ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

ズラシ戦略 今の強みを別のマーケットに生かす新しいビジネスの新しいつくりかた

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

当ブログは完全に私の読書記録です。

 

かなり幅広いジャンルを

貪るように読んでいますので

なかなかお付き合いする方も増えません(笑)。

 

でもそれでいいんです。

別にこのブログで金儲けをたくらんでいるわけでもなく、

アフィリエイトしようとも思いませんし、

興味をお持ちになる本があった時だけ

そのブログだけを

チラっとお読みになって下されば嬉しいです。

 

自分で言うのも何ですが、

ホント雑食ですもんね。

 

今回は経営本です。

私も一応は経営者なものですから

時々はこういう内容も読んでおきます。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 ズラシ戦略

 今の強みを別のマーケットに生かす

 新しいビジネスの新しいつくりかた 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 ズラシ戦略

 今の強みを別のマーケットに生かす

 新しいビジネスの新しいつくりかた 』

並木 裕太 ディスカヴァー・トュエンティワン を読みました。

 

本書を選んだのは

完全に「タイトル」です。

 

その昔、CDを購入する際に

ジャケ買いとか言われましたよね?

 

若い方は何のこっちゃ?かもしれませんが

歌手や曲で選ぶのではなく

ジャケットで選ぶというのがありました。

 

それと同じような感覚で

本書は「ズラシ戦略」という

このタイトルだけで買いました。

 

ちょうどマーケティング関係の本を

読もうとしていたのもあり、

この「ズラシ戦略」というのは

おそらく「逆張り戦略」にも通じるところがあるでしょうし、

弊社のような弱小ベンチャー企業

正攻法で戦えるわけではありませんし、

普段から私自身が野村克也監督が言っていた

弱者の戦略というか、

逆張り戦略」的な発想を持っているものですから

「ズラシ」という言葉に反応したのですね。

 

さて、どのように「ズラシ」てくれるのか?

楽しみに読み始めたのでした。

 

目次

第1章 「ズラシ戦略」とは何か?

 ー新規事業は、顧客をずらせばうまくいく!

第2章 ズラシ戦略をケーススタディしてみよう

第3章 ズラシ戦略 実践のためのガイド

 

感想

なるほど、なるほど。

期待以上とまではいきませんでしたが、

期待通りの内容でした。

 

本書は…

強みとして活用できる経営資源=スキル等を含めた

自社の本質的なアセットを見つめ直し、

振り向ける先をちょっとずらして、

新たなビジネスを展開し、

新たな顧客をつかまえる。

(P.38)

 

もうこのひと言に付きます。

これが「全て」と言ってもいいくらいです。

 

自社の強みを冷静に分析して、

その強みの発揮できる場所を探していく。

 

「ズラし方」については

いくつもの事例を教えてくれていますが、

基本的に著者の主張はこれに付きます。

 

もう少し深みがあってもよい気はしましたが、

あれもこれもと組み込んで

主張がブレるのもよくありませんし、

主軸を定めて

伝えたいことをきちんと伝えるという意味では

本書はシンプルでわかりやすくて

よいかもしれません。

 

ここからはいつもの如く、

私がグッときた箇所を感想付きでお知らせします。 

 

そもそも百発百中ということはあり得ません。

新規事業を間違いなく成功させようと思うあまり、

マーケットリサーチの結果にとらわれすぎてはいけない。

そこから見えてくる未来の姿をイメージし、

決断することこそが大切です。

(P.40)

 

大企業とか、自治体とか、

マーケットリサーチを重視し過ぎて

玉虫色の施策になって

誰の心にも訴えかけない

あってもなくてもいいような

とてもつまらない策になることって多いですよね。

 

だから何をやっても中途半端になり、

当然、結果も何だかなあ…という

コスト倒れとなってしまう。

 

これはそのマーケットリサーチを見れば

こうなる理由がよくわかるのですが、

例えばアンケートですね。

 

何を目的としているのかよくわからない。

それを聞いてどうするの?とか、

似たような設問ばかりで答える気をなくしたり、

曖昧過ぎて答えに窮することってよくありませんか?

 

こんな風に、ここで間違えたら

もうその先はずっと間違え続けますよね?

アンケートを考えた人、承認した人の罪深さよ…。

 

マーケッターに騙されてるんですかね?

マーケットのニーズを見極めるって

そういうことじゃないと思うんですよね。

 

ここで重要なのは、

スキルの有無にとらわれず、

有効活用できる自社のアセットとして

「同業他社という広大な市場」に

気づくことができた点です。

(P.99)

 

これは日本交通がタクシー配車アプリや

ドライブレコーダーを開発して

同業他社にも利用できるようにしたという

話題からです。

 

日本交通の社長曰く、

自分たちの業界のことは

自分たちが1番よくわかっているので

同業他社にも通じるというようなことを述べてましたが

確かにそうかもしれませんね。

 

私は転職エージェントですから

転職エージェントのことはよくわかっていますので

同業他社にも使ってもらえるアプリでも開発するか…

なんて考えちゃいましたが、

発想的にはそれを当てたわけですね。

 

でもこれ、意外と医療業界などでも

今後この発想で大当たりが生まれるような気がします。

 

そもそもハードウェアのビジネスには限界がある。

パソコンにしてもスマホにしても、

商品の質が高くなればなるほど満足度は高まり、

「新しいものを買い直したい」という

動機は小さくなっていきますから、

その部分の成長が鈍化するのは当たり前なわけです。

(P.136)

 

これはアップルについて書かれていた箇所ですが、

確かに言われてみれば

ハードオンリーのビジネスモデルは

なかなか厳しいものがあるかもしれませんね。

 

それこそ日本の高度経済成長の頃のように

みながテレビやクーラーや車を

競って買う時代ならまだしも

ある程度の経済成長を果たしてしまった昨今では

通用しませんよね。

 

だから東芝パナソニックやシャープなどが

危機に陥ってしまったのでしょうが、

今の世界的な企業、GAFAなどを見れば一目瞭然、

ハードじゃないですもんね。

 

その点、アップルは

ハードからソフトへ、

ハードからサービスへの転換を

上手くこなしたと言えるのかもしれません。

 

揺るがぬ思想もまた企業の本質的なアセットの一つであり、

その”ずらし”によって、

新たな事業を無謀なチャレンジとすることなく

成長の活路を開く。

(P.142)

 

これもアップルについてです。

ハード一辺倒からの転身を進めながらも

その根底にはスティーブ・ジョブズの哲学が

綿々と引き継がれているというお話し。

 

創業者の理念や思想は

やはり武器になりますね。

 

もちろんネガティブな面では

足を引っ張ることもあるのでしょうけど

さすがにスティージョブズくらいになると

良き伝統となって残っているのでしょう。

 

自社で新規事業を検討するノウハウ

<ステップ1>

自社が同業他社と比べて優れているスキルや

アセットのリストアップ

<ステップ2>

リストアップした自社の誇れる強みを

活用できる業界を見つける

<ステップ3>

ずらし先の業界で、

そのスキルやアセットに優位性があるかのチェック

<ステップ4>

実行できる社内の体制を整える

(P.182)

 

これが本書のまとめとなります。

いかにして新規事業を成功させるか?

 

「ズラシ戦略」を確実に遂行するための

手順と結論ですね。

 

言葉にすると簡単に見えますが

これは実行しようと思えばそう簡単ではありません。

 

特にステップ1の

自社が同業他社と比べて優れているスキルや

アセットのリストアップ は難解ではないでしょうか。

 

私たち個人個人だって

自分のことを自分ではなかなか理解できないのと同様に

いやそれ以上に

自社が自社の強みを冷静かつ的確に把握するのは

至難の業のように思えます。

 

愛社精神が目を曇らせたり、

逆に会社の欠点ばかりが目に付いて

冷静な判断力を失わせたりなんてのは

よくあることなのでしょうね。

 

上手くステップ1ができたとしても

それをどこで活かすかのステップ2で見間違えたり、

ステップ3の優位性を勘違いしたりもよくあるでしょう。

 

そして意外と大変なのが

ステップ4の自社の体制づくり。

 

新しいことをしようと思えば

社内にだって反対派はいるでしょうし、

順風満帆ならまだしも

少しの苦難があったりすれば

それ見たことかと批判が巻き起こったりもしますよね。

 

理論上の「ズラシ戦略」は

まだ何とかなるとしても

これを実行しようと思えば

かなりの苦難の道を歩まねばならないのでしょうね。

 

まあ成功への道というのは

そういうものかもしれませんが…。

 

評価

おススメ度は ★★★☆☆ といたします。

 

当初から「ズラシ戦略」を学びたいという方には

学びとなる点は多いと思いますが、

そんな人ばかりではありませんよね。

 

個人的には「ズラシ戦略」は有効だと思いますし、

弊社はまさにそれを実践し続けているのですが

逆にある程度の「ズラシ」のセンスを持っていたり

その極意を掴んでいるような方には

ちょっと物足りない感はありますね。

 

レッドソックスとか、ドジャース

横浜DeNAベイスターズなど

MLBなどプロ野球チームを取り上げていたり、

ライザップやエイベックスなど

イチ時期は飛ぶ鳥を落とす勢いだった企業の

事例を教えてくれるのは

とても有益でしたけれど

「ズラシ」の哲学とか真意とか、

もうちょっと深掘りしてくれれば

さらに良いのにと思ってしまいました。

 

どちらかと言うと

マーケティングの初心者とか、

ずっと王道を歩いてきて

初めて「ズラシ」てみるような方、

そういう方向けの内容かもしれません。

 

と言いつつ

どんな方でもそれなりには参考になると思います。

 

それでは、また…。

 

 

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