おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
後世への贈り物。
今の時代に生きる大人の1人として
本当に小さなものでいいから
何かひとつくらい後輩たちに贈り物をしたい。
そんなふうに考えている方は多いんじゃないでしょうか?
でも進化の早い現代社会ですから
私の世代の人間が考えることなんて
すでに古~いものになっていて
若い方から見たら使いものにならない…。
そんなこともあるかもしれません。
やはり上から目線で偉そうに
何かを残してやる…なんてのは図々しい話しで
必死に生きた証として
少しでも参考になったら嬉しいという
これくらいのスタンスがいいのでしょう。
まだまだ私も53才(2022年度現在)ですから
老いてなんていられません。
最先端を行くつもりで
ガツガツ前進したいと思ってます。
今回ご紹介する書籍は、
【 後世への最大遺物・デンマルク国の話 】 です。
本書をピックアップした理由
『 後世への最大遺物・デンマルク国の話 』
内村 鑑三 岩波文庫 を読みました。
自分で言うのも何ですが、
私の積ん読本棚ってステキです。
非常に魅力的な未読の本が山積みなんです。
そんな中でもかなり積ん読されているのが
岩波文庫なんです。
すぐ買っちゃうんですよ。
あ、面白そうと思うと即買いしちゃうんですが
これがまたなかなか読まないんです(笑)。
いつか読むって自分では思ってるんですけど
岩波文庫のような古典は
どうしても後回しになっちゃうところがあって
何かのきっかけでもないと
どうも手が伸びないのですね。
著者である内村鑑三さんの本は
以前に下記を読みました。
これがとても読みやすくて
大変に勉強になったものですから
良いイメージを持っていたのでしょう。
本書はいつ購入したのかも覚えていないのですが、
何かの本を読んでいた時に
チラリと本書を取り上げており、
あ、その本は家にあるはずだと思ったんです。
こういうきっかけがあると
さすがの岩波文庫も読む気になります。
まして本書は140ページほどの薄い本です。
よし、読もうと覚悟を決めて
楽しみに読み始めたのでした。
目次
・後世への最大遺物
・デンマルク国の話
・内村鑑三略年譜
・解説(鈴木範久)
感想
本書の「後世への最大遺物」は
1894年(明治27年)に行われた講演で
「デンマルク王国の話」は
1911年(明治44年)に行われた話しだそうです。
さすがに若干の古さは感じますけれど
それと引き換えに手に入るのは
「純粋性」ではないかと感じます。
裏がないと言うか、
真っ直ぐなんですよね。
だからスッと心に沁み込んできます。
ネタバレになっちゃいますけど
内村が後世への遺物として語ったのは、
金銭、事業、思想、文学、教育ですが
これらは才能がないと実現できず
普通の人たちがすべきなのは
「勇ましい高尚なる生涯」を送ることだと述べました。
私はお金はあんまりないですが
事業家として日々奮闘しており、
思想や文学は好きですし
教育は部下をはじめ
娘に対しても真剣に取り組んでいます。
それらが遺物とは言えませんけど
勇ましい高尚な人生は送りたいものですね。
せめてそれくらいは…というとこです。
講演録ですから
わりとフレンドリーな感じですし、
聴衆を笑わせる部分などもあり
とても好感が持てましたが
その根底にあるのは「純粋」なんですよ。
だから多くの方々の心を打ったんじゃないでしょうか。
いい内容だなあと思いつつ読み終えました。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
われわれが死ぬまでには
この世の中を少しなりとも善くして
死にたいではありませんか。
何か一つ事業を成し遂げて、
できるならばわれわれの生まれたときよりも
この日本を少しなりとも善くして
逝きたいではありませんか。
この点についてはわれわれ皆々同意であろうと思います。
(P.19)
この文章を読んで
確かにね、そうだよね…と思う方が
果して現代社会にどれくらい存在するでしょうか?
クレーマーの多くは60代男性と言われますし、
今だけカネだけ自分だけという風潮は
年々高まるばかりですから
明治の時代とは随分と割合が異なるかもしれません。
53才の私はそうだ!と思いました。
別にそれが素晴らしいだろうとは思いませんけど
素直にそうありたい、何かを遺したいと思ってます。
そういう同志と仲良くなりたいです。
金を遺すものを賤しめるような人は
やはり金のことに賤しい人であります。
吝嗇な人であります。
(P.21)
お金についてのスタンスは
人それぞれであるでしょうけど、
生きていくためにはお金は必要不可欠なわけで
とても大切なものですよね。
どうお金を稼ぎ、何に使うか。
これだけで人間性が見えてくるとも言えますね。
問題なのはその大切なお金の優先度を
最上位に置いてお金だけお金が1番お金で全て解決と
考えてしまうことでしょうか。
お金をどう捉えて
いかなる付き合い方をしていくのか?は
現代日本人が抱える大きな問題なのかもしれませんね。
金は後世への最大遺物の一つでござりますけれども、
遺しようが悪いとずいぶん害をなす。
それゆえに金を溜める力を持った人ばかりでなく、
金を使う力を持った人が出てこなければならない。
(P.29)
まあ、そういうことですよね。
よく遺産相続で親戚中が揉めたりする話しを聞きますし、
バブルが崩壊した後などは
借金で苦しみ命を絶つような人も少なくありませんでした。
お金ってのは魔力です。
だから適正な使い方が必要なのでしょうね。
たぶんそれは私利私欲から最も遠いものかなと思います。
私は名論卓説を聴きたいのではない。
私の欲するところと社会の欲するところは、
女よりは女のいうようなことを聴きたい、
男よりは男のいうようなことを聴きたい、
青年よりは青年の思っているとおりのことを聴きたい、
老人よりは老人の思っているとおりのことを聴きたい。
それが文学です。
それゆえにただわれわれの心のままを表白してごらんなさい。
ソウしてゆけばいくら文法は間違っておっても、
世の中の人が読んでくれる。
それがわれわれの遺物です。
(P.50)
個人が情報発信をしやすい時代になってから
ブログやSNSなどで「書く」ことが
圧倒的に増えたという方は多いでしょう。
私もその1人なのですが
そこに嘘偽りや妄言や空言があったり、
自分の思ってもいないような美学を述べてみても
意味や意義があるとは思えないんですよね。
またアフィリエイトのように
フィーのためなら何でも書くようなのも
いかがなものかと思います。
本当に自分が使ってみていいものをおススメするならまだしも
高いフィーを支払ってくれるなら
何でもおススメするなんてまさに嘘偽りじゃないですか。
こういうものが後世に遺るとは思えませんし、
遺してはいけないですよね。
ネット社会もそろそろ倫理的にならないと
人間が壊れる一方のような気がします。
自分の言葉で、自分の思いを、
丁寧に書いていかねばなりませんよね。
仮に駄文だとしても。
それならば最大遺物とは何であるか。
私が考えてみますに
人間が後世に遺すことのできる、
そうしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、
利益ばかりあって害のない遺物がある。
それは何であるかならば
勇ましい高尚なる生涯であると思います。
これが本当の遺物ではないかと思う。
他の遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないと思います。
(P.58)
生き様と言ってもいいでしょうか。
しかし後世に遺すべき生き様なんて
今どきどの程度ありますかね?
公明正大で、魂を売らず、
正義感を持って、高潔に生きるなんて
そう簡単ではありませんよね。
内村は誰でもできると言いますけど
いやいやそんなに簡単じゃありません。
でも簡単じゃないからこそ
後世に遺す価値が出てくると思います。
他の人の行くことを嫌うところへ行け。
他の人の嫌がることをなせ。
メリー・ライオンという教師の言葉として
紹介をされておりますが、
よく言われることでもあるんですけど
確かに重要な人生訓ではありますね。
楽をしよう、いい目に合おう、
他人を出し抜こう、みんなと同じでいい、
こんなことを考えて行動すると
そこは確実にレッドオーシャンなんですよね。
ブルーオーシャンは人が行かないから
ブルーオーシャンなんですね。
われわれが何か遺しておって、
今年は後世のためにこれだけの金を溜めたというのも結構、
今年は後世のためにこれだけの事業をなしたというのも結構、
また私の思想を雑誌の一論文に書いて遺したというのも結構、
しかしそれよりもいっそう良いのは後世のために
私は弱いものを助けてやった、
後世のためにこれだけの艱難に打ち勝ってみた、
後世のために私はこれだけの品性を修練してみた、
後世のために私はこれだけの義侠心を実行してみた、
後世のために私はこれだけの情実に勝ってみた、
という話を持ってふたたびここに集まりたいと考えます。
(P.74)
利他の心でしょうか。
生きるって本当はこういうことなのかもしれない。
そう感じました。
誰かのために生きることで
人類は生き残ってきたのかもしれませんが、
昨今は崩れてしまったのかなあ。
戦勝国の戦後の経営はどんなつまらない政治家にもできます。
国威宣楊にともなう事業の発展は
どんなつまらない実業家にもできます。
難いのは戦敗国の戦後の経営であります。
国運衰退のときにおける事業の発展であります。
戦いに敗れて精神に敗れない民が真に偉大なる民であります。
(P.82)
ここを読みながら思い出したのは
日本中と言ってもいいくらいに
全国各地を訪ね国民を激励したのですね。
高度経済成長を遂げたのは
陛下と国民が一致団結したからじゃないかなと
個人的には思ってます。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
先進国から脱落しそうな令和の日本。
その要因はいろいろあるでしょうし、
解決法もいくつもあるでしょうけど、
たぶん国民一丸となって
立ち向かうことはもうないと想像します。
そうではなく私たち1人1人の心に
問題はあるんじゃないかなと思うんですよ。
でもそういうことを
一切考えない人が多いのが現実であって
心ある人たちだけでは何ともできないでしょうね。
明治から学ぶ。
純粋性に立ち戻る。
そして私利私欲から離れることができる人が増えることが
復活には欠かせないのだろうなと思います。
そんなことができるのかわかりませんが、
本書を読むとついこんなことを考えてしまいました。
それでは、また…。
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