おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
決断とは
「決めて」「断つ」と書きます。
私たちは日常的に小さな決断を繰り返し、
大事なキャリアや人生の分岐点では
慎重に、そして思い切り良く、
「決断」を下してきているのですね。
ただ決断を見誤ることが多いのも事実ですし、
全く後悔のないキャリアや人生の決断をしてきたと
断言できる人は決して多くはないでしょう。
いや、そんな人は存在するのでしょうか?
もう20年もキャリアシーンで
仕事をしてきた私から見ても、
み~んな決断を誤り続けています。
もちろん私もです。
年齢を重ねれば決断を誤らなくなるものでもないですし、
むしろ保守的になって
さらに決断を誤る人も少なくありません。
また若手時分はどうしても視野が狭く、
数年後にはなんであんな決断をしたんだ?と
その意味すら自分で理解不能だったりもします。
決断とは重いものです。
誤らなくなるためには
できるだけ多くの事例を知り、
正しい決断を下すためのノウハウを
手に入れるしかないんじゃないでしょうか?
今回ご紹介する書籍は、
【 決断 会社辞めるか辞めないか 】 です。
本書をピックアップした理由
『 決断 会社辞めるか辞めないか 』
いつも大変に勉強になる成毛眞さんの著書です。
ちなみに今までこんな本を読んできました。
私が成毛さんの主張を好むのは、
ひとつは直言することです。
そこに忖度など一切なく、
思うことをズバリ!と切り込むのが好きなのです。
もうひとつは
成毛さんの考えは他にはないものであるという点です。
そりゃ似た考えはあるかもしれませんが、
同じ考えを持つ人はそう滅多にいないでしょう。
きちんと自分で考えて述べているのが
とても参考になり、勉強になっています。
これからの時代、寄らば大樹じゃダメだと思うんです。
多数派がむしろマイナスに作用することもあるでしょう。
後悔なき決断をするためには、
自分で熟慮して、
これ以上考えるのは無理だというところまで
考えに考え抜いて、
そこで下した決断だからこそ
前を向いて歩くしかなくなるのだと思います。
つまり後悔のない決断とは
決断を絶対に誤らせない意欲と覚悟とも
言えるのかもしれません。
成毛流の「決断」はどんなものか?
とても楽しみに読み始めたのでした。
目次
序章 業界ごと消える時代に必要なのは「決断」である
決断1 「転職する」という決断
ー対談者:瀬尾傑 スマートニュースメディア研究所所長
決断2 「独立する」という決断
ー対談者:大西康之 ジャーナリスト
決断3 「別の道に進む」という決断
ー対談者:柳瀬博一 東京工業大学教授
決断4 「辞めない」という決断
ー対談者:山田俊浩「週刊東洋経済」編集長
終章 ミドルエイジの「決断」に必要なものとは何か
感想
著者である成毛さんが
マイクロソフトの社長時代から
お付き合いをしてきた4人との対談です。
皆さんいわゆるマスコミにお勤めの方々で
記者であり、編集者であります。
斜陽産業と言われるメディアのなかで
どんなことを考え、
どのようなキャリアを気づき、
そしてどんな「決断」をしてきたのか。
単なる転職本とか、
キャリア本の範疇を超えて、
働く人間の「生き様」として勉強になります。
また成毛さんが上手く導いてくれるので
対談内容も本音がズバズバです。
キャリア本としても
非常に良質な内容です。
きっと考えさせられるところが
あちこちに散りばめられていることでしょう。
た・ただ…
サブタイトルが違う~!と思いました。
結果的に会社を辞めたり、
辞めなかったりしているのですが、
着目すべきはそこではありません。
今回紹介されている
4名の方々の中長期的なキャリアが重要なんです。
決断に至るプロセスが必見なのですよ。
一応、キャリアの専門家として
これだけは述べておきたい。
例えば本書に紹介されている4名の方々ですが、
現段階では「成功」されていると言えるでしょう。
転職して成功、独立して成功、
会社に残って成功なわけですけど
あくまでも現段階では…なのですね。
もしかしたら5年後には
大失敗しているかもしれませんし、
10年後にはとんでもない窮地に陥っているかもしれません。
それがキャリアなんです。
「今」だけで全てを判断してはいけません。
誰だって、どんなに年を取ったって
私たちは常にプロセスにいるのですよね。
だから会社を辞めるとか辞めないとか
そこが重要なのではなく、
5年先、10年先のために
何を考え、どう行動してきたか、
どんなスキルを身に付けて
いかなる経験値を高めたか?
ここが最重要なのです。
実際に本書の4名は皆さんステキなキャリアを
きちんと積み上げています。
おそらく数年後はさらに良くなると思われます。
せっかくの良い内容なのですから
本を売りたいがために
刺激的なタイトルを付けるのではなく、
真摯なキャリア本として売り出せばいいのに…と
その点は少し残念でした。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
しかしこれからの時代、
一つひとつの会社が変わる、
というレベルにとどまることなく、
一つの産業”丸ごと”での激変が
しばしば起こることになるというのが私の見立てだ。
ある日、一つの業種が丸々この世から消えてしまう、
という事態がおそらくこれから増えていくことだろう。
そのような社会では、
現在起きているメディア業界の激変は、
多くの人にとって
「明日は我が身」となるはずだ。
たまたまこの業界が早々と”凋落”しただけなのだ。
日本全体で、ものすごいスピードで進む少子高齢化と、
産業構造の大変革で、この先、あらゆる産業において、
身の振り方を考えなければならない人が続出するだろう。
はっきりいえば、
もはや「対岸」の火事など存在しない。
(P.14~15)
対岸がない。
確かにそうかもしれません。
それをポジティブに受け止めたら
何らかの突破口が見えてくるでしょう。
ネガティブに受け止めたら
迷子になって彷徨うでしょう。
自分次第ですね。
とりあえず手を出す、という姿勢は
これからのビジネスマンにとって必要ですよね。
(P.83)
キャリアドリフトです。
何でもやったもん勝ちです。
自分勝手な理由を付けて
やらないという選択をするならば
確実に未来の自分に損をさせるでしょう。
「無駄な贅沢をしなければ食っていける」という
真理に気付くことができるかどうか。
これって人生において、かなり大きい。
ほとんどのサラリーマンはそこに気付かない。
だから「会社辞めたら、人生即終わり」だと感じて、
追い詰められる。
(P.117)
いくら給与が低くても
毎月収入より支出が少ないならば
幸せに暮らしていけるのですね。
いくら給与が高くても
毎月収入より支出が多いならば
カツカツの余裕のない暮らしとなるのですね。
損益分岐点を下げれば解決するのに
高年収をさらに増やそうとして
メンタルを痛めたり、
身体を壊すのはいかがなものかと思います。
ただ、本当に仲良くするのは、
やはり自分で何かを具体的にやっている人。
(中略)
どこのジャンルの中にも発明家はいるのですが、
そういう方たちと付き合っている方が、
絶対に面白い。
(P.154)
日本社会を悪くしているのは
新しいものを認めず、
何でも保守的に守りに入っている人達です。
ハンコやFAXを後生大事に守るような人は
早く引退して下さい。
世界から遅れるばかりです。
選ばないという「決断」をしている人、
いますよね。
来た仕事は断らない。
意識高い系が抱きがちな夢と希望、
そして目標みたいなものはまったく持ち合わせず、
目の前のことをする。
誰かから与えられた仕事を、
ブツブツ言いながらやっているうち、
面白くなる、ということもありますし。
(P.164)
何でもやってみる。大賛成です。
やらないよりやったほうがいいに決まっています。
やらないことに価値があると思っている人は
数年後に後悔するでしょう。
でもそういう人は数年後にも
おかしな理屈を付けてやらないほうを選ぶでしょう。
考え方を変えない限りは
救いようがありません。
自分というのは、
マーケット全体からすれば、
ものすごく小さな存在。
だからどの仕事を選んだところで、
基本的にはその人一人のサイズからしか始まらないわけです。
仕事を選ぶ権利を持つ人は、
そのジャンルでの「天才」であることが前提。
でもほとんどの人は僕も含めて「凡人」。
だじゃら「仕事を自由に選べる」というのは、
そもそもどこかで勘違いした考えだと僕は思っています。
(P.164~165)
逆のロジックも組み立てられそうですが、
仕事があるうちが華ではないでしょうか。
もしかしたら仕事が全くなくなることが
すぐそこまで近づいているかもしれませんし。
形が決まっているからこそ、
味わうことができる面白さってあるよね。
(P.195)
形があるのを破るから型破り。
形がないのは形無し。
どちらがいいか…。
紙の新聞や雑誌がなくなろうと、
人が情報を必要とするのは変わらない。
だからこそ、情報だけ供給できれば、
これまでの形にこだわる必要もない。
(P.203)
本質を見間違えなければ
形にこだわる必要はありませんよね。
でも守旧派ってのは
形にこだわり本質を見ないことが多いですね。
惜しいのは<カネではなく>時間。
(P.217)
その通り!と私などは思うのですが
これは私がすでに50代であり、
若い人と比較したら
残された時間が圧倒的に少ないからかもしれません。
しかし時間よりもお金を優先する人は
結果的にお金を得ることができないと思います。
一時は手にしてもすぐに失うでしょう。
今の日本社会は、
明日も今日のようで、
でも明後日が明日のような時代ではなく
なりつつあることを忘れてはいけない。
あなたが変わるように会社も変わるのである。
(P.218)
激変に備えるというのは
まず「考え方」からでしょうね。
変わるということだけは
いつの時代も変わらないのですから。
変化を当たり前と捉えれば
すべきことは明らかになってくるでしょう。
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
当書評ブログをお読みの方は
やはり医師の方が多いかと思います。
もしキャリアに悩みがあるのなら
本書を絶賛おススメします。
やはり外の世界から学ぶことは多いですし、
斜陽化が進む業界の人達だけに
1歩先んじているところもあります。
本書は成毛節が炸裂するというよりは
とても出来の良い「キャリア本」です。
今より少しより良い未来を目指す方にとっては
必読の書と言えると思いました。
それでは、また…。
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