おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
これからの時代、
どう「働く」のか?によって
その人の人生は大きく変わってきますね。
これはもう良くも悪くもであって
また非常に個別的なものであるとも思います。
1日に12~13時間くらい働く
アグレッシブな人がいる一方で
8時間以外は一切仕事をしたくない人もいますし、
時間を忘れて無心に働く人もいれば
常に退勤時間を考えながら働く人もいますし、
給料のことなんて少しも意識しない高給の人もいれば
とにかく給料を上げたいのに上がらない人もいますし、
まあ千差万別と言えますね。
ただ私が転職シーンで長く仕事をしてきて思うのは
労働時間とか、給与とか、いわゆる条件ですね、
そういうわかりやすい指標でのみ
「働く」を考えてしまうと
後々痛い目に合うような気がします。
「働く」ってそんなに浅いものではなくて
その本質とか、真理とか、
そこにたどり着かないと
結果的に欲しい条件も手に入りません。
私はキャリアに関しては
「今よりも少し良くする」ことの連続性が
問われるのだと考えております。
だからこそ中長期的な視点が必要であり、
自分らしいオリジナリティが不可欠であり、
ライフプランをベースにした
キャリアプランを考えることが欠かせないのだと思います。
今回ご紹介する書籍は、
【 人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点 】 です。
本書をピックアップした理由
『 人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点 』
木暮 太一 講談社+α文庫 を読みました。
いわゆるキャリア本に関しては
やはり私の場合は仕事柄で
ある程度は目を通さねばならないと考えています。
実は本書は私がキャリア相談をお受けして
その後、時々やり取りをしている
ある医師に教えてもらいました。
その先生もキャリアに関して
いろいろお悩みがあってご相談をして下さいましたので
もともとキャリア志向と言いますか
キャリアに関する関心は高かったのでしょう。
著者である木暮太一氏の本は
私も以前に読んだことがあって
それが大当たりだったものですから
良い印象を持っていました。
こういう経緯がありましたので
これは読まなきゃあかんね!と思い
どんな内容か楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
はじめに しんどい働き方は根本から変えていこう
第1章 あなたの「給料」は、なぜその金額なのか?
第2章 あなたは、「利益」のために限界まで働かされる
第3章 どうすれば「高い給料」をもらえるようになるか?
第4章 年収1000万円になったあなたには、「激務」だけが残る
第5章 何をすれば「自己内利益」は増やせるのか?
第6章 経験を生かすには、どういう「働き方」を選択すべきか
おわりに 働き方を変えて、生き方を変えよう!
感想
な・なんと…。
読み進めていくなかで
何となく違和感があったんです。
既視感とでも言うのでしょうか。
前述した「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」を
本棚から取り出してみて
目次を確認したところ
………ん、全く同じ?……
え?同じ本なの?……
確かにまえがきには
本書は2012年に出版され…と書いてあるけど
タイトルが違ってるじゃん。
よく調べてみると
単行本化するためにタイトルを変えて
多少の追記・修正を加えたらしいんです。
う~ん、最初からそう書けよ…と。
ど・どうする?
このまま読む?
それとも止める?(苦笑)
まあ前回読んだのは3年前だし
正直、あんまり内容も覚えていないし、
せっかくだから知らんぷりして読もうと意を決し(笑)、
頭をまっさらにして読み進めたのです。
まあこれはこれでなかなか興味深いものです。
前半部分は著者が感銘を受けたという
ロバートキヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」から
インスパイヤされたかのような
著者流の解釈を披露していますが、
個人的にはちょっと今イチ。
中盤から後半に向けての
具体的な働くについての考察のほうが面白かったです。
ただ前回読んだ際には
5つ星を付けてるんですね、私…。
なるほど、
同じ内容を読んでも
あの時はおお!と感動し、
今はふ~んってなものです。
これは私が成長して
そんじょそこらのキャリア論じゃ
素直にスゲーとは言わねえぜという
仙人の領域に足を踏み入れたことにします。
とはいえ、
いくつか素直になるほどと思えたところもあります。
ひとつは「土台」を作るということ。
同じ高さの天井に手が届くためには
「土台」があったほうが確実に有利ですよね。
これは仕事も同じです。
しかし私たちはいつも必死にジャンプしていて
「土台」作りをしているでしょうか?
私はこの「土台」作りこそ
キャリアプランじゃないかなと思います。
もうひとつは
「自己内利益」という考え方。
年収・昇進から得られる満足感から
必要経費(肉体的・時間的労力や精神的苦痛)を
差し引いたものが「自己内利益」です。
いくら年収が高くても、役職が高くても、
必要経費があまりにも高くて
「自己内利益」が低かったり、
マイナスだったりしたら意味がないんじゃないか?という
発想です。
賛否はありそうですけど、
考え方としてはユニークですね。
たぶんこれも個々それぞれでしょうから
自分なりの最適バランスの取れた
「自己内利益」を持ちたいですね。
さてここからは恒例の私がグッと来た箇所を
ご紹介いたします。
給料が上がるのは、
決して成果を出しているからではありません。
その証拠に、会社に対して2倍の利益をもたらしている人が、
2倍の給料をもらっているかというと、
そんなことはないはずです。
2倍の利益をもたらしている人は
「引く手あまた」なので、
「需要と供給の関係」から
給料が上がっているだけなのです。
(P.79~80)
会社の論理に騙されてはいけませんね。
何万社もあるなかの1社の論理なんて
外に出れば通用しません。
もっと仕組みや構造を
私たちは考えるべきと思います。
労働者の労働は2種類に分けられて、
①自分のために「給料分の価値」を生み出す労働
②資本家のために「剰余価値」を生み出す労働
とがあるのです。
(P.121)
当たり前と言えば当たり前なのですが、
資本家のため…なんて
これまで考えたことがない人は多いと思うんです。
でもそこを見ないと会社の本当の姿は見えてきません。
資本家、経営者の側に立って
物事を考えることってスゴク大事なのですよね。
資本主義社会において、
企業の競争力の源泉はこの「特別剰余価値」にあります。
各社とも、他社よりもより効率的に、
より低コストで生産できるように「競争」しているわけです。
みなさんの会社も、この競争に参加しています。
ただし、この競争こそが、
企業自身を苦しめていくことになります。
(P.136)
剰余、私はよくオーバーアチーブと言いますが、
所詮、会社人はいかに剰余できるかが問われているわけです。
その領域に行かないと
中高年になってからリストラに合うかもしれません。
利益を増やすためには、
①売上を増やす
②費用を減らす
の2通りしかないと説明しました。
そして、企業はその2つを同時に行っていると言いました。
もちろん、それはそれで正しいのですが、
実際のビジネスはもう少し複雑です。
言葉を足さなければならないでしょう。
というのは、売上と費用はお互いに関連しているのです。
つまり、売上を増やそうとすると、
それにつられて費用も増えていきます。
反対に、費用を減らそうとすると、
売上も一緒に減る可能性があります。
言葉として
「売上を増やして、費用を減らせばいい」と言っても、
実際にはそんな単純なことではないのです。
そして、さらに重要なのは、
売上を増やそうとすると費用も増え、
「損益分岐点が逃げていく」ということです。
(P.197)
資本家、経営者の立場と言いましたが、
もしそれができたなら損益分岐という考え方は
すぐに理解できるでしょう。
何十億という売上を上げても
赤字じゃ意味ないです。
赤字が続けば運転資金が枯渇して
企業は永続できなくなります。
こういう視点を持てると
普通の労働者から抜け出せるチャンスがありそうです。
本来、「楽しいこと」ではない仕事を
「楽しめ!」と言われても、
それは強がりにすぎず、
意味がないのでは?と感じていました。
ところが、最近になってそうではないことに気がつきました。
「楽しむ」というのは、
「興味を持てる仕事」のことです。
そして「仕事を楽しもう」というのは、
「仕事に興味を持とう」ということです。
(P.230)
仕事がつまらないって
人生もつまらないでしょうね。
私は仕事が楽しくても
興味があっても
どっちでもいいと思いますが、
仕事がつまらないからの脱却は
人生を豊かにするために不可欠だと考えています。
「働き方を変える」とは、
これまでとはまったく別の能力を身につけて
別の仕事に就くということではありません。
何か新しく資格を取る必要はないし、
新しい業界に飛び込んで
新入社員と机を並べて仕事をするということでもないのです。
これまで自分が経験し、
蓄えた知識とノウハウを他で活用するのです。
(P.237)
ところがこの「知識」と「ノウハウ」を
身につけることができていない人が多いのです。
それはキャリアという観点を持たずに働いてきたから。
「知識」と「ノウハウ」がないと
30代半ばを超えたときに
転職する先がグッと狭まりますよ。
人は、1年でできる事を過大評価し、
10年でできる事を過小評価しすぎる。
(P.303)
アンソニー・ロビンズという
アメリカ人コーチの言葉とのことです。
いかに中長期的な視点が重要かということ、
でもその視点を持っていない人が多いということですね。
程度の差はあれ、
資本主義経済のなかで生きる企業は、
みんな元来「ブラック」なのです。
産業革命以後、資本主義が本格的に立ち上がりました。
約200年前の話です。
そのときから企業は、
労働者をギリギリまで働かせて利益を生み出しています。
これが、200年間変わらない世界なのです。
そういう仕組みでできているのが資本主義なのです。
わたしは「企業が悪い!経営者はみな悪者だ!」と
言いたいのではありません。
むしろ「労働者の働き方に責任があるのは、労働者自身である」
ということをお伝えしたいのです。
(P.308~309)
ちょっとショッキングな物言いですが、
真理かもしれません。
だからこそ最適な働き方を手に入れて
搾取が許されない価値ある人材に
自分を導かねばなりませんね。
評価
おススメ度は ★★★☆☆ といたします。
前回は満点でしたが
今回は星が2つ欠けました。
文庫化でタイトルを変えるというのは
ちょっとどうなの?という点。
そして私自身のキャリア観が
かなり高まっているのか、
正直、一部しか評価できなかったという点が
マイナスとなりました。
ただ今まであまりキャリアについて
考えてこなかった方には目が開かれるかもしれません。
金持ち父さん貧乏父さんについて
丁寧に触れても良い気もしましたが、
それはそれぞれの書籍を読んだほうがいいですね。
それでは、また…。
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