医科大学7校など

全国の大学医学部の発祥に着目し、

厳然としたヒエラルキーが崩壊しつつあると解説。

 

この辺りは私も知識不足のところがあったので、

非常に参考になりました。

 

第4章では具体的に医学部の現実に迫り、

実際にどんな教育がなされているのか?

卒業し、研修医になってから、

また医師になってからの問題点を浮き彫りにしています。

 

現役医師からも同様の見解を伺う事も多いので、

より現実味を増した課題を知りました。

 

第5章では医学部受験ブームについて

実例を並べながら警報を鳴らしています。 

 

増え過ぎた弁護士、歯科医師の二の舞にならないか?

現状の受験システムのままでは

医師になってはいけない人が入学してしまうなど

より良い制度改革の必要性を論じています。

 

最終章の第6章ではまとめとして、

どんな人が医師に向くのか、向かないか。

 

医師は勉強ができなければならない。

しかし勉強だけできれば良いものではない。

 

突き詰めればこの点が著者の主張ですが、

まあ医師に限らずどんな職業でも同様ですね。

 

医師とひと口に言っても

その仕事内容は多岐に渡りますから、

餅は餅屋で、自分の性格や特性を活かした

医師の仕事を見つけていく事が肝心と思います。

 

過去から現在の問題を振り返りながら

今後医師を目指す方々に対して、

こういう点には気を付けましょうとか、

これは覚悟をしておいてねとか、

ある種の注意とエールを送っているのですが、

著者の人脈の広さなのか、

多数の現役医師からコメントをもらっており、

そのひとつひとつが医師の生き方として

私はとても参考になりました。

 

きっと医学部を目指す方々や

その親御さんにとっても参考になると思います。

 

ただ偏差値が高いから…

安定した職業だから…

食いっぱぐれがないだろうから…で

医師を目指すのではなく、

医師という職業の本質を理解して

高い意欲を持つ方こそ

医学部に入って欲しいという願いには

私も賛成です。 

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

医学部というタイトルではありますが

医師人生の大半を網羅しており、 

また医師になってから直面する問題にもメスを入れ、

とても有用な内容と感じました。

 

ただ残念だったのは、

本書の「帯」です。

 

モラル低下、

大量留年、

レイプ事件、

医師に向かない学生の急増、

しのびよる「医師余り時代」

東大をしのぐ高偏差値化の陰で進む「白い巨塔」の危機

 

ここまでセンセーショナルな内容ではないです。

 

出版社が売るために付けたのでしょうけど、

むしろ本来本書を手にすべき方々が

購入を敬遠するのではないでしょうか?

 

本書は非常に幅広い領域を

わかりやすく説明している良書なのに、

こんな言葉を羅列しては

医療批判したい人たちを増長させる事になるのでは?と感じます。

 

もちろん事実として、

こういった面にも本書では触れていますが、

肝心なのはそこじゃないのに…と残念に思いました。

 

もっと冷静に、客観的に、

現実を知る事にできる良書です。

 

それでは、また…。 

 

 

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