ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

千年、働いてきました ー老舗企業大国ニッポン

 

おはようございます。

 

毎日の読書が欠かせない

医療コンサルタントとして学び続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

一応私も企業経営者ですから、

自分の会社をできるだけ長く存続させたいと

強く願っておりますし、

その為の努力はしているつもりです。

 

経営理念にも

サスティナブルカンパニーを目指し、

具体的な行動指針も明記しています。

 

まあ何百年とか、何千年とか、

そんなのは無理だよな~と思いますけど、

せめて30年くらいは続いて欲しいし

後継者次第では100年企業になったらいいなあ。

 

夢物語ではありますけど、

そう思わないと近づきませんもんね。

 

今回ご紹介するのは、

【 千年、働いてきました ー老舗企業大国ニッポン 】です。

 

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本書をピックアップした理由

『 千年、働いてきました ー老舗企業大国ニッポン 』

野村 進 角川oneテーマ21 を読みました。

 

最近では我が国でも

企業の寿命はどんどん短くなっています。

 

その一方で人生100年時代と言われるようになり、

私たちの働く期間は伸びる一方です。

 

つまり私たちが働く期間よりも

短い寿命の企業も増えているんですね。

 

ところが興味深いことに

我が国は何百年、何千年と続く企業も実在し、

これは世界的にも、アジアの中でも

なかなかない現象のようなんですね。

 

冒頭申し上げたように

自分の会社を少しでも生き永らえさせたい私としては、

本書は読まなアカンでしょう…と思いながら

手に取った次第です。 

 

目次

プロローグ 手のひらのケータイから

第1章 老舗企業大国ニッポン

第2章 ケータイに生きる老舗企業の知恵

第3章 敗者復活

第4章 日本型バイオテクノロジーの発明

第5章 “和風”の長い旅

第6章 町工場ミクロの闘い

第7章 地域の“顔”になった老舗企業

エピローグ 世界最古の会社は死なず 

 

感想

この本はメチャクチャ面白いです。

 

企業経営者はもちろんの事、

医療機関の経営者にとっても

参考になる点は非常に多いと思います。

 

また仕事って何だろう?

働くって何だろう?

そんな疑問を持っている方には

よい刺激を得られるんじゃないでしょうか。

 

だって本書に出てくる老舗企業は

いずれも100年以上続いているどころか、

江戸時代や明治時代に創業して

今でも活躍している企業ばかり…。

 

それも細々と生き永らえているのではなく、

最先端のテクノロジーを開発して

スマホなどの重要な部品を提供していたり、

素材の研究から新発見があり

現代社会でもなくてはならない技術を持っていたり、

なるほど、100年以上続く企業とは

こういう発想を持っているんだな…と

実に勉強になりました。

 

日本経済を下支えしているのは

これらの老舗企業なのだとしみじみ感じました。

 

飛鳥時代に創業したと言われる

寺社建築に携わる世界最古の会社、

大阪の金剛組はさすがに別格ですけど

それ以外にもこんなにも長年続いている

企業が多くある事に驚愕です。

 

どこも今でも通用する「技術」を持っている。

 

本書で紹介されている

地味ではあるけど

重要な技術は

我が国の重要な資産と言っても過言ではありません。

 

また技術者の方が本書を読めば、

新たな発想、アイデアが湧いてくるかもしれません。

 

私は知らない事ばかりでしたので、

かなりワクワクで読んでました。

 

やっぱりですね、

長く続くには理由があるんですね。

 

戦前・戦中・戦後や

バブル経済リーマンショックを切り抜け、

もっと前では

それこそ関ヶ原の戦いとか明治維新をも

生き抜いてきた訳ですもんね。

 

そりゃ強固な哲学はあるはずです。

私も爪の垢を煎じて飲まねばなりません。

 

生存理由。

存続する理由。

 

さらに深掘りして

自社にも取り入れていきたいものです。 

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所を

ご紹介します。 

 

東京商工リサーチが、

150万社に及ぶデータベースから

創業百年以上を抜き出したところ、

2002年の段階で15207社にのぼった。

15000社以上である。

ただしここには東京商工リサーチが把握していない

個人商店や小規模な会社は含まれていない。

大学や企業の研究者たちによる報告では、

100000万社以上と推定されている。

(P.20)

 

身の程をわきまえる、というのが、

ずうっと貫かれているのとちがうかな。

そんな感じが個人的にはするんですよ。

バブルのときなんか、

それはもう土地を変えとかなんやかんや言われたんですけど、

身の程をわきまえたら、

自分たちのやる仕事は、

そういうものじゃない、と。

「コア・ミッション」から離れてはいけない、

というのはわかっていました。

(P.50)

 

時に試練は、老舗に、

時代を超えて生き残る柔軟性をもたらしてきた反面で、

時代との”共犯関係”を結ぶようにも仕向けてきたのだった。

(P.58)

 

私欲起こせば家を破壊する。

(P.110)

 

彼らの醸し出す説得力は、

実践に裏打ちされているからだけではない。

核心にあるのは、生きとし生けるものへの「敬意」、

これだったのである。

(P.115~116)

 

伝統は、革新の連続

(P.143)

 

「伝統的なものづくり」と

「時代に即応したものづくり」とを、

いかに調和させるか

(P.150)

 

良品は、声なくして人を呼ぶ。

(P.159)

 

それは「枕草子」で清少納言が、

「ちひさきものはみなうつくし」

と書いた時代から、

いまも何ら変わっていないというのである。

(中略)

「日本人の技術と力は<詰める>所に出てくるらしい。」

(P.187)

 

誰にもまねのできない独創的なものを創る。

(P.198)

 

こういう十年とか、二十年とか、

あるいは三十年とか、

それだけの期間をかけないとできない研究って、

山ほどあるわけですよ。

そして、大企業にはこれができないんです。

(P.200)

 

よく人間は遺伝子の”乗り物”にたとえられるが、

人間は文化の”乗り物”である。

老舗企業を語る際にも

「企業のDNA」といった表現がしばしば使われるけれど、

この「DNA」とは「文化」と同義ではあるまいか。

とするなら、僕らも、

文化というDNAを家族や社会から受け取り、

それを未来の世代に引き継いでゆく、

老舗企業と同じ働きをしていることになる。

(P.215)

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

満点でも良いくらいの内容ですが、

もう少し1社1社を深掘りして、

さらに詳細な情報を載せても良かったかなというのが

星1つ欠けた理由です。

 

まあ新書にそこまで求めるのは酷ですが、

勉強になった事は間違いありません。

 

私も自社を100年企業にするために

そのエッセンスは手に入ったような気がします。

できるかどうかは別ですが…(苦笑)。

 

ただこういった老舗企業も

年々淘汰されている現実もあるようです。

 

もしかしたら最近のコロナ禍で

さらに厳しい状態に陥っている企業も

少なくないのかもしれません。

 

救えるものなら救いたいですし、

政府や自治体や銀行は

何とかすべきではないでしょうか?

 

もちろんどこもかしこもとは言いませんが

長年続いてきた「理由」が明確であり、

「経営者」が有能であれば

生き永らえさせることは

社会全体のためにもプラスとなる気もします。

 

しかし…

よくよく考えると…

グローバリズムってのは何だったんだろう。

 

ごく一部の大企業を

さらに太らせただけでしたし、

むしろ日本の富を

海外のグローバル企業に流出させただけとも言えます。

 

本当に大切にしなければならない企業は

本書にあります。 

 

 我々は再考しなければならないのでしょうね…。

 

それでは、また…。

 

 

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