ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

オールド・テロリスト

 

おはようございます。

 

毎日の読書が欠かせない

医療コンサルタントとして学び続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

以前にも書きましたが、

私は20代、30代の頃に

村上龍さんの本を貪るように

読んだ時期がありました。

 

小説からエッセイから

金融本から対談から

とにかく面白くて、勉強になって、

龍さんの考え方とか、

発想とか、

物凄く好きで、

その当時、龍さんが関心を持っていた

サッカーや、F1や、テニスや、金融なども

しっかり読み込んでまいりました。

 

いつの頃からか

そこまでの熱は冷めてしまいましたけど、

別に嫌いになった訳ではなく、

優先順位が入れ替わっただけです。

 

今でも時々読むと、

やっぱりこの当時の熱が一瞬高まるんです。

ホント大好きな作家さんです。 

 

今回ご紹介するのは、

【 オールド・テロリスト 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 オールド・テロリスト 』

村上 龍 文春文庫 を読みました。

 

こんな書評ブログを書く私ですから、

本を読まない日はなく、

電車の中でも、カフェでも、

夜に眠る前でも、

ちょっとした時間があれば読書します。

 

これはもう習慣というか、

好きでやってる事ですので

まったく苦はなく、

ホント楽しみでしかありません。

 

しかも様々なジャンルの本を読むのですが、

意外と小説は多くありません。

 

たぶん手に取るのは、

村上龍城山三郎、あとは歴史ものくらいでしょうか?

 

本書もしばらく前に買っておいたのですが、

何となく予感がしたんですよね。

 

今読んだらメチャクチャ楽しめるよ…って。

 

当然の事ながら

ワクワクしながら読み始めたんです。 

 

目次

オールド・テロリスト 

あとがき

解説 田原総一朗

 

感想 

案の定と言いますか、

メチャクチャ面白かったです。

 

久しぶりに長編小説をガッツリ読んだ感で、

しかも非常に心地よいです。

 

読後感が最高に良いです。

 

いや、正直に申し上げると

ラストは…むむ、

あっさりし過ぎていて

その点はちょっと残念でした。

 

ただ龍さんらしいキャスト。

 弱々しくだらしない主人公のジャーナリスト。

不思議な魅力を持つ美人女性。

 

そしてオールド・テロリストというタイトルとなる

ひと癖もふた癖もある老人たち。

 

この関係性が非常に有機的に絡み合い、

実に面白い。

 

我が国においては

テロと言っても

それほど現実的ではありませんけど、

龍さんの筆に掛かると

実際にこんな事件が起きたのではないかと思うほど

恐ろしいほどのリアリティがあり、

ちょっと気持ち悪くなりましたよ。

 

しかもこのテロの実行犯を操る怪しい存在。

それがこの国を憂う老人たちな訳でありまして、

この設定も実に興味深い。

 

ここに満州国から持ち帰った

88ミリ対戦車砲が絡んできて…

しかも1度は炸裂する。

 

昔、ぼくらの七日間戦争 - Wikipediaという

小説・映画がありましたが、

これは子供たちの可愛らしい戦争、

しかし本書は

じいちゃんたちの新たな深刻な戦争です。

 

最終目標である原発の破壊が実行されるなど、 

本書はもっと辛辣なストーリーにする事もできたのでしょうが、

龍さんは敢えて抑えた感じがします。

あえて…です。

 

それはなぜか?

老人たちはもう1度この国を廃墟にして、

戦後の復興のように

やり直すべきだと考えていた訳ですが、

たぶんそれは正しくないと

思っていたんじゃないでしょうか?

 

老人たちも言葉ではそう言っていたけど、

本気でそうすべきとは思っていなかったような…。

最後は意外とあっさりやられちゃうし。

 

多分もっと本気で戦う事もできたんじゃないかな?

 

警告…。

安易に生きている現代人への

強烈な警告のように私は感じました。

 

そうは言ってもテロはテロです。

 

グロいのが苦手な方は

読んでいても辛くなるでしょうし、

私ですら吐きたくなりましたので、

あまりおススメはできません。

 

さすがに本作は映画化できないだろうなあ。

まあ龍さんの本は

こういうのが多いんだけど(苦笑)。

 

村上龍が好きな方は

慣れている方は

おそらく相当に楽しめると思います。

 

そうでない方は

余程興味が持てない限りは

避けた方がいいかもしれません。

 

ただストーリーにグイグイ引き込まれ、

早く次のページが読みたくなる

龍さんのストーリーテラーぶりは健在です。

 

それともうひとつ言っておきたいのは、

ところどころに散りばめられている

龍さんならではのアフォリズム

 

ちょっとしたひと言。

 

登場人物にしゃべらせたり、

ストーリーをグッと引き締める

まとめの部分であったり、

これがとても印象に残りました。

 

龍さんの本は

だいたい読み尽くしたと思ってるのですが、

時々、あれ?これ読んでないかも…というのがあります。

 

私もまだあと30年は生きるつもりですから、

これからも龍さんの本は

しっかり読み込んでまいります。 

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点です。

 

例えば私たちが学校で学んできた歴史は、

古代から始まり、飛鳥時代奈良時代平安時代

鎌倉時代室町時代安土桃山時代、江戸時代、

明治、大正、昭和と続く訳ですが、

現代史って

3学期の最後に端折られたりしませんでしたか?

 

私だけかな?(笑)

 

大学で専門的に学んだ方は別ですけど、

私たちはもっと現代史を学ぶべきではないか?

本書を読んでそんな思いを持ちました。

 

昭和、平成、令和と続く現代社会。

物凄いスピード感で

とてつもない変化をしていると思うんです。

 

特に昭和を学ぶ事でしか理解できない

現代に生きる私たちが身に付けるべき

ノウハウのようなものがあるんじゃないか?

そう思うのです。

 

つまり1900年代を学ばないと

2000年代は見えてこない。

 

本書の老人たちが言いたかったのは

そういう事じゃないかな?なんて

想像してしまいました。

 

実に読み応えのある

面白い長編小説でした。

 

それでは、また…。 

 

 

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