ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

人間が幸福になれない日本の会社

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを研究し続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私たち日本人にとって

日本の会社はごく普通ですけど

外国人から見れば相当に異質なのでしょうね。

 

まあ我々から見れば

外資系企業はやっぱりひと癖もふた癖もありますしね。

 

私自身、転籍やグループ内派遣を含めると

今まで8社の企業に在籍してきました。

うち3社はブラック企業でした(笑)

 

日本の会社…。

いろいろ思うところがあります。 

 

本日のブログのタイトルは、

【 人間が幸福になれない日本の会社 】

といたしました。 

 

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本書をピックアップした理由

『 人間が幸福になれない日本の会社 』

佐高 信 平凡社新書 を読みました。

 

随分昔の話しですが、

人間を幸福にしない日本というシステム

という本を読んだ事があります。

 

かなり話題になったと記憶していますが、

やはり私も衝撃を受けました。

 

著者はカレル・ヴァン・ウォルフレン氏。

 

外国人だから見える

我が国の社会構造をつまびらかにしており、

その非効率性や不正義について

スパッとわかりやすく切り刻んてくれています。

 

今でも脳裏に残る1冊だった訳ですが、

本屋で本書を見つけた時に、

あれ?真似した?と目についたんですね。

 

しかも著者は佐高信さん。

う~ん、日本の会社を切り刻む?

 

まあ佐高さんの事ですから

相当に辛口なのでしょうね~。

 

誰をも恐れない佐高さんの姿勢は

個人的に結構好きなものですから

これは読まねばアカンな…とピピッと感じまして

興味津々で手に取ったのでした。 

 

目次

第一章 日本の経営者はなぜ無責任か

第二章 企業教のマインドコントロール

第三章 ミドル残酷社会

第四章 ホワイト企業のブラック性

第五章 まともな経営者はどこにいるか

第六章 チェックシステムの不在

おわりに  

 

感想

いや~案の定、怖いもの知らずです。

今回グサッと刺したのは

NHKであり、東京電力であり、

トヨタパナソニック、日立、三菱重工

日経新聞社、関西電力オリンパスなど

一流企業だらけ。

 

しかもぶった斬ってるのは

その会長、社長と経営トップ層ばかり。 

 

その中には私が尊敬する方も交じっていて

そうなの?

そういうこともあったの?と

自分の知らなかった一面を知り、

ちょっとショックを受けたところもあります。

 

どこにフォーカスするかの問題でもありますが、

佐高さんから見れば

とんでもない経営者という面もあるという事ですね。

知っておいて損はないと感じました。

 

判断するのは個々それぞれですし、

物事や人物は真正面から見るだけでなく、

裏側や他の角度からも見た方がいいですもんね。

 

無知の知ではないですが、

知らなかった事を知るというのは

心地の良いものです。

ちょっと刺激は強めですけど…。

 

では恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。

 

人を奴隷にする人間は、

主人ができれば、

自分も容易に奴隷になる人間だ。

(P.19)

 

日本の社長は、

なぜ自殺しないかというと、

忖度社会だからなのである。

(P.50)

 

ミドルが自殺する例が後を絶たないのは、

うまくいったら上司の手柄、

失敗したら部下の責任という

暗黙のルールが貫徹しているからである。

(P.52)

 

事業の進歩発達に最も害を為すものは、

青年の過失ではなくて、

老人の跋扈である。

(P.132)

 

私は戦に勝つのは兵の強さであり、

戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。

(P.134)

 

職業というのは自己本位ではなくて、

他人本位のもので、

そこの苦労を通過したものでないと

ダメなのだと言っている。

(P.155)

 

軍産複合体で楽して

企業努力なしの経済になった場合には、

経済自体の構造が歪むに決まっている。

つまり、会社は儲かるけれども、

人の生活は貧しくなる社会が待っているということだ。

(P.207~208)

 

第二次産業第三次産業は違うんです。

経営学や組織学の本をいろいろ読んで思うのは、

これらが第二次産業のメーカーを

対象にしているということですね。

しかし、サービス業というのは、

モノを作る産業と違って人間の労働力、

即商品ですから、

製造業と違う論理がなければならない。

(P.222)

 

客の利益を考えないで、

自分たちだけの利益確保に

一生懸命になっているのが

サービス業と言えるのか。

(P.224)

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

まあ良くも悪くもなんですけど、

佐高さんらしさ満載の内容です。

 

ある意味ではズバッと本質を突き、

ある意味では突き過ぎて

ちょっと心が痛いところがあります。

 

ただ現代日本のサラリーマンは

多かれ少なかれ社畜のようなところがあり、

働き方やキャリアや仕事や職場や上司や…

おそらく相当の悩みを抱えていると思うのです。

 

しかしその悩みから解放されるためには、

今、この場から、逃れなければならず

それは本来個人の責任ではなく

変わるべきは会社の古臭い体質なんですよね。

 

それはなぜか?

何が要因なのか?

いったいどうしたらいいのか?

 

このような思考を深め、

日本の会社の本質的な欠陥を知るためには

本書はかなり役立つ事と思います。

 

そして世間一般のイメージと

佐高さんが知るイメージには大いにギャップがあり、

メディアが一向に機能していない事も

よ~くわかります。

 

日本全国忖度社会。

 

今は会社だけでなく、

政治も、政党も、官僚も、行政も、財界も

忖度だらけで本来的な役割を全く果たしていませんよね。

 

結局、日本という国は、

優秀な国民とバカなリーダー層という事になるのかな…。

 

なんて事をつい考えてしまう

鋭い問題指摘をしている良書です。

 

それでは、また…。


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