おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
なぜ買ったのか…。
よくわからないまま
積ん読となっている本ってありませんか?
私はかなりあります(笑)。
なにせ読んでは買い、
買っては読み…を繰り返していますので
もう数年前に買ったのに
なぜか手が伸びない。
でも何かの拍子で読んでみたら
もうメッチャ夢中になってしまって
もっと早く読めば良かったと後悔する。
こんなことってありませんか。
私はかなりあります(笑)。
そしてまさに本書はこのパターンでした。
今回ご紹介する書籍は、
【 自分の仕事を作る 】 です。
本書をピックアップした理由
『 自分の仕事を作る 』
西村 佳哲 ちくま文庫 を読みました。
私は職業柄ですけど、
仕事論、職業観、キャリア論など
常にアンテナを立てて
最新情報はキャッチアップしているつもりです。
ただ最新情報だから価値があるものではなく、
むしろ古い情報でも深く追求したもののほうが
よほど大きな価値があるケースは少なくないんです。
上っ面のキャリア論など
百害あって一利なしですし、
深く考えられたキャリア論は
そのまま人生論となって
充実した日々を生きていくために必須であります。
本書は角度を変えたキャリア本という感じがして、
当たるか外れるか、
チャレンジしてみようと考えて
恐る恐る手に取ったのでした。
目次
1 働き方がちがうから結果もちがう
2 他人事の仕事と「自分の仕事」
3 「ワーク・デザイン」の発見
補稿 10年後のインタビュー
感想
著者はプランニング・ディレクター。
建築設計分野の仕事を経て、
多様なデザインを手掛けているようです。
自称ではありますが、
働き方研究家として活動されていらっしゃいます。
もともと著者の仕事の領域から始まったようですが、
本書で取り上げられているのは
広い意味でのクリエイター、
モノづくりに携わっている方々です。
それもかなり尖がった方々なので
これが実に面白い。
建築設計事務所、デザイナー、
サーフボードシェイパー、パン屋さん、
プラモデルメーカーなどなど
医師のキャリアサポートをする私から見たら
正直、ちょっと遠い方々なんですけど、
ところが意外や意外、
とてつもなく勉強になりましたし、
メチャクチャ参考になりましたし、
何より考え方や生き方の多様性という点では
どんな職業の方でも非常に有益かと思います。
仕事について悩みがある方や
これからのキャリアや人生を検討中の方には
絶賛おススメできる良書ですよ。
では恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。
人間は、「あなたは大切な存在で、
生きている価値がある」というメッセージを、
つねに探し求めている生き物だと思う。
そして、それが足りなくなると、
どんどん元気がなくなり、
時には精神のバランスを崩してしまう。
「こんなものでいい」と思いながらつくられたものは、
それを手にする人の存在を否定する。
とくに幼児期に、
こうした棘に囲まれて育つことは、
人の成長にどんなダメージを与えるだろう。
大人でも同じだ。
人々が自分の仕事を通して、
自分たち自身を傷つけ、
目に見えないボディブローを効かせ合うような悪循環が、
長く重ねられている気がしてならない。
(P.10~11)
あるピアノ奏者に
「音楽家にとって、もっとも重要な能力とは何か?」という
質問をしたところ、
迷わず「聴く能力です」という答えが返ってきた。
自分が出している音を聴き取る力がない限り、
その先への進歩はない。
イメージと現実のギャップが感じられるからこそ悩めるし、
成長することも出来るが、
もし「自分は十分いい音が出せている」と感じたら、
そこがその人の音楽の上限となる。
だから、常に聴く能力を磨きつづけることが必要であり、
齢を重ねることによる進化もあるのだ、と話してくれた。
(P.29)
つくり手の観察力が低ければ、
なんでもすぐに完成する。
「できた」と思えるからだ。
が、逆にそれが高いとなかなか完成に到達しない。
(P.30)
20代、30代はできちゃう。
ただ40代、50代になってくると、
そういうパワーがどうしても落ちてくるんだよね。
できるはずのものができなくなってくるんだよ。
もちろんごく少数の天才は別だけど、
大部分の人はそうだ。
(中略)
それで僕は天才じゃないから、
そういうパワーみたいなものを、
ひとつのシステムにしようと思ったわけ。
(P.32)
合理的であること、
生産的であること、
無駄がなく効率的に行われることを
良しとする価値観の先にあるのは、
極端に言えばすべてのデザインがファーストフード化した、
グローバリズム的世界だ。
そのゲームから降りて、
仕事の中に充実感を求める時、
私たちには「時間」を手元に取り戻す工夫が求められる。
(P.49~50)
優れた技術者は、
技術そのものでなく、
その先に必ず人間あるいは世界の有り様を見据えている。
技術の話しをしている時にも、
必ず単なる技術に終わらない視点が顔をのぞかせる。
(P.73~74)
経験をデザインするということ。
五感の豊かさは、
人生の豊かさでもある。
(P.79)
結局のところ、
課題をクリアーしてゆく唯一の方法は、
何度も失敗を重ねることでしかない。
ほかに方法はありません。
(P.82)
大切なのは、
本当の問題を発見していく能力です。
表面的に目につく問題点は、
より根本的な問題が引き起こしている
現象のひとつにすぎないことが多い。
では、問題に深くアプローチしていく方法はなんでしょうか。
それは、机の上で頭を捻って問題を予測することではない。
早い段階から、可能な限り具体的にテストし、
トライ&エラーを重ねていくこと。
これに尽きます。
(P.82)
ほかの人の成功事例をマネすることが、
成功への近道だった時代がありました。
そうした時代には、
決められた設問に正確な解を出す学習法が
有効だったのは事実です。
しかし、ほかの人の成功事例をマネすることが、
必ずしも自分の成功を約束するものではなくなったのが、
いまの時代です。
昨日までの成功は、
今日の成功を意味しません。
そのような時代に大切なのは、
やはり創造力です。
そして創造力とは、
新しいものをつくりだす力を意味している以上、
失敗を避けて培えるものではありません。
(P.86)
考え方を考える。
(P.115)
日本の算数教育では、
4+6=▢という形で設問が用意される。
が、海外のある学校では、
▢+▢=10という設問で
足し算を学ぶという話を聞いた。
▢のなかの組み合わせは自由であり、
自分で考えるしかない。
(P.117)
いまは癒しの時代だそうで、
誰もが癒しを求めているというが、
本当にそうだろうか。
むしろ、どのように燃焼させればいいのかわからない
エネルギーの存在を感じる。
(P.128)
日本の企業組織には、
社内の意見は過小評価し、
社外からの意見は過大評価する傾向がある。
多くの会社で、
新しい仕事を阻む最大の障壁は社内の評価。
身内を過小評価する心性の裏側には、
自分自身に対する過小評価が貼り付いている。
「この会社にいる人間が考えることなんて、
たかがしれている」という見下した感覚が、
実は自分自身に向けられていることを自覚している人は
どの程度いるだろう。
(P.152~153)
彼らの仕事の価値は、
彼ら自身の存在に深く根ざしている。
しかしそもそも仕事の本質的な価値は、
そこになかったか。
誰が、誰のために、
それをつくっているのかということ。
どこの誰がつくったのかわからない
山のようなモノゴトに囲まれて生きている
現代の私たちの世界は、
むしろ異様なものかもしれない。
大事な人が自分のために作ってくれたモノであれば、
多少形がいびつでも、
それだけの理由で価値が損なわれることはない。
が、つくり手との関係性や物語性に欠けるプロダクトは、
モノそのものの美しさや機能に評価が集中しがちだ。
(P.163~164)
私のすべての仕事において、
モノを作る大事さ以外は、
まったく些細なことなんです。
気になることじゃあない。
丸いのがいいとか四角いのがいいとか、
この色はきれいだとかこの色は醜いとか、
そういうことは全部勝手な決めかたで、
理由なんて何にもないと思う。
(P.187)
モノづくりの基本は、
やはり”身体”というアンテナですよね。
(P.202)
都市の中で情報に埋もれていると、
感覚を常に閉じて鈍感な状態にしていないと、
やっていけなくなってしまうでしょう。
でも、僕は常に身体をクリアな状態にしておきたい。
自分が健康でなかったら、
人に優しくもできないしね。
(P.207~208)
放っておいても自然に出るのが個性である。
(P.229)
人生には、それ自体に価値のあるものが、
とてもたくさんあります。
経験というものは、
何か他のことに役立つから重要なのではなくて、
たんに存在しているというだけで重要なんです。
(P.229)
デザインの分野に限らず、
私たちは企業という母体からの
乳離れを始めているのかもしれない。
GDPの数値が、
豊かさの実感や人生の充実感に直結するわけではないことは、
既に知っている。
自分を満たす、自分事としての仕事。
もちろん、会社で働くことと個人で働くことを、
対立的に捉える必要はない。
要は、仕事の起点がどこにあるか、にある。
私たちは、なぜ、誰のために働くのか。
そしてどう働くのか。
「頼まれもしないのにする仕事」には、
そのヒントが含まれていると思う。
(P.238)
そんな暇があったら、
まずは手元にある仕事のやり方・在り方を
自分で変えてゆきたい。
自分の仕事に対するオーナーシップを、
常に自分自身が持っていること。
その仕事を通じて、
学びを拓きつづけていくこと。
(P.272)
仕事を通じて、
自分を証明する必要はない。
というか、
それはしてはいけないことだ。
最大の敵は、常に自意識である。
個性的であろうとするよりも、
ただ無我夢中でやるほうが、
結果として個性的な仕事が生まれる。
仕事とは自分を誇示する手段ではなく、
自分と他人に対するギフト(贈与)であり、
それが結果としてお互いを満たす。
これは理想論だろうか。
(P.274)
仕事は大きく2つあると思う。
「ありがとう」と言われる仕事と
そうでない仕事だ。
(P.275)
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
本書に登場する方々は
いわゆるサラリーマンではありませんから
ちょっと特殊ではあります。
しかしこれからの時代は
ザ・サラリーマンな働き方は
年々少なくなっていくと思われます。
スペシャリストの考え方や生き方は
多くの方の参考になるでしょうし、
著者はそれらをとても上手くまとめています。
これからの人生どうしよう…。
キャリアをどう構築すればいいのかな…。
そんな風に悩ましく考えていらっしゃる方には
参考になるところが多いと思います。
それでは、また…。
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