おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私が読書に目覚めたのは
二十歳前後の頃です。
少年時代から
ずっと野球を続けてきて
中学も、高校も野球部に在籍して
頭の中まで筋肉であるような人でした。
おまけに大学も野球推薦で入りましたので
学生時代は野球三昧だったのですね。
たださすがに大学生になってくると
野球と授業だけでは物足りず、
授業もそれほど真剣に出ていたわけでもなくて
自分で学びたいものを学ぶというスタンスに切り替わり
読書をするようになったのです。
それから30年が過ぎまして…。
そこそこ読書家の人間ができあがりました。
ただ悔しいのは
知れば知るほどに知らないことが
見つかってしまうことです。
もっと知りたい。
ずっと読書を続けてこれたのは
もうこの一心なのでしょう。
今回ご紹介する書籍は、
【 ご冗談でしょう、ファインマンさん 】 です。
本書をピックアップした理由
『 ご冗談でしょう、ファインマンさん 』
読みました。
私の場合はよくあるパターンなのですが
どこかで誰かが本書をおススメしていて
ちょっと興味が持てたものは
スマホのメモアプリに入力しておいて
本屋さんなどでそれをチェックし
ちょうど良く上手く買いましたという展開です。
そんなに本書のことを詳しく知っているわけではないし、
ファインマンさんについてもほぼ無知です。
ただおススメをしてくれた誰かさんに対して
わりと信頼をしていたので
いつか読んでみようと思ってメモしておいたはずです。
その誰かを忘れているのが
自分でも信じがたいですが(笑)。
少し前に購入をして積ん読になっていたのですが
何となく勘が働いて
よし上下巻を一気に読もうと思い
どんなもんかなと楽しみに読み始めたのでした。
目次
まえがき
はじめに
僕の略歴
1 ふるさとファー・ロッカウェイからMITまで
考えるだけでラジオを直す少年
いんげん豆
ドア泥棒は誰だ?
ラテン語?イタリア語?
逃げの名人
メタプラスト社化学研究主任
2 プリンストン時代
「ファインマンさん、ご冗談でしょう!」
僕、僕、僕にやらせてくれ!
ネコの地図?
モンスター・マインド
ペンキを混ぜる
毛色の違った道具
読心術師
アマチュア・サイエンティスト
3 ファインマンと原爆と軍隊
消えてしまう信管
猟犬になりすます
下から見たロスアラモス
二人の金庫破り
国家は君を必要とせず!
4 コーネルからキャルテクへ ブラジルの香りをこめて
お偉いプロフェッサー
エニ・クウェスチョンズ?
一ドルよこせ
ただ聞くだけ?
4 コーネルからキャルテクへ ブラジルの香りをこめて(続)
ラッキー・ナンバー
オー、アメリカヌ、オウトラ、ヴェズ
言葉の神様
親分、かしこまりました!
断わらざるを得ない招聘
5 ある物理学者の世界
「ディラック方程式を解いていただきたいのですが」
誤差は七パーセント
一三回目のサイン
唐人の寝言
それでも芸術か?
電気は火ですか?
本の表紙で中味を読む
ノーベルのもう一つの間違い
物理学者の教養講座
パリではがれた化けの皮
変えられた精神状態
カーゴ・カルト・サイエンス
訳者あとがき
文庫版訳者あとがき
解説 とらわれない発想
感想
ファインマンさんは
ノーベル物理学賞を受賞された
すごい方なんですね。
もうそこから全く知らなかったという…。
ただ文章自体は
う~ん、何と言えばいいのでしょうか。
翻訳の問題もあるかもしれませんが、
実にフレンドリーですね。
非常に読みやすいです。
ごくごく一部に物理や数学の知識がないと
若干読みにくいところはありますが、
「超」文系人間であり、
「超」理数系が苦手だった私でも
スラスラ読めてしまうのは助かりました。
よってとても楽しみながら読めました。
ファインマンさんって
多分どこにでもいるオジサンじゃないかと思うんです。
ただ物理学者として一流なだけで
日常生活にもそんな一面はところどころ出ますけど
遊び心が満載で
根っからのいたずらっ子で、
ファインマンさんの人柄が大いに感じられます。
理数系が大の苦手だった私ですが、
本書を子供の頃に読んでいたら、
今よりはもう少し興味を持てたかもしれないな…と
そんなことも思いました。
それと下巻の最終章である
「カーゴ・カルト・サイエンス」の章は必見ですね。
科学者としての心構えだけでなく、
これは現代を生きる全ての人たちが
頭に叩き込んでおくべき内容です。
忖度や自己利益の追求が
いかに真実から遠ざかり
社会的なマイナスを生み出しているのか。
コロナ渦でも
政治と科学が上手く切り分けられずに
政治が科学を歪めているとか
科学が政治に対して影響力がなさ過ぎるとか、
いろんなエクスキューズがあると思いますが
その根幹について戒めている
名文であると私は感じました。
個人的に私は理数系の中でも
最も苦手だったのは「物理」と「数学」でした。
意外と生物、地学、化学などは
それほど苦手は感じなかったのですが、
まず基本である「数学」がダメだったのが痛いです。
それがそのまま「物理」がわからないことに
どうしても繋がってしまったように感じます。
今さらなんですけど
もっと真剣に数学に立ち向かうべきでした。
算数の頃は得意だったのに
数学になって一気に訳がわからなくなりました。
ファインマンさんのようなアプローチをしていれば
本質にグッと切り込んでいけて
面白味を感じることができたかもしれません。
その意味では、
お子さんが理数系が苦手である親御さんなどは
本書のエッセンスを
お子さんに伝えるといいかもしれませんね。
そりゃ本人が本書を読めばベストですけど
そうでない場合は本書のスタンスというか
科学の面白さ、楽しさが伝わると
勉強にも身が入るのではないでしょうか。
ファインマンさんの生き方は
良識があり、人生観、世界観、価値感が
すでに科学を探求する素地があり、
何よりそれが面白おかしい人生に繋がっていて
目の前に現れるものをすべて肯定的に捉えて
楽しんでいらっしゃるのですね。
もうこの時点で勝ちなんです。
昨今では、人にマウントを取ることを
生きがいのようにしている人や
否定、非難、批判こそが
自分の役割であるように勘違いしていたり、
どうも生きるのが下手くそというか、
それって君が損なんだよ…という
そんな生き方をしている人が少なくありませんよね。
ファインマンさんがそういう人を見たら
確実に眉をひそめて
説教のひとつでもされるか、
完全に無視されるかではないでしょうか。
それくらいに生き方の相違があり、
きっとファインマンさんの人生のほうが
非常に有意義で、価値が高く、
何より充実した日々を送れるのではないかと思います。
常識を疑い、
本当にそうなのかを確かめ、
常に仮説と検証を繰り返し
世にあるあらゆるものに興味を持ち、
時の流れに身をまかせるような
余裕を持った人生を送っていく。
たぶんファインマンさんの実績や評価は
ファインマンさんの物の考え方や生き方が
ベースになっているのだろうなと感じさせられますし、
やはり人間とはそうあるべきなのかもしれません。
だいたいがつまらない人生を歩んでいる人は
その人の考え方や行動に要因があり、
自分が変われば結果も変わるはずなんですよね。
本書はいかに科学を楽しむか?
科学の面白さや物理や数学の奥深さをテーマにしつつも
実はもっと深い人生哲学が書かれているんですね。
だから理数系の人でなくとも
私のような文系人間が読んでも、
一部理解不能なところはありつつも
トータルとして満足できるのは
科学の前提となる
人間学について書かれているからではないかと
つくづく感じました。
それがファインマンさんの日常生活として
面白おかしく書かれているので
単純に読み物としても面白いですし、
ある種の哲学本のような考えさせられるシーンも
かなり多いです。
人によりけりかもしれませんが、
私は本書を高く評価します。
そしてファインマンさんのような生き方を
少しでも味わいたいし、
そうあるよう心掛けていきたいとも思いました。
ついでに言うと
科学の偉大さを前提としつつも
いかに現代社会では科学が危うい状況なのか。
政治に翻弄され、
政治にいいように使われていることを鑑みると
科学者たちの道標のような
そんな意味合いもあるのだろうなとも考えました。
人類が滅亡せずに
ここまで永続できているのには
科学の功績は大きいと思うんです。
それをないがしろにしてはいけない。
そんな政治では困ります。
本書にもあるように
科学が原子爆弾を作り
多くの人を死に至らしめた現実もありますけど、
それも含めて
私たちはもう1度、科学の価値を
再考すべきなのかもしれないなあとも思いました。
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
おススメしてくれた誰かさん、
本当に有難う。
とても良い本と出会えましたと感謝したいです。
おそらくおススメしてくれなければ
私は本書を手にすることはなかったと思います。
たまたまの偶然の結果ではありますが、
こういう出会いがあるから人生って面白いのですよね。
どうしても読む本って
偏りが出てしまうものですけど
食わず嫌いしないで
ちょっとでも面白そうだなとか
興味が持てたものに関しては
ドシドシとチャレンジしなければなりませんね。
その1歩が
自分の人生をより良いものにしていくのだと思います。
それこそファインマンさんのように
好奇心や探求心を持ち続けることこそが
楽しい人生にしてくれるんですよね~。
愉快かつユニークな本でした。
とても楽しく読めました。
それでは、また…。
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