ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

救命 東日本大震災、医師たちの奮闘

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界でコンサルタントをしている

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

ああ、この本はもっと早く

読まねばならなかったと思う時ってありませんか?

 

もっと早く出会いたかった。

もしかしたら人生が変わったかも…。

 

そんな時が私は頻繁にあるんですね。

 

まあそれでも出会えたことに感謝ですし、

今、出会う必要があったとも言えます。

これも運命なんでしょうけどね。

 

今回ご紹介する書籍は

まさにそんな1冊でした。

 

心からおススメしたい本と出会いました。

【 救命 東日本大震災、医師たちの奮闘 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 救命 東日本大震災、医師たちの奮闘  

海堂 尊 監修 新潮文庫 を読みました。

 

私は仕事柄、

医療に関する勉強が必要です。

 

読書好きというのもあって、

何冊かに1冊は医療関係の本を読んでいます。

 

医療本にもいろいろありますが、

そもそも医療とは

あらゆる産業の根幹であると思いますし、

私たちの生活の支えでもあります。

 

つまり人間が生きていくための

インフラであるのですね。

 

最初は仕事のために、

医師を知るために、学び始めました。

 

しかし最近ではライフワークになっています。

 

だって私の学ぶテーマである

人を知る、社会の仕組みを知る…に

完全に合致するんですもの、医療って。

 

医療を学ぶことは

人を知ることに繋がりますし、

医療制度は社会の仕組みでもあります。

 

是非多くの方が医療の大切さを知り、

より良い人生に繋げて頂ければなと思います。

 

そんな中、本書を発見した時には

2秒で購入しました。

 

救命、東日本大震災、医師たちの奮闘、

もうこの3ワードだけで即決です。

 

これは読まねばならぬと

なぜか強い責任感が芽生え、

気合いを入れて読み始めたのでした。

 

目次

・その時、「お前は医者じゃないのか!」という声が聞こえました

 ー宮城県南三陸町公立志津川病院内科医 菅野武

 

・心のケアの専門家だから傷つかないわけではないんです

 ー宮城県名取市東北国際クリニック院長 桑山紀彦

 

・この避難所「ビッグパレットふくしま」で命を失った方は

 一人も出ませんでした。それが一番の誇りです

 ー福島県双葉郡富岡中央医院院長 井坂晶

 

・心の問題で自殺する人を一人でも減らしたい

 ー千葉県松戸市神経内科リハビリテーション病院院長 旭俊臣

・震災を機に医療の力を見直してほしい

 ー岩手県大槌町植田医院 植田俊郎

 

・日本のような先進国で身元不明者がいるなんて絶対に許せません

 ー宮城県歯科医師会大規模災害対策本部身元確認班班長 江澤庸博

 

・災害時の医療統括の重要性を痛感しました

 ー千葉県市原市五井病院理事長 川越一男

 

・医療がないと人は離れていく。医療が立ち上がれば安心する

 ー岩手県陸前高田市県立高田病院院長 石木幹人

 

・患者さんと話していると、自分まで癒されます

 ー岩手県宮古市国民健康保険田老診療所所長 黒田仁  

 

感想

率直に申し上げて、

いい本だな…良書だな…と思いました。

 

涙が出るシーンも多かったですし、

私自身、仕事として、

医師の転職やクリニックの開業に関わってきましたが、

こういう方々を支援することへの責任感や

やりがいが再び湧き出してきました。

 

本書で取り上げられている9名の医師は、

それぞれ全く異なる境遇で

東日本大震災の復興に取り組んでくれた訳ですけど、

それぞれの物語は心に迫るものがあり、

医師としての使命感には

心からの拍手と感謝を送りたいと思いました。

 

ただこの9名の医師だけでなく、

とても多くの医師が現地で活躍していたのでしょうし、

日本中から被災地の皆さんのためにと

駆け付けた医師も多かったでしょうし、

また医師だけでなく、

行政や警察や消防、自衛隊などの方々、

そして被災しながらも地元のためにと

立ち上がった方々も多くいらっしゃったでしょうし、

日本人の素晴らしさを知る事ができました。

 

特に医師の場合は、

いざという時にリーダーシップを発揮でき、

人の命を助けることができるスキルがあり、

多くの人を救ったという事実、

しかしその一方で

多くの命を救えなかったという事実もあり、

その葛藤の中でも

自分にできることは…と考えて

医療物資が圧倒的に不足する中でも

逃げずに診療し続けた姿勢には

頭が下がります。

 

その生き様には脱帽です。

 

ただこの国の欠点が明らかになったのも事実。

すぐさま動き出した医師や

看護師などの医療従事者がいる一方で、

時間が掛かる一方だった行政、

人の心を持たない市長、

多くの人の義援金ネコババした中央の官僚ども。

 

この人たちは万死に値すると思います。

 

つくづく現場の素晴らしさと

為政者のバカバカしさ、

この国は出世の仕組みを変えないと

いずれ堕落するのだろうな…

いや現在のコロナ禍では

完全に堕落しきってしまっているのは

この頃から原因が見えていたのだなと痛感しました。

 

情けないどころか

大変に腹立たしく、

このままでは良質な現場を痛めつけて

いずれ機能しなくなるんじゃないかと

恐ろしくさえ思えました。

 

そんな中でも

理不尽と戦い、

医師としての責務を果たした

本書に登場した医師たちの真摯な取り組みは

称賛に値する素晴らしいものです。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。 

 

死ぬにしても後悔はしたくない。

自分の根っこに忠実でありたい。

最後は人間として、

同時に医者として誇りをもって死んでいこう、

がんばろうという気持ちが湧きおこってきたんです。

(P.15~16)

 

「忘己利他」-己を忘れて、他人の利となれ。

これが自治医大生の精神であり魂です。

(P.20)

 

僕は声を大にしていいたいのですが、

今後、津波の危険地域にある病院は

最上階に電源と医療器具、薬、食糧、水を

必ず備蓄しておかねばなりません。

(P.29)

 

医師は医療行為ばかりでなく、

真のリーダーとして振る舞いたいものだと、

静かにお話しになったんです。

「真のリーダーとは、周囲のみんなに

明日を生きる希望を与えることができる人のことだ」

(P.41)

 

その一方、なぜか病院を休診にする気にはなれませんでした。

茫然自失としながらも白衣を纏ってしまうんです。

医者としての本能ですかね。

「もう終わりだ」と思いながらも、

ここで逃げだしたら

一生自分を責め続けるという思いも頭をもたげた。

自分に嘘をつきたくなかったんです。

(P.55)

 

そこまでしても行きたいと思ったのは、

僕の医療従事者としての心根にある

「見て見ぬふりをしない医療」を

実践したかったからなんです。

大変なときに行かなければ、

絶対に後で後悔すると思った。

(P.60)

 

心のケアの専門家だからと言って、

傷つかないわけではないんです。

(P.66)

 

「仮設診療所の開所は十月一日。

申請はいつだったと思いますか?」

温顔を強張らせながら井坂は問う。

「四月二十五日ですよ。

岩手では三日で通った申請が、

それが福島では半年もかかった」

(P.114)

 

今さらのようにつくづく思うけど、

人間の一生って何なのでしょうね。

生きていることの意味って何なのだろうな。

人間の存在のちっぽけさを、

大槌町の、いや日本中の人たちが誰もが

わが身のこととして感じているんじゃないでしょうか。

(P.150)

 

町医者がそれぞれ機能しないと

医療体制が崩壊してしまいますからね。

動ける医者から診療所を再開するのは

当然のことですよ。

(P.179)

 

今回の大災害を見ても、

日本には、自分の利益にならなくとも、

社会の役に立つならば自分からすすんで取り組む、

そういう立派な文化があります。

(P.203)

 

そんな国だから、

有事に弱いんですよ。

国を守るって意識が低いし、

大体、国という意識が希薄ですよね。

家族を守る、地域を守る、

国を守るという意識がないと、

自分は生きていけないと思うんですけどね。

(P.212)

 

驚いたのは、

僕らは他に救援物資も持って行きましたが、

「何か必要なものがありますか?」と聞くと、

避難している方は一様に

「いらない」と断わるのです。

誰に聞いても、

「自分より困っている人はたくさんいる。

だから、私は大丈夫だよ」と言われました。

(P.231)

 

今回の震災では医療者たちの多くも被災しながら、

患者のために診療を続けてきた。

でも、それは「使命感」かと言われると、

ちょっと違うような気もします。

他にやれることはないから、

ただ自分のできる限りのことを

尽くしているだけなのだろうと思うのです。

(P.280)

 

医者というのは、

文句も言わず、

お茶碗に入っている飯粒を

ひと粒、ひと粒食べるような仕事です。

ひと粒、ひと粒ずつ食べていれば、

お茶碗のお米は必ず減っていく。

医者もまた、

患者さんが抱える病気や症状を、

一つ、一つ治していく。

そうしてコツコツやっていく仕事なんです。

(P.333)

 

もともと地域医療に興味があって

田老へ赴任しましたが、

働く場所はどこであっても面白いと思います。

僕は医者として

何かの病気に興味があるというより、

人間というのは一体どういう生き物なのか、

何が正常なのかというようなことに関心があるんです。

人間学の中に病気学のようなものがあって、

それを端緒として人間自体を見ている。

自分ではそう思っています。

(P.334)

 

医師とは自分が被災しても、

次の瞬間に復興に向けて

無意識に一歩を踏み出す人々だ。

(P.339)

 

「日本は、官は最低最悪だが、

”民”がいい。そこが米国とは違う」

(P.354) 

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

是非とも本書は多くの方にお読み頂きたいです。

あの時に何が起こっていたのか?

正確に掴むことができますし、

おそらくこのコロナ禍でも

同じように必死に私たちのために

身も心も捧げてくれている医師たちがいる事に

気づくことができ、

心からの感謝をすることができるでしょう。

 

まあ医師だって

全国に30万人もいるのですから

なかには問題ある人もいるでしょうけど、 

私自身が知る限りでも

いざという時に立ち上がってくれる医師や

冷静沈着に適切な判断を下せる医師は

かなり多いということは声を大にして言えます。

 

むしろそんな医師たちの手足をもぐような

ロクでもない政策を打っている馬鹿ども達を

何とかせにゃならんだろう…と

個人的には強く思います。

 

社会の仕組みを知るにも

とても良い内容ですよ。

 

ご関心を持てた方は是非とも手に取って下さい。

 

それでは、また…。 

 

 

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