ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

14歳の子を持つ親たちへ

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人生100年時代と言われるようになり、

これからはキャリアも人生も

二毛作、三毛作となっていくと思われます。

 

それに伴い考え方も

過去と現在と未来では

敢えて変えていくような

柔軟性が必要になるかもしれません。 

 

いつまでも同じ時代が続くわけではありませんから、

自分をカメレオンのように変えることで

しなやかに適応していくことが

重要になっていくようにも思います。

 

子育てなどもそのひとつでしょうし、

その前提には自分の生き方、生き様を

子どもに背中で語ってあげることも必要でしょうね。

 

私たちは自分の狭い了見に閉じこもらずに

より良いものを次々と得ていくべきと考えています。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 14歳の子を持つ親たちへ 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 14歳の子を持つ親たちへ 』

内田 樹 名越 康文 新潮新書 を読みました。

 

私の敬愛する内田樹さんと

そのお友達、精神科医名越康文先生の

対談本です。

 

もうこの時点で読むっしょって話しなのですが

他にも理由はありまして…。

 

私の娘も中学1年生になりました。

早生まれなのでまだ12歳ですけど

乳幼児の頃とは違う

子育てに関する知識も身に付けておかないと

関係性の維持が難しくなるだろうと思っています。

 

思春期になれば

彼女もいろいろ思うところが出てくるでしょうからね。

 

そこで以前にご紹介した14歳シリーズです。

 

ka162701.hatenablog.com

 

宮台真司さんの「14歳からの社会学」。

この本も非常に勉強になりました。

14歳向けどころか、

大人が読んでも学ぶところ満載でした。

 

2匹めのドジョウではありませんが、

14歳シリーズ第2段として

本書を手に取ってみた次第です。 

 

目次

第1章 道徳という「フィクション」を作り直そう

第2章 病気なのは親の方?

第3章 二極化する文化資本

第4章 「自分」は一つではない

第5章 教養とは「何を知らないか」を知ること

第6章 義務教育は十三歳までに?

第7章 エンタテインメントという「大いなる希望」

第8章 親は役割である 

 

感想

さすが!としか言えない面白さでした。

内田さんと名越先生の対談ですから

ど真ん中の直球がビシバシと投げ込まれます。

 

あくまでも「14歳の子を持つ親たちへ」ですから

対象とするのは「親」に対してです。

 

「親」とひと括りにしても

そこには様々な子育てのポリシーがあるでしょうし、

その背景となる人生論や職業観もあるでしょう。

 

内田さんは思想家として、

名越先生は精神科医として、

豊富な経験や知識、知性や教養を持っていますので

そんな親世代に対して、

まあまあ肩肘張らんで

まずは我々の話しを聞いてごらんよ…と誘います。

 

そこで少し話しを聞いてみると

一気に引き込まれていく。

 

ふむふむ、なるほど、

それで、つまり?と関心が高まります。

 

下記の私がグッと来た箇所のご紹介などを読むと

年頃のお子さんを持つご両親は

購入意欲が湧いてくるかもしれませんね~。 

 

私たちがここで勧奨しているのは、

「子どもが何を考えているのかわからない」

「どう対処していいのかわからない」

という事実を

「早急に修復すべきトラブル」とみなさず、

むしろ

「子どもが何を考えているのかわからなくて当たり前」

「どう対処していいのかわからなくて当たり前」

という仕方で、「腹を括る」ことである。

(P.11)

 

批評的立場の根本的矛盾なんですけど、

厳しく現状を批判する人間って、

どこか無意識的に事態がますます悪くなることを

望んでいるんです。

(P.20)

 

エスタブリッシュメントというか、

メインストリームのシステムが、

いっぺん「全取っ替え」しないとダメなくらいに

ガタが来てるってことじゃないですか。

(P.35)

 

コミュニケーションの現場では、

理解できたりできなかったり、

いろんな音が聞こえているはずなんです。

それを「ノイズ」として切り捨てるか、

「声」として拾い上げるかは

聴き手が決めることです。

そのとき、できるだけ可聴音域を広げて、

拾える言葉の数を増やしていく人が

コミュニケーション能力を育てていける人だと思うんです。

もちろん、拾う言葉の数が増えると、

メッセージの意味は複雑になるから、

それを理解するためのフレームワーク

絶えずヴァージョン・アップしていかないと

追いつかない。

それはすごく手間のかかる仕事ですよね。

(P.48~49)

 

一部の例外を除いて80%……70%ぐらいかな。

70%の若い人の感情表現はね、

二つの言葉以外聞いたことがないですよね。

「むかつく」と「かわいい」。

これ以外の感情表現を、

日常的に聞いたことないですよ。

(P.51)

 

自分が自分について語ることは、

つねに語り足りないか、

語り過ぎるかどちらかで、

自分の思いを過不足なく

言葉にできるなんてことは起こりえない。

だから、ぎりぎりのところで

それに触れそうな言葉を

次々とつなげていくしか手がない。

そして、逆説的なことですけど、

言葉による完全な表現を断念した人間だけが、

豊かな言葉を獲得してゆくことができる。

(P.56)

 

それなしでは人間が生きていけない

最低限の欲求があって、

それを家族のメンバーが提供する。

その対応関係がきちんとしていれば

家族は基本的にはオッケーなんです。

そういうことがきちんとできてから、

もっと複雑な家族関係に進めばいい。

(P.60)

 

ほんとに、怒るか泣くかですね。

笑いも少ない。

当然ですよね。

だって、求めているものが

完璧なコミュニケーションで、

自分の家族も全員が十全に理解し合うという、

ありえない達成目標を掲げて、

家族をやってるわけですから。

(P.63)

 

「主従」というと、

いやがる人が多いけど、

相手を自分よりも上に置くというのは、

自分よりも大切な、

自分よりもより細やかな配慮を

必要としている人というふうに

関係を非対称的に設定しているということですから。

他者からのメッセージというのは

そういう非対称的関係じゃないと届かないんですよ。

(P.65)

 

大人の側が見せるその驚きが

子どもには必要なんです。

子どもの喜びっていうのは

大人に敬意を払われた、

大人に一目置かせた、という経験なんですよ。

人は愛のみによって生きるにあらず。

愛だけでは駄目。

敬意が必要なんです。

(P.71)

 

与えなければ絶対に受け取れない。

ほんとうに欲しいものは自力では手に入らない。

他人から与えられるしかないんです。

それがほんとうに自分が欲しいものだったということも、

相手に与えないとわからない。

だから「愛」を他人に贈った人だけが、

「あ、愛って、これなのか」ってわかるんですよ。

それがね、なんだろう。

タイムラグができているんですよね。、

「愛ちょうだい」っていうね。

(P.73)

 

「オレはどこまで行ってもオレだ」じゃなくて、

「オレはここではAであり、

あそこではBであり、

あっちのほうだとCである……」というあり方のほうが、

ずっと自由で、ずっと豊かだと思うんです。

人間の不幸って、最終的には

「自分が自分でしかない」っていうことでしょう。

(中略)

それは「自分探し」とか、

自己実現」とかいう言葉が

支配的になったことと関係があるんじゃないかな。

「自分はどこに行っても自分だ」、

「メンバーの組み合わせが変わっても私は私だ」

というような、

首尾一貫していいように聞こえるかも知れないけれども、

そんなのまるで味気ないですよ。

(P.101)

 

すごい斬新だったなと思うのは、

過去の記憶というのは

絶えず作り変えられる可能性があるということが

前提になっていることです。

特にある状況のもとに語られる記憶というのは、

現在を投影しているんだ、という視点をもって

分析するんですよね。

(中略)

「人間は過去を前未来形で語る」って。

(P.105)

 

人間って理解できたことに基づいて

生きるんじゃなくて、

実は理解できないことを中心に

生きているんだと思うんです。

「わかった」と思った瞬間に、

それは視野から消えて、

わかんない問題だけが目の前にあるわけで。

わからない問題をいっぱい抱えている人が

知的に活発な人なんです。

だって、全部わかったら

脳はもう機能しないんだから。

(P.107)

 

メディアって結局、

基本的なフレームがあって、

その中にうまくはまらない現象というのは

報道しないんですよ。

別に意図的に「しない」というんじゃないけど、

うまく収まらないので番組にならない。

(P.169)

 

時間に限界があると知った時に、

人間というのは

善人になるという考え方だと思うんですよ。

(P.172)

 

親がどう思っていようとも、

子どもが親の望む通りに育つことなんて

まずないです。

子どもの集中力を削ぐようなことを

あまりせずに、子どもを信じて

親の方は控えて見てたらいいんじゃないでしょうか。

子どもがグーっとひとつの事にのめり込んでる時に、

つい邪魔しちゃう大人って多いんです。

意識をせずとも、

いつの間にか邪魔しちゃってる。

(P.184)

 

「しつけ」って

言い換えればルーティンということでしょう。

(P.196)

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点とします。

 

本書は子育て本という範疇を超えて

より良い人生を歩むための考え方や

ノウハウが書かれている本であると思いました。

 

やはり親の責任って重いと思うんです。

でも本気で責任を痛感している方は

それほど多いとは思えず、

むしろ人の親であることを放棄してしまっているように

見えるケースも少なくありませんね。

 

別に14歳前後である必要はありません。

 

これからお子さんが生まれるとか、

妊活しているとか、

まだ乳児だ、幼児だという方々でも

本書に書かれている内容は知っておいたほうが良いです。

 

いやむしろできるだけ早い段階で知ったほうが

それだけ心構えや準備ができますから

効果的であるとも思えます。

 

また子育てを考えることで

自分自身の考え方や生き方を振り返ることも

できるでしょう。

 

人生をブラッシュアップする。

子育てや家庭をより良いものとする。

 

そのための必読書ですし、

参考になるところは多いのではないでしょうか?

 

私自身もいろいろ考えさせられましたし、

ある点では、

カチンとスイッチが切り替わったようなところもあります。

おススメいたします。

 

それでは、また…。

 

 

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