おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
古典を読め。
私自身、何度も何度も
いろんな方から聞いてきた言葉です。
でも古典って
読みにくいものが多いですし、
時代背景に理解できないところも多く、
若い頃はなかなか手が出なかったのは確かなんですよね。
ところが不思議なもので
年を経るごとに段々と読めるようになってきます。
私自身も30代半ば以降は
なぜか古典に手が出るようになりました。
別にわかりにくいところを
よ~く理解できるようになったわけではありません。
たぶんわからないものを
わからないままにしておく「術」というか
わからないものを仕舞っておく「場所」を
自分の中で手にしたのかもしれません。
得たものを一旦ここに仕舞っておけば
いつか何かの役に立つというプロセスを知り、
実際に役立った経験を味わってから
わからないもの、
今はわかりそうにないものでも
チャレンジするモチベーションが高まりました。
とはいえ遅ればせながらの古典へのチャレンジです。
まだまだ読みたいけど読んでない本は多いです。
今回ご紹介する本作品は
このコロナ渦で急に売れたそうですね。
確かにメディアでも話題になりましたし、
「人間」対「ウイルス」の戦いを知るためには
必須の古典文学とも言えるかもしれません。
そんなことを考えながら
かなり気合いを入れて読み始めてみたのでした。
今回ご紹介する書籍は、
【 ペスト 】 です。
本書をピックアップした理由
『 ペスト 』
いつか読もうと思い、
随分前に購入していた本書です。
おそらく3~4年前に購入し、
ずっと積ん読になっておりました。
新型コロナの感染者が増えて、
コロナ関連の情報に触れない日がない毎日となり
まさに「読むなら今だろう!」と強く思ったのですが…。
これがいろいろありまして…。
最初は相当に学ぶこともあるんじゃないかと思いながら
手に取ったのですけど…。
目次
本書にはなかったです。
感想
率直に申し上げて
本書を読み終えるのには
かなり時間が掛かりました。
私の読むスピードは決して遅くないのですが
普通の2倍どこから、3倍、4倍の時間を要しました。
理由は2つあります。
ひとつは「ペスト」で
次から次へと人が亡くなるわけですが、
コロナ渦ということもあり、
何だか辛くなってしまったのです。
たぶんコロナのことがなければ、
読むタイミングはもっと先だったと思うのですが、
あえてこの時期に読み始めたのは
少し失敗だったような気がしてしまい、
私たちの日常に近いところがあって
読むスピードが相当に遅くなってしまいました。
コロナの感染者数がグッと減少し、
落ち着き始めた頃から読むスピードはグンと早まり、
何とか読み終えたという感じです。
もうひとつは「読みにくい」という点です。
世界的な名作と言える本だと思いますし、
おそらく今まで何億人という方々が
本書を読んで、受け継がれてきていると思うのですが、
「翻訳」の問題なのでしょうか?
本書の初版が出版されたのは1947年らしいですが
時代背景は何となく理解はできますし、
描かれたアルジェリアのオランという町は知らないですが、
そんなに違和感はなかったです。
ストーリーも別に複雑なわけではないし、
登場人物も凄く多いわけではないのに
なぜか読み進めるのに時間が掛かりました。
カミュと私は相性が悪いのか?
それとも翻訳者との相性が悪いのか?(苦笑)
う~ん、世界中の人に読まれている本なのに
なんでこんなに読みにくいの?
自分の知性の問題なの?
何かオレがおかしいの?と
疑問を持ちながら読み進めていったのですが、
読後にAmazonのレビューを見たら
同じような感想を持った方が多かったのでひと安心。
どうやら「訳」の問題のようです。
小説としてもったいない感じを受けました。
内容としてはシンプルです。
ペストが広まり、感染者が激増し、
それに伴い死亡者も増えて、街は閉鎖。
今のようにワクチンがあるわけでもなし、
特効薬が開発されたわけではないけど
段々と終息を見せ始め、
ようやく街が解放される。
ざっくり言えばこんな感じですが、
ここに人間模様というか、
それぞれのトピックスを丁寧に描き、
特にコロナ渦である現在では
妙に想像力をかき立てられるところもあります。
それが面白い半面、
やっぱり辛いところもあり、
もう少し冷静に振り返ることのできるタイミングで
読めば良かったなあという後悔も若干あります。
この頃って今とは違って
マスクが一般化されていたわけではありませんし、
消毒液なんてものもなかったでしょうし、
ペストの原因が明らかになったわけでもなし、
ワクチンなし、治療薬なし、
科学的な叡智がどこまであったのか、
それでもペストは終息したわけで
今の日本の状況に似ているかもしれません。
なぜかよくわからないけど収まった。
まあコロナに関しては
日本以外の国ではとても収まったとは言えませんので
まだまだ油断はできませんが、
本書におけるペストは
よくわからないうちに収まったのですね。
小説ですから
あながち全てを現実と同じに考えることはできませんが、
もしかしたら「人類」と「ウイルス」の戦いって
そんなものなのかもしれないなあと感じました。
長い歴史を振り返れば
我が国でも、世界中でも、
インフルエンザなども含めて
ウイルスは常に同居しているようなものですし、
戦って勝つというのは
一部のウイルスだけを見ればあり得る話しですけど
全戦全勝とは行かないわけですね。
やはり究極的には予防なのだろうな…と。
私たちにできるのは
できるだけ感染しないような行動を取り、
万が一感染したら
他の人に移さないように気を付ける。
ペストの時代と比較すれば
ワクチンやマスクや消毒液など
たくさんあるわけですし、
科学的にも、医学的にも
飛躍的に情報は増えているのですから
多少なりとも戦いは有利になっていますもんね。
非科学的な妄言に翻弄されることなく、
出来る限りの予防をすること。
本書から学んだのはその点ですかね。
あとは人間の恐ろしさ。
パニックになっておかしな言動をし始めたり、
意味のない行動をしたり、
やっぱり人間って「普通」であることが大事であり
常識的な生活を崩さないのも大切なんですよね。
当たり前のことを当たり前にこなす。
そういうことができなくなるのがパニックですから
冷静沈着であることが
我が身を救うことのひとつであるという点は
しみじみと感じました。
評価
おススメ度は ★★★☆☆ といたします。
前述したように
名作でありながらも読みにくいです。
もしこれからお読みになる方がいたら
それを覚悟の上で手に取ることをおススメします。
ただ先に読みにくいというのを知っておれば
意外と行けるかもしれません。
日本語で書かれていますからね。
私がフランス語に長けていて
原作を読めたら
もっと違う感想になったかもしれません(笑)。
ウイルスとの戦い。
私たちはこのコロナを味わい
今は意識が高くなっていますが、
本当は常日頃から意識すべきなのでしょうね。
一部の医師や研究者だけでなく
せめて興味を持ち続けることは
とてつもなく大事なのだろうなと思いました。
現代人はあまりにも「死」から遠ざかっていて
医療者に丸投げしているのが現状です。
でも本当は私たち1人1人が
もっと「死」を考えて
そこから逆算した人生設計をすれば
「生」を充実したものとできるのではないでしょうか。
それでは、また…。
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