ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

僕たちはもう働かなくていい

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

積ん読が100冊を超える私としては、

本を1冊読み終えて、

さあ次は何を読むか?という瞬間は

かなり楽しいものであります。

 

当然、読みたくて購入した本ですし、

減っては増え、減っては増えで、

結局いつになっても100冊くらいあるのですが、

やはり選択肢は多くあったほうが良いですね(笑)。

 

堀江貴文さんに関しては

昔から賛否両論が激しいですが、 

私の中でも同様です。

 

好ましいと思うところもあれば、

何なのこの人と思うところもある。

 

でもトータルとしては

決して嫌いなわけではなく、

むしろ発想のユニークさや

忖度なしの直言などは割と好意的に捉えています。

 

いいんじゃないでしょうか?

こういう方がいても。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 僕たちはもう働かなくていい 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 僕たちはもう働かなくていい 』

堀江 貴文 小学館新書 を読みました。

 

私は50歳を過ぎていますが、

AIとかITなど

テクノロジーに対する興味は

全く薄れることがありません。

 

まあ最先端なんて事は言えませんが

それなりに知識はありますし(たぶん)、

機器を使いこなす自信もあります。

 

前回の書評はガッツリ哲学で

少々私の脳はお疲れモードになっていましたので

今回はちょっと軽めにサラッとした内容にしたく、

そういえばホリエモンのAIの本があったなと思い出し、

「働く」ことをテーマにもしてますので、

転職エージェントを生業とし、

AI好きな私にはこれ幸いと考えて

本書を手に取ったのでした。 

 

目次

第1章 AIから目を背けるバカとはつき合うな

第2章 AIロボットで「多動力」を発揮する

第3章 パーソナルモビリティは“スマホ化”する

第4章 「無人化時代」はチャンスに変えられる

第5章 リデザインされる世界をどう生きるか

 

感想

うん、普通に面白かった。

そしてよい勉強にもなりました。

 

やはり堀江さんはテクノロジーを語らせると

非常に真っ当ですね。

 

期待通りの良い内容です。

ただ…。

 

そこを貫き通してくれればよかったのですが、

AIで人がすべき仕事は減り、

私たちは好きなことして生きることができる…

そこまではいいのですが、

人生論や生き方とか

そういうところに結び付けるのは

ちょっといかがなものでしょうか?

 

特別な堀江ファンの方は

そうだそうだ!と思うのかもしれませんが、

私としてはそこは自分で考えるし、

もっと学ぶべき人は他にいるので

ホリエモンは最新テクノロジーを紹介し、

AIが生活を変える…くらいで

留めておいて欲しかったですね。

 

何となく、

ちょっと立ち入り過ぎのように感じました。

 

またAIの進化によって

「僕たちはもう働かなくていい」という結論には

やはり無理がありますよね。

 

堀江さんも働かなくていいと言いつつも、

好きなことをやれ!とも言い、

結局、今までとは違う働くを推奨しているのであって、

働かない、何もしない、という話しではありません。

 

まあ普通に考えればそりゃそうです。

何にもしないで、働きもしないで、

24時間365日を生きるって辛いと思います。

 

いわゆるザ・サラリーマン的な働き方が

今後益々減っていくだけの話しであり、

今までになかった働き方、

ある意味ではyoutuberなんてのは

その代表的なものかもしれませんが、

正確に言うと「働くが変わる」という結論です。

 

この辺りのテーマは、

私自身も15年以上の転職エージェントの経験があり、

相当に「働く」という事に関して

熟慮してきていますので、

AI=働かなくていいという答えは

ちょっと安易ではないかと感じました。

 

「働くが変わる」であるならば

まあ概ね納得できますが…。

 

ではここで恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。 

 

AIが反抗するのではないかと恐れる人々もいるが、

その可能性はほとんどない。

それよりも私たちがAIの自発的な制御を

放棄してしまう可能性の方がよほど高い。

AIの開発に際して、

常にAIを制御する意識を捨てないことが必要だ。

(P.27)

 

AI研究のトップランナーたちは、

AIの「身体性」、

なかでも「手」の重要性に着目し、

さらにAIを進化させようとしているのだ。

(P.39)

 

人は「手」の獲得により、

ほかの哺乳類に比べ、

群を抜いた進化を遂げられた。

偶然なのか、

何かの遺伝信号なのかはわからないが、

二足歩行すると決めた瞬間、

人は「手」がフリーになった。

そのとき、いまの表現で言うなら、

人は知性体としての

最初のシンギュラリティを迎えたのだろう。

人ほど上手に、

自由に「手」を使いこなしている動物は、

ほかにいない。

「手」によって、

進化のジャンプを遂げた。

AIが人間社会で、

本当の意味で役に立つための成長をするには、

人間と同じように「手」を持ち、

自由に動き回らなくてはいけない。

それは進化論的にも、当然の帰結だ。

(P.51)

 

私たちはすでに、

自動車や電車や飛行機、

スマホといったテクノロジーを使って、

自分の身体能力を”拡張”して生きている。

移動やコミュニケーションにかかっていた時間が短縮され、

新たに生み出された時間を使って、

別のことをしている。

次は、「自分自身」を”丸ごと”拡張する。

(P.88)

 

意識が、自分そのものが、

AIとなって生き続けるという、

SFの世界の話が現実味を帯びてくるのだ。

いつでも自由に、

ロボットの身体を持って、

この世界に立つことができる。

それは、事実上の死の克服となる。

私たちは想像でしかなかった、

死の超克が実現する世界の入り口に立っているのだ。

(P.89)

 

開発の仕事の本質は、

よく”ものづくりよりものごとづくり”と言われます。

私も正しい理念だと思います。

”ものごと”をつくらないことには、

既存のものによって行動を制限されている人たちの不便を、

解くことはできません。

(P.106)

 

私には、人間は『心と身体と社会』から

できているという信念があります。

どんなに身体が元気でも、

心が疲弊すると動きだせない。

社会に出て行こうという気持ちになれないんです。

でも心をワクワクさせてくれるパートナーがいれば、

きっと意欲的に行動できるんじゃないか。

(P.110)

 

いつの時代も、テクノロジー

いち早くつかいこなしたものが有利となる。

新しいテクノロジーに適応して、

使い尽くす!と腹を決めた人が、

常識外れの偉業を成し遂げるのだ。

(P.152)

 

私たちにいま問われているのは、

「仕事が奪われる」とかいう次元の問題じゃない。

AIやロボットによってリデザインされる世界を、

どう生きるかという話だ。

(P.164)

 

AIやロボットは、

社会のインフラ構造ひいては資本主義の根底までを、

革新しようとしているのだ。

働くことをお金や生活との引き換え、

つまりトレードコストで考えていると、

その大きな流れに抗い続けることはできない。

わずかなお金と、生活の安心を、

人生の時間と引き換えにして、

本当に大切なものを、

変化の波に知らないうちに吸収されていく……。

そんな残念な状況が、私にはうかがえる。

(P.170)

 

これからの時代、生き残れるのは、

安定した仕事を与えられた人でも、

お金持ちでもない。

働かなくてもいい世界で、

なおモチベーションを持ち、

何かの行動を起こせる人が、

生き残れるのだ。

AIやロボットは、

そうした人たちをふるい出すツールでもある。

(P.173)

 

近年はGDPという「物差し」が

役目を終えつつあることを、

理解してほしい。

GDPはざっくり説明すると、

国民が働いた成果をすべてお金の価値に還元して、

計算された指標だ、

ひと昔前には機能していた。

しかし情報技術やテクノロジーの進化により、

「働く」ということの定義が、

急速に曖昧になってきた。

そんな時代に、

どれほど信頼できる指標になりえるのだろうか。

(P.174)

 

富の適切な再分配のために国家は機能していたが、

インターネットの効果により、

国家の中央集権的な施策が、

そぐわないものになってきた。

逆に国家があることで、

富の再分配がしずらくなっている状況もあるように思う。

(P.189~190)

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

テクノロジーが好きな方や

AIに関心を持つ方は面白いと思います。

 

これからAIがどう発展していくのか?

逆にどんな点が課題なのか?

そういった点を学ぶには良い内容です。

 

私自身もこの点は素直に学べましたし、

堀江さんの考えには

素直になるほどな…と頷くことができました。

 

でも、あれなんですよね。

別に堀江さんが本書を書いたわけではないんですよ。

 

おそらく堀江さんが話した内容を

ゴーストライターが書き記したのでしょう。

 

普段の堀江さんの使う言葉とは

微妙に違う感じを受け、

ああ、またゴーストライターか…というのが

わりとハッキリと見えてしまって残念でした。

 

別に堀江さんは作家でもないし

自分で書く必要はないんですけど、 

ゴーストライター利用をご本人が広言していたので

その点は結果的にマイナスのような気がしますね。

 

むしろ音声データで売ったほうが

堀江さんの熱情などがダイレクトに伝わってきて

いいのかもしれないなあと考えてしまいました。

 

おそらくニュアンス的には

それほどの違いはないのでしょうが、

変にクールであったり、

文章がキレイ過ぎてしまって

何だか堀江さんっぽくないのが残念です。

 

AIに関しての内容はよいだけに

ちょっともったいないなあ。

まあ堀江さんの問題ではなく、

出版社の問題なのでしょうけどね。

 

それでは、また…。

 

 

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