おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
人生とは何ぞや?
答えなんてそう簡単に出せるものではありませんし、
明確な答えがあるとも思えません。
私たち1人1人が
自分らしい答えを探し続けねばならないのでしょうね。
ただそのためには「判断材料」が必要です。
自分の考えよりも優れたものを吸収し、
自分の考えをよりブラッシュアップするのがいいですよね。
学びというか、
情報収集というか、
日頃の積み重ねが自分のためになりますよね。
人生を学ぶ。
大きなテーマですが、
日常の忙しさで余裕を失ってしまい
なかなかできなかったりもするんですよね。
私は時々この方から
人生を学ばせていただいております。
今回ご紹介する書籍は、
【 日本人の甘え 】 です。
本書をピックアップした理由
『 日本人の甘え 』
曽野 綾子 新潮新書 を読みました。
かな~り賛否両論がある曽野さん。
それをよく理解しながらも
私は結構好きなんですよね。
この方の考え方にはブレがなく、
クリスチャンであることや
アフリカなど海外の知見を持っているところが
すごく面白くて、
彼女の発想や生き方はかなり勉強になってます。
まあ嫌いな方は嫌いなんでしょうけど
まだお読みになったことがない方は
1度くらいお試ししてもいいと思いますよ。
ちなみに私は過去下記の著書を読みました。
前回、曽野さんの著書を読んでから
ずいぶんと時が経っていましたので
楽しみにして手に取った次第です。
目次
第1話 動物の原則に逆らう覚悟はあるか
ー待機児童問題が内蔵する嘘
第2話 打算的処世術と権威主義の臭い
ー日本社会の体質変化
第3話 マスコミの思い上がり、退化、幼児化を憂う
ー庶民の無言の選択
第4話 「理解」は人間性の見事さではない
ーアラブ的思考を学ぶ
第5話 人間が極限の生きる力を出しきる時
ー難民の現実的困難
第6話 痛みに耐えて歩く人々と「道の人」
ー「小さなパン三個」の精神
第7話 自ら選ぶ自由と可能性を贈る
ー医師が患者を治す意味
第8話 日本を許してあげて下さい
ー国家的対応の限界
第9話 目の前に立ちはだかる絶対の障壁
ー積乱雲の記憶
第10話 神は人生のすべての瞬間の立ち会い人
ー人生の原型
第11話 原則を守るためには適用も要る
ー物事の基本
第12話 過保護が心身の免疫力を失わせる
ー不潔と不純の恵み
第13話 破壊的にでなく、穏やかに個性を貫く
ー服装が語る過去と現在
第14話 食事には餌の摂取以上の意味がある
ー会話とものを大切に
第15話 人間のすべてのことは、いつか終焉が来る
ー人の世の理
感想
う~ん、面白い。
もういいおばあちゃんなのに
曽野さんの考え方は私にとって刺激になります。
やっぱり賛否はかなりあると思いますよ。
どうしてそういう言い方をしちゃうんだろうかとか
そこに切り込むと炎上しちゃうよというのを
曽野さんは悪気もなくしちゃうんですね。
でもそれが曽野さんなのだし、
作家ってのはそんなもんとも言えるのかもしれません。
なんだろうな、
私はその少し世間ズレしていて
でもブレない姿勢が好きなのかもしれません。
本作品もなかなか味わい深い内容でした。
現代人の甘えをズバッと切り捨てて
人の世の道理を
曽野さんらしくビシッと発言しています。
私たち現代人はいつの間にか
甘えどころか、
思い上がりや勘違いもあるように思います。
イチイチ具体例を出して
ズバズバ歯に衣着せぬ指摘をするのは
私から見たらスカッとしますが、
まあこの辺りが気に食わない人はいるでしょう。
それでも曽野さんのスゴイのは
ブレない、軸がしっかりしている、
たぶん曽野さんならこう言うだろうなという期待を
見事に裏切らない。
現代社会への警報とも言え
私はなるほど…と思うところが多かったです。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
生活の格差はいけないだの、
高等教育を受ける権利まで平等にせよなどという点までは、
問題にされていない。
義務はいけない、
すべて自由な選択の結果であることが必要だ、
などと言っていると、
難民救済は
ほとんど実現不可能な事業になるように思われる。
(P.92)
これ、難民救済の話しなんですけど
政策立案とか、何だかあらゆるものに当てはまりますよね。
シンプルこそ実行力だと思うのですが
我が国は忖度、忖度、
複雑化して効果も小さいのが現状ですよね。
江戸時代の末期みたい。
医師は患者の治療後の人生に、
一喜一憂することはない。
医師は患者が、
自ら選ぶ自由と可能性を贈ったのだ。
極限すれば、
医師は将来殺人や盗みを働く患者でも治さねばならない。
また治す意味があるのだ。
(P.106)
私が医師のサポートを仕事としているので
この言葉がスッと心に入ってきたのもありますが、
医療の本質を突いているように感じました。
医師の凄さでもありますが、
感情的には心を鬼にしている時もあるのでしょうね。
私たちは、まだ生きていたければ、
積乱雲の中に決して入って行くことはない。
もしそれが眼前に立ちはだかったなら、
私たちは迂回して行かねばならないのだ。
立ちはだかる暴力はこの世にいくらでもある。
戦争しかり、経済危機しかり、
失恋しかり、愛するものとの死別しかり、である。
(P.132)
積乱雲に飛行機で突入するのは危険だという話しですが、
生きる=リスクと隣り合わせという
超現実を私たちは見失いがちなのかもしれません。
世界中ではリスクどころか
実際に生死のギリギリのところが多いわけで
もっと私たちはリスクを直視し、
何より現実としてあり得ることを理解しなければなりません。
しかし堕落が始まると
社会主義も資本主義も区別はなかった。
堕落の形は全く同じだったのである。
(P.136~137)
チリのアジェンダ政権が転覆した時の話しですが、
確かに社会主義とか、資本主義とか、民主主義とか、
そんな主義主張は関係なく
社会が崩壊し始めたら止まらないのでしょうね。
果たしてこの国は大丈夫なのか?
戦争という理不尽は、
私にあらゆる原始的生活を教えた。
だからあの時代はもう真っ平という同世代人は多い。
しかし同時に、
物事の基本を見せつけられて来たことへの感謝もある。
水はどこからどういう形で流れて来て、
どういう危険を伴うか、
稲はどこにどんな形で生えて米になるか、
昔はどんな子供でも知っていた。
しかい今では秀才でも、
こういうことを知らなくなったのである。
(P.161)
経済成長を果たした我が国は
安定、便利、安心な社会を手にするとともに
人として当然あるべき姿、
知っておくべき事象を
忘れかけているのかもしれません。
戦時中が良いなんて
これっぽちも思いませんけど
人として、生きるたくましさのようなものは
もう1度思い出さねばなりませんよね。
人間はあらゆる時に、
会話を楽しむべきなのである。
時には沈黙がいいこともほんとうだが、
会話なしに人間社会はあり得ない。
(P.180)
言われてみれば当たり前ですけど
確かに…と頷かされます。
毎日誰かと会話してますけど
その大切さをもっと噛みしめるべきなのかもしれません。
すべてのものは、
それがそうなっているには、
必然があるとも思えたからである。
(P.181)
そっか。そうかもしれないなあ。
何でもかんでも敏感に反応して
否定、非難、批判がうずまく時代ですけど
そこに必然性があるのなら
イチイチ反応するのは自己満足でしかありませんね。
もっともっと冷静かつ深い洞察が必要です。
人間のすべてのことは、
いつかは終焉が来る。
(P.206)
そうなんですよね。
ごく当然のことなんですよね。
でも意識してませんね。
よく生死の狭間から戻った方が
その後に大成功したりしますけど
終わり寸前まで行ったからこそ
理解できたものがあるのでしょうね。
終わりから逆算すれば
私たちはもっと有意義に生きていけそうです。
私の場合、もっともよく遊びかつ働いたのは、
六十歳から八十歳までであった。
(P.213~214)
こ・これ!すごくないですか?
60才~80才がもっとも遊んだ?
もっとも働いた?
若い頃に怠けてたわけではないでしょうし、
80才を過ぎた曽野さんが
この発言をすることの凄さを私は驚きとともに感じましたし、
まだ50代前半の私は
まだまだひよっこみたいなものかもしれないなあと
しみじみ感じてしまいました。
私も80才を過ぎた時に、
こんな発言ができたら
それはそれでステキな人生かもしれません。
わかりませんけど…。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
どう生きるか?
どう考えるか?
自由です。
個々それぞれの自由で
自分らしくあればいいと思います。
曽野さんの言葉は自由なんですね。
しかも曽野さんらしさが満載です。
似たようなことを言う人はいるかもしれませんが
おそらく右に出る人はいないでしょう。
その個性が、軸が固まっている姿勢が
「生きる」実感を手にできるのだと思います。
曽野さんは「幸福」を知っているんです。
だから普通に生きているだけ。
しかし同じ生き方をできる人はいません。
私たちは曽野さんの言葉から人生を学び、
自分らしい人生に組み込むしかありません。
たぶん本書には
そのエッセンスが散りばめられていて
読者はどこかにビビっと来るのではないでしょうか。
良書でした。
それでは、また…。
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