ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

さっさと不況を終わらせろ

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

知性と教養が求められる時代だと思います。

いやそんなのいつの時代でも求められていますし、

たっぷり身に付けている人も多いですし、

あんまり身に付けていない人も多いですね。

 

しかし私はこれからの未来は

知性と教養こそが

我が身を救うのではないかと考えています。

 

別に大層な理由があるわけではないのですが、

知性と教養がないと

あまりにも多くの情報に振り回されるのではないかと。

 

情報過多と言われる時代ですし、

一説によると

現代人が1日に触れる情報は

江戸時代の人たちの1年分に値するそうです。

 

そう考えると

江戸時代はゆったりしていていいなと思いますけど

まさか江戸時代に戻れるわけではありませんから、

この情報の渦に巻き込まれないように

自分をしっかりと保たねばなりませんよね。

 

私はここに知性と教養が発揮されるのではないかと感じています。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 さっさと不況を終わらせろ 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 さっさと不況を終わらせろ 』

ポール・クルーグマン 早川書房 を読みました。

 

私は別に経済の専門家ではありませんから

最新の情報を得ようとは思いませんけど、

ビジネスパーソンの1人として

経営者の1人として

大きな経済の流れや

大事な原則は抑えておきたいと常々考えており

時々こうして経済本を読みます。

 

今まで読んできた経済本のなかで

おススメしたいものを下記に一部お知らせしますね。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

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本書はノーベル経済学賞を取った

ポール・クルーグマンさんの著書ということもあり、

よし、久しぶりに経済を勉強しようと思い

手に取ったのでした。

 

ja.wikipedia.org

 

目次

はじめに これからどうする?

第1章 事態はこんなにひどい

第2章 不況の経済学

第3章 ミンスキーの瞬間

第4章 たがの外れた銀行家たち

第5章 第二の金ぴか時代

第6章 暗黒時代の経済学

第7章 不適切な対応の解剖

第8章 でも財政赤字はどうなる?

第9章 インフレ:見せかけの脅威

第10章 ユーロの黄昏

第11章 緊縮論者

第12章 何が必要か

第13章 この不況を終わらせよう!

後記 政府支出については実際のところ何がわかっているの?

 

感想

これは私の個人的な考えですけど

経済に関しては

あまり時流に乗り過ぎないほうがいいと考えています。

 

なぜなら最新のほうが本は売れるんでしょうけど

後々考えてみたら間違っていたというのが

赤裸々になりますから。

 

であれば少し前の本を読んで

何が正しくて何が間違っていたのかを

きっちり理解したほうが良いと考えています。

 

経済の専門家であれば

最新情報を掴む必要はあるでしょうけど

私は最新よりも冷静な分析を欲しています。

別に専門家ではありませんし。

 

ちなみに本書は2012年7月に発行しており

時代的にはリーマンショックから

いかにして立ち直るか?という対応を

世界中が四苦八苦して行っていた頃です。

 

今では正解が見えていますが、

当時はまだ喧々諤々としていたのですね。

 

しかもクルーグマンさんは

当時から若干異質と言いますか、

本書においてのメインテーマは…

 

深刻な不景気に陥った経済で、

金融当局が左右できる金利がゼロ近くにあるときには、

政府支出は減らすのではなく増やすべきだ。

(P.296)

 

であり、さらには…

 

本書の主張はきわめて単純明快。

いま(2012年)はまだ、

リーマンショック以後の不景気が続いていて

まともに回復していない。

そして失業者の技能や労働市場での価値の低下から、

その害が一時的なものではなく、

長期的な被害になりつつある。

だから景気回復策をきちんとやろうということだ。

そして、その手法も明快。

昔ながらのケインズ的な財政出動をやろう、

赤字国債を出して、大量の公共事業をやろう。

いままで行われている景気刺激策は小さすぎる。

これまでの規模の数倍をどーんとやるべきだ。

ちゃんとGDPの需要と供給とのギャップを見て、

それを埋める規模のものを一気にやるべきだ。

そして中央銀行はそれを金融緩和で徹底的に支援すべきだ。

それに伴う財政破綻だの金利上昇だのは、

悪しき固定為替制度の下にある、

ユーロ圏のスペインやイタリアのような

かわいそうな国以外は、まったく心配する必要はない。

(P.305~306)

 

このように巻末の訳者解説でまとめられており、

本書はこの主張の肉付けをしているに過ぎません。

 

それがユニークでわかりやすく興味深いのですが、

私が当時のアメリカ大統領だったら

この案に乗っていたかもしれません(笑)。

 

というか、バブル崩壊以降、

日本経済は数値的な好況はあっても

多くの国民が実感できる好況はないんですよね。

 

不況が長く続き、

少しまともになってきたかなあと思うと

次の不況が来る。

 

こんな感じで失われた20年どころか、

30年、40年、50年と続いているようにも感じます。

その結果として私たちの給料は

主要先進国で最低水準となっているわけですから

政府や日銀や財務省の政策は間違え続けていると

言えるのではないでしょうか?

 

もしクルーグマンのアイデア

日本政府が実行に移していたら?

 

もしかしたら強い日本経済が

まだ続いていたかもしれません。

もちろんわかりませんけどね…。


この不況を終わらせるための

行動を取らない言い訳はいろいろあるが、

何もしないのを正当化したがる人が

必ず言い出す常套句がある。

曰く、我々は短期にこだわらず長期を見据えるべきだ、と。

これは多くの水準で間違っている。

(中略)

何よりこれは知的な逃亡であり、

現在の不況を理解する責任の放棄になる。

(P.29)

 

日銀や財務省にこういう言い訳はなかったかな?

少なくとも責任放棄はしているように見えるけど。

自分たちは正しいと妄信していますけど

国民は苦しんでいますよ。

それで正しいですかね?

 

結局、経済の活性化って

国民経済にしかないと思うんですよね。

数字上のデータではない。

だっていくらでも都合のいいようにできますから。

 

要は国民がそれなりの収入を得て、

安心してそれを使えるという社会。

そう考えると…

 

あなたの支出はぼくの収入であり、

ぼくの支出はあななの収入になる、という事実だ。

(P.47)

 

これが経済の大原則ですよね。

支出できる余裕がないから

経済はさらに収縮していく…。

 

負債水準がそこそこ低ければ、

悪い経済事象は少ないし稀だ。

だから負債の少ない経済は、

負債が安全に見える経済となりがちで、

負債がもたらす悪いことの記憶が

歴史の霞の中でぼやけてしまうような世界となる。

時間がたつにつれて、

負債は安全なものだという認識から、

融資基準の緩和が生じる。

事業者も世帯も、借金のクセがついてしまい、

経済全体のレバレッジ水準は上がる。

これらがすべて、

もちろんながら将来の大災厄の舞台を整える。

(P.72)

 

我が国の財政赤字はとんでもないことになっているけど

これだって政府のお金の使い道が間違っていた証拠でありますよね。

 

でも負債を恐れて

必要な時に財政出動を躊躇したり、

金融政策を打たなかったら

さらに負債は大きくなるんですよね。

 

国民がお金を使い、

税収を増やさないと負債は減りません。

 

だれかが損失に対して保険をかけてくれているから。

(P.81)

 

デリバティブをはじめとして

金融が複雑になり過ぎてしまって、

実態が見えにくくなっているのも

経済成長の足かせになっているのかもしれませんね。

 

金融業界の仕掛け屋たちが投資家に儲けさせた場合でも、

いくつか重要な事例では、

社会全体にとって価値を創造することで儲けさせたんじゃない。

実質的には他のプレーヤーから

価値をむしり取ることでそれを実現した。

(P.112)

 

そしてこれです。

お金は天下の回りものと言われますけど、

それは価値を生み出し続けるのが前提ですよね。

 

何ら価値を生み出すことなく、

ゼロサムゲームになってしまうなら

それはただのギャンブルです。

 

最近の金融市場はそんな風に見えて仕方がありません。

 

インフレが一向に思った通りの上昇を見せない以上、

インフレ懸念論者としてはいくつかの選択肢がある。

まず、自分がまちがっていたと認めること。

二つ目は、データをあっさり無視すること。

あるいは、データがウソをついていて、

政府が真のインフレ率を隠していると主張すること。

(P.210)

 

インフレ懸念論者だけでなく、

あらゆるプレーヤーが責任転嫁のために

勝手きままに発言していますよね。

 

人間社会の難しさです。

 

この経済危機を

道徳劇にしたいという願望は相変わらず続いている。

不況というのは以前の罪がもたらす必然的な結果であり、

したがってそれを緩和してはならないというわけだ。

(P.265)

 

経済はお金の動きです。

道徳ではありません。

道徳的であるべきなのはルールです。

作るほうも、守るほうも。

 

私たちが暮らす経済社会の突出した失敗とは、

完全雇用を提供できないことであり、

そして富と所得の分配が恣意的で不平等であることです。

ジョン・メイナード・ケインズ「雇用、利子、お金の一般理論」

(P.268)

 

さすがにケインズはいいことを言っていますね。

でも今だに解消できていないのが

現代社会の大問題です。

 

財政政策が重要だという証拠は、

かつてないほど強くなっています

財政刺激は経済が職を増やすのに役立ち、

財政赤字を減らそうとすれば少なくとも

短期的には成長を引き上げてしまうのです。

それなのに、この証拠は

立法プロセスには伝わっていないようです。

(P.303)

 

そうそう、政治家が経済を知らなすぎる。

もっと経済に詳しい政治家を選出するか?

政治家が経済に詳しい人間をブレーンに揃えるか?

 

日本経済は危機的状況が長く続いているだけに

クルーグマンさんの考えは実に参考になります。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

率直に言って

とてもわかりやすく

フレンドリーな文体で読みやすかったです。

 

クルーグマンさんの主張が正しいかどうかは

私には判断が付きませんが、

理が通っており可能性はありそうだと思いました。

 

それよりも何よりも

自説を裏付けるために

経済の原則を解説し、

過去の歴史的事例を丹念に拾い上げているのが

私には勉強になりました。

 

そこをないがしろにしては

やっぱり判断を見誤りますよね。

 

せっかく学んだ経済原理。

会社や個人に落とし込んで

有効に活かしてまいります。

 

それでは、また…。

 

 

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