ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

しんがり 山一證券 最後の12人

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界でコンサルタントをしている

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

皆さんは書店で本を選ぶ時に

どんな基準で購入しますか?

 

もちろん人それぞれで

実に様々な基準があるでしょうし、

同じ人でも複数の基準を持っている事でしょう。

 

私自身は著者で選ぶことが多いのですが、

その次はこの本が読みたいと

最初から狙い撃ちして購入します。

 

この2つ以外でわりと多いのが、

「何となく」なのです。

 

何か惹かれたとか、

オレを読めという本の叫びが聞こえたとか、

自分でもよくわからないのですが

「何となく」で購入した本って

なぜかあまりハズレがないような気がしています。

  

今回ご紹介する書籍は、

まさにその「何となく」でありまして

【 しんがり 山一證券 最後の12人 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

しんがり 山一證券 最後の12人 』

清武 英利 講談社+α文庫 を読みました。

 

冒頭申し上げたように

「何となく」で購入しました。

 

え!今さら山一證券

最近の若い人は存在すら知らないんじゃないか?

 

かつて昭和の時代では

大証券というものがありまして

野村証券日興証券大和証券山一證券

そう呼ばれていました。

 

しかしこの中で山一證券だけが破綻し、

すでになくなっています。

 

山一證券について知りたい方は

下記をご覧下さい。

山一證券 - Wikipedia

 

さて、書店で本書を見つけた時に、

ちょっとした懐かしさを感じたという事と

私自身この時は金融関係の仕事をしていたという事、

それと著者があの清武英利である事。

 

プロ野球の巨人軍で反乱を起こした人と

言っていいんですかね? 

 

あの清武さんが執筆されたというのも

かなり興味深くて、

よし、山一を読もうと思い

手に取った次第でした。 

 

目次

1章 予兆

2章 不穏

3章 倒産前夜

4章 突然死

5章 しんがりの結成

6章 社内調査

7章 残りし者の意地

8章 破綻の全真相

9章 魂の報告書

10章 その後のしんがり兵 

  

感想

いや~、面白かった。

一気読みしてしまいました。

 

本書はwowowでドラマにもなったようですが、

私はそちらには興味がなく、

おそらく見ることはないです。

 

でもこちらの本は非常にわかりやすく、

ストーリーがしっかりしていて

あっという間に読み終えました。

 

山一證券の破綻については

今までも数多くの書籍が出ていますが、

あまり興味を持つことはありませんでした。

 

難しく解説されたところで、

金融業界から離れてはや15年も経っていますので

正直関心は持てません。

 

ところが本書は小説というスタイルを取り、

経営側でも、営業側でもなく、

監査部門、業務監理本部からの視点で書かれているのが

本書をユニークな立ち位置にしています。

 

また「しんがり」というタイトルにあるように、

主人公は山一證券が破綻した後に

なぜ山一證券が自主廃業せねばならなかったのか?を

意地と誇りを持って調べあげ

「社内調査報告書ーいわゆる簿外債務を中心として」を

発表した方々であります。

 

その一部始終が本書の骨格なわけですが、

12人の人となりや個別の事情にまで踏み込みながらも

経営陣や旧大蔵省の責任までを赤裸々にする

執念には鬼気迫るものがあり、

で、どうなったんだ?それで、それで…と

こちらもその熱に浮かされながら

読み込むことができました。

 

すでに廃業した会社の破綻要因を調査するという

敗戦処理のような役割ですが、

そこにヒューマンドラマのように

地味な役割の個々にフォーカスして書き上げた点は

評価できます。

 

あくまでもノンフィクションですから、

多少の誇張はあるのでしょうが、

まるで再現ドラマのように楽しめたのは確かです。

 

ただ楽しめたのはストーリーであって、

当時の山一證券の内情に関しては

知れば知るほどに頭に来ます。

 

いや今さら頭に来たところで

いかんともしがたいのですが、

ここまで経営陣は腐っていたのか?

 

法人の山一と言われるほどに

法人営業に強みがあったはずなのに、

その法人営業が破綻の要因を作り

それを経営陣が黙認してきた。

 

ここらの流れを見る限りは、

いくら名門といえども

やはり潰れるしかなかったと言わざるを得ません。

 

行平、三木という悪を見逃した経営者は

まさに万死に値すると言えるでしょう。

 

イチ時期、大企業病なんて言葉が使われましたが、

当時の山一証券は完全にこの病に罹っていましたね。

 

その結果が、

銀行から見放され、

旧大蔵省からも見放され、

自主廃業しか選択肢がなくなるところまで

追い込まれたわけですね。

 

しかも証券取引法で禁止されている一任勘定を続け、

利回り保証、損失補填を繰り返し、

含み損を膨らませ続けて

粉飾決算をせざるを得なくなり、

挙句の果てには簿外債務で決算の度に飛ばしを行う。

 

1度の嘘をバレないように

何度も何度も嘘をつき続けているうちに

嘘が本人の中では真実になっていくような

そんな悪質性がここにはあります。

 

期しくも最後の社長である野澤氏は、

号泣しながら

「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから」という

名言(迷言?)を残したわけですが、

その野澤社長ですら

この状況を知ったのは

社長に就任してからであるという始末。

 

ホントにこの時の経営陣は腐っていたのですね。

それをカバーするかのような

山一マンのプライドを微かに見せたのが

しんがり」の面々。

 

かつての上司たちを調査せねばならず、

また社員のなかでも賛否両論があるなかでもあり、

破綻後で給与も出なくなる中での取り組みですから

想像するに相当の葛藤と苦しみが

そこにはあったと思います。

 

それでも社内調査報告書を

書き上げたところは拍手ものです。

 

ある意味では山一証券の良心ともいえ、

元社員たちも突然の廃業の根本的な要因が明らかになり、

少し留飲を下げることができたのではないでしょうか?

 

あともうひとつ特筆すべきは

旧大蔵省のズルさですね。

 

今の財務省もそう変わりはないのでしょうし、

他の省庁も似たり寄ったりと思われますが、

まあこの時の山一証券

スケープゴートにされたことがよくわかります。

 

大証券の中で、4番手に落ちていた事もあり、

野村、日興、大和を生き残すために

山一の首を差し出したと言えるのかもしれません。

 

社員たちには怒り以外の何物でもないでしょうが、

良くも悪くもこれが世の中か…。

 

達観して生存戦略を自分なりに作るか、

官僚を変える政治家を送り込むか、

いずれかしかないのでしょうね。

 

勢いに任せてこのブログを書いてますので

話しがあっちゃこっちゃに行ってますけど、

まあ今さらながらですが、

あの時、何が起こっていたのか?を

これだけわかりやすく書いてくれた著者には感謝です。

 

もともと金融を担当されていた事もあり、

綿密な取材とベースにある知識があってこその

本書の執筆なのでしょう。

 

個人的には非常に楽しめましたし、

サラリーマンの切なさをいうか、

ある種の美学と安定、

それと引き換えの魂の消耗のいずれもが

人間味溢れるよう著されており、

ひょっとしたら清武さん自身の仕事人生も

投影されているのかな?なんて考えちゃいました。

 

えっと最後になりますが、

本書の最終版、

その後の「しんがり」メンバーたちの話しには

ちょっと感傷的になりました。

 

きっと山一破綻を経験したことで、

生き残る力を倍加させたようなところもあり、

山一の時のような仕事はもうできないという悲しみもあり、

サラリーマンの辛さというか、限界というか。

 

この山一證券破綻って

その後のビジネス界に

様々なきっかけを作ったのかもしれません。

 

終身雇用から転職が当たり前の世界に。

ネット証券の広がり。

コンプライアンスの高まりなど。

 

他にもいろいろありますが、

こうして歴史は刻まれていき、

私たちは時々振り返りながら学んでいく。

 

そういうものなんですよね…と

何かいろんなことを考えさせられた1冊でした。 

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

当ブログを書いている時期は、

日経平均株価バブル崩壊以来で

初の30000円を突破なんていう

ニュースが飛び込んできています。 

 

コロナ禍で業績を大幅に悪化している企業も多く、

リストラされた人だって少なくない中でです。

 

ここまで株価が実体経済を現さないのは

ちょっと恐怖感を持ちますね。

 

本書にあるような山一證券破綻であったり、

それこそバブル崩壊リーマンショックなど

金融は何があっても不思議ではありません。

 

これは私の私見ですが、

日本人は貯蓄志向が強いからなのか、

政府や金融業界は

とにかく証券をはじめとした

直接金融に庶民のお金を投資させようとします。 

 

そして投資熱が高まり、

庶民のお金がかなり集まってきたところで

ドカーンとバブル崩壊するのですね。

 

まるでそういう政策を打っているのではないか?と

邪推したくなるような繰り返しです。

 

かつてのバブル時代は、

証券会社は1億円未満の預かりのお客さんを

ゴミ客と呼び、

優良顧客とは切り離していたそうです。

 

損失補填をする優良顧客と

損をさせても何とも思わないゴミ客です。

 

ヒドイ話しですよね。

でもこれが現実でした。

 

最近では億り人なんて言葉もできて、

個人投資家もひと財産を作っているようですが、

ひとつ間違えるとバブル崩壊の時のような事に

なりかねないんじゃないかと私は心配です。

 

余計なお世話ではありますが、

投資って引き際が肝心なんですよね。

 

多くの人が稼げるようになった時は

パッっと身を引かないと

大変なことになってしまうのは

金融業界の歴史を見れば一目瞭然です。

 

果たしてこれからどうなるのか?

 

賢者は歴史に学ぶと言いますが、

山一證券が破綻した要因には

バブル崩壊以後の無理が祟ったという側面があり、

投資が好きな方は

この歴史は知っておいて損はないと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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