ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

内田さんに聞いてみた「正しいオヤジ」になる方法

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

オヤジ…。

 

私自身も完全にオヤジ世代に突入してますけど

私はオヤジにも

いいオヤジとダメなオヤジがあると思ってます。

 

それは自分自身にも

いいところと悪いところがありますし、

周囲の人間を見ていても

いいオヤジもいれば本当にダメなオヤジもいます。

 

でもオヤジがしっかりしないと

世の中が良くなっていかないと思うんですよ。

 

それはオヤジが頑張れということではなく、

頑張らねばならないところもあれば

若い人に譲るということも必要でしょう。

 

これからのオヤジは

哲学と倫理学が不可欠だとも考えています。

 

いつまでも若いつもりでいないで

自分がすべきところと

自分がしないところを

客観的に見極めて

社会的なポジショニングを

見直す必要があるのではないでしょうか。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 内田さんに聞いてみた「正しいオヤジ」になる方法 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 内田さんに聞いてみた「正しいオヤジ」になる方法 』

内田 樹 VS. 木村 政雄 宝島社 を読みました。

 

ま、いつもの如く

内田本は見つけたら買い、

買ったら読むというシンプルな理由なんですけど

今回の対談相手、木村政雄さんは全く存じ上げず

どうやら吉本興業横山やすし西川きよしのマネージャーを務め、

その後、東京事務所を開設した方らしいですけど

それはそれで面白そうですし、

何より「正しいオヤジ」にフォーカスしているのですから

これはオヤジの1人として読まねばあかんなと思い

どんなオヤジ論が飛び出すのか

ちょっと楽しみに読み始めたのでした。

 

目次

第1章 四面楚歌のオヤジたち

第2章 橋下徹は「あんちゃん」である

第3章 オヤジの処し方

 

感想

日本全国の「オヤジ」の皆さん。

本書は是非とも読みましょう(笑)。

 

自分を「オヤジ」と認識しているなら

「正しいオヤジ」に近づくために

必要なノウハウが本書にはあります。

 

それと内田樹さんの著書は少し難解なのですが、

本書はかなり砕けています。

相当にわかりやすいです。

 

内田樹に興味はあるけど

難しそうで手が出ないなんて方は

本書をきっかけにされるといいと思います

サクサク読めますし、理解しやすいです。

 

内田さんの著書を読みまくっている方にとっては

いつもよりライトタッチですし、

少し物足りなさを感じるかもしれませんが

(私はそう感じました 笑)

それでもところどころは内田節が炸裂して

な~るほど…と膝を打つシーンもあります。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

内田さんの定義される大人とは、

一体どういうものなのですか?

なにしろ、大人じゃないオヤジもたくさんいそうですからね。

定義って、いろいろあるんですけどね。

一つ挙げれば、大人というのは、

汚れていたり、弱かったり、卑劣だったり、卑猥だったり、

ーそういう自分をたくさん抱え込んでいて、

そういうものを受け入れて、

何とかそれと折り合いをつけてやっている人のこと、でしょうか。

(P.15)

 

大人じゃないオヤジ…。

情けない限りですね。

 

きっとそういう人って

自分のなかでも折り合いが付けられずに

自己肯定感が低いので

他者を攻撃することでしか

自分の存在価値を高められないのかもしれません。

 

長く生きていれば

キレイごとばかりでは生きてられません。

でもそういった負の部分を

きちんと受け入れて解消していくのが

大人と言えるのかもしれませんね。

 

これが正しいオヤジのひとつかも。

そしてこれも非常にわかりやすい大人論ですが…

 

だから、大人というのは、

一言で言えば、

「いろいろな人間と一緒に生きていける人間」のことですね。

共生能力のある人。

集団の中にあって、お互いに仲良くして、

なるべく脱落者や犠牲者を出さないように

あれこれ工夫しながら、

何とか集団ごと生き延びていくように

知恵を働かせることのできる人。

それが大人でしょうか。

(中略)

人間の弱さに対する寛大さ。

たぶんそれに尽きると思います。

(P.16~17)

 

共生能力、集団でのサバイバル、

人間の弱さに対する寛大さ、

う~ん、実に有効なキーワードではないでしょうか。

 

高齢男性がクレーマー化しやすいと言われますが

このどれにも当てはまりませんよね。

 

子供のまま高齢化したのか、

単に淋しいのか、

いかがなものでしょうかね~。

 

ところで、老いるというと

否定的なニュアンスが強いのですが、

見方を変えると、

成熟するということでもあると思います。

内田さんにとって成熟するというのは

どういうことなんでしょう。

僕の成熟論はシンプルなんです。

成熟とは年を取るにつれて、

手持ちのカードが増えてゆくこと。

(P.37)

 

うわ、成熟=手持ちのカードが増えてゆくこと。

メッチャわかりやすくありませんか?

そして確かに…と頷かされませんか?

 

何か嫌なことが起こった際に

ブチ切れるしか対応方法がないのは恥ずかしいですよね。

他にもいくつもの手を持っていながら

最適な選択肢を取るべきですよね。

 

自分自身、成熟した大人になりたいなと思います。

 

一度目のときは

「これが宿命の恋、生涯をともにする人だ」と

思い込みますけれど、

その幻想が潰えた後は、

どんな相手とでも幸福な人生を送れるのが

大人というものだというふうに

考え方を切り替えますから。

(P.122)

 

内田さん、木村さんともに

いわゆるバツイチということで

達観した結婚観とも言えますが、

私は幸運にもまだバツが付いていませんけど(笑)

どんな相手とでも幸福な人生を送れるのが

大人だというロジックは理解できます。

 

そりゃ夫婦だけじゃなくて

世の中で活動していれば

嫌な奴とか、合わない奴とか

信頼できない、接したくない人って

必ずいると思うんですよ。

 

そういう人と適当な距離感を持ちながら

それなりにそこそこの関係を保てるのって

大人のひとつのスキルではないでしょうか。

 

自分と違う点を挙げていって、

調整しながら一致点を増やしていこうとしても、

絶対無理です。

一致点を増やそうとすると、

どんどん不一致点が増えてくる。

余計に不仲になりますよ。

そうじゃなくて、相手と自分の違うところ、

相手の言動のよく理解が及ばないところは、

とにかく面白がることです。

「ああ、妻はこんなことを考えていたのか!」って、驚く。

自分の体だってそうじゃないですか。

勝手なリズムで動いて、

勝手に眠くなったり、

お腹が空いたりして、

勝手に衰えて、

勝手に病んで、

勝手に死んでしまう。

自分の身体でさえ意のままにならないんですから、

他人においておや、です。

(P.124)

 

これも結婚観からの話しですが、

人間関係全般で通じそうですね。

 

相手の言動のよく理解が及ばないところは

とにかく面白がることっていいですね~。

 

確かにそれでいいかもしれません。

そうでなくと違いを受け入れることができませんからね。

人と違ってもいい。

 

なぜなら何もかも一致するなんてあり得ませんから。

 

特に若い人たちが、

ずっと年上で社会的経験の豊かな人たちと、

利害関係のないところで

フラットに話ができる環境って、

とっても教育上有用だと思います。

だから、これから私塾の時代になると思います。

どんどん増えていくと思いますよ。

学校教育が機能不全に陥っているので、

その代替機関としての小規模な私塾が

日本中にたくさん作られ、

それが学校教育の手が回らないところを補完している。

自然発生的にそうなっていく。

(中略)

今カルチャーセンターがダメでしょ。

あれは一見すると塾のように見えるけれど、

結局ビジネスなんですよ。

(P.149)

 

これ、すごくわかります。

オヤジと話すのを嫌がる若者って

利害関係を前提としたピラミッド型組織であったり、

忖度や既得権が嫌なのかもしれません。

 

純粋な社会的経験の豊かさというのは

意外とニーズがあるように思います。

 

そういう場が今はなく、

もしかしたら私塾がそのひとつかもしれません。

 

教育はビジネスじゃありません。

生存戦略ではないでしょうか。

 

これからのビジネスのスタイルとしては

そちらのほうが本筋になると思いますよ。

別に帰属関係や契約関係にあるわけではなく、

コミットメントの仕方がひとりひとり違って、

フルメンバーとして参加してもいいし、

ちょっと外側からゆるくつきあってもいい。

自由な参加形態が選べるという仕事のかたちはいいですね。

ビジネスの仕組みも老化して、

もう一度、新しい仕組みを作り直す時代に

さしかかっているのかもしれませんね。

現在のグローバル経済競争って、

要はコストカット競争じゃないですか。

(P.154)

 

これもよくわかります。

私自身も目指しているところではありますが、

「参加形態が選べる」という点ですね。

 

すでに会社などの組織が古くなってきて

限界を迎えつつありますもんね。

ホント新しい仕組みが求められていますね。

 

若い世代に権限を委譲し、

彼らを脇から支えてあげる。

それがオヤジの最後の役割ではないでしょうかね。

そうだと思います。

年とった人間の仕事は、

後から来る世代のためにパスを送ることです。

どうやって権限を委譲していくか。

それと六〇年生きてきて、

実に多くの失敗を犯してきたわけで、

その失敗を繰り返さないように、

「私はこんなふうに失敗しました」ということを

具体的に伝えていかないと(笑)。

失敗事例は最高の教訓だと思いますよ。

(P.172)

 

そうそう、いい年して

自分のことばかり考えている人は

今まで何のために生きてきたのでしょうか?

 

後世のために何をすべきかを考えないというのは

果たして生物としていかがなものでしょうか?

 

なんて言うと偉そうですけど

最近の若者は

「今だけカネだけ自分だけ」なんて言われますが

これ若者よりも中高年の人もそうですよね。

だから若者もそうなるわけですよね。

 

本書のテーマで言うと

オヤジこそ

我が身を振り返れ!という事ではないでしょうか。

 

評価

おススメ度は ★★★☆☆ といたします。

 

珍しく内田本にしては厳しめの評価ですが、

これは私がもっと深いものを求めているからで

たぶん面白い内容ではあると思います。

 

内容的には学びにもなりましたし、

オヤジというカテゴライズも面白かったです。

 

まあ対談本ですから

これで充分ですね。

 

次は内田さん単独の本を読みます。

 

それでは、また…。

 

 

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