ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

天才たちの未来予測図

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

実は私、天才に憧れています(笑)。

 

そんな才能がないのはよくわかっています。

そして自分自身にできるのは

努力を積み重ねていくことだということも

心底、理解はしているんです。

 

それでも天才には憧れています。

 

そこで私が取った人生戦略は、

天才を目指してみようということであり、

本物の天才は無理なので

天才「的」とか、天才「肌」とか

天才っぽい感じのところに行こうとしています。

 

そんなんも図々しい話しであって

実現できるとは思ってませんけど

ただ1㎝でも1㎜でも近づければいいかなと…。

 

こんなことを考え始めたのが

私が20代の前半の時でした。

 

あれから30年が経ちまして

もちろん天才にはなれていませんけど、

ごくごく一部で天才「的」とか天才「肌」には

多少なりとも近づけたかもしれません。

 

営業の上司には

お前は天才か!と言われたことが

ほんの数回だけですが実際にありますし、

転職エージェントとしても

同僚や部下に天才っすね…と言われたことがあります。

 

さすがにこれを真に受けるわけにはいきませんけど

何となく、自分なりには、

いい感じになったようには思えます。

 

それだけ努力してますもんとか、

続けるってことだけは必死になってやってきてますからとか

そう胸を張れますけど

でもこれじゃ天才とは違うんですよね…(笑)。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 天才たちの未来予測図 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 天才たちの未来予測図 』

高橋 弘樹(編著) マガジンハウス新書 を読みました。

 

なぜかネット上で本書が出てきたんです。

天才に憧れる私ですから、

お!と思ったんですよ。

 

本書で取り上げられている4名の方は

全く存じ上げませんし、

全員が理系の方のようです。

 

文系人間の私としては

理系の方の頭脳って物凄く興味あります。

 

新書ですから

そんなに難しそうでもなさそうですし、

最先端の知性が見い出す未来予測図なんて

メッチャ面白そうではありませんか?

 

若干、宣伝広告に乗ってしまうことに

悔しい気持ちはありましたけど

興味のほうが勝りました。

 

ポチっとして自宅に届き、

前の本が読み終わってすぐに読み始めたのです。

 

目次

はじめに ー 「未来への指針」を示す新時代の羅針盤

 

成田悠輔『「わけがわからない人間」が輝く時代』

・「何をやっているかよくわからない」が理想

・データ分析で「常識」を問い直す

・教育は「個別最適化」されていく

・もう「逆張り戦略」しかない

・民主主義を解体構築する

・人が猫に仕える未来? 

・「何の意味のないこと」に精を出す

 

斎藤幸平『資本主義から脱成長コミュニズムへ』

・「限界」を迎える資本主義

ソ連の問題点

・「科学技術がすべてを解決する」という幻想

・「脱成長」から始まる未来

・世界を救うマルクスの「コミュニズム

・「人新世の危機」を乗り越える

・困難は次の時代を築くチャンス

 

小島武仁『世界の歪みを正すマッチング理論』

・社会問題を「疑似市場」で解決する

・「ミスマッチ」をなくし「満足度」を高める

・「最高の人事制度」もデザインできる

・「GLAY」から研究者の道へ

・日本の未来は「意外と悪くない」


内田舞『withコロナ時代の「心の守り方」』

・「社会正義」としての小児精神科医

・ネガティブな感情を書き替える「再評価」

・「メンタル危機」とどう向き合うか?

・コロナ禍で「心のバランス」を崩す子どもたち

アメリカ社会の「キャリア」と「育児」

・事実を“そのまま受け入れる”思考法

 

感想

うむ、非常に面白い。

やはり天才とは独自の考え方を持っているものですね。

 

普通の人たちと同じでは

そりゃ天才という領域まで行けないでしょうし、

基本基礎に加えて

独特の見解をプラスできるところが

天才の所以なのでしょう。

 

自分が何をしている人か、

普通は多くの人にわかってもらいたいですが、

何をやっているかよくわからないのが理想と言う成田氏。

 

経済思想家であることを述べつつ

好きな女優は柴咲コウですと述べる

マルキシストでもある斎藤氏。

 

超の付くほどエリート街道を走りつつも

マッチング理論を提唱する小島氏。

 

小児精神科医として

日本国内でのキャリアを見切り

米国で働く内田氏。

 

いずれの方も実に興味深く読みました。

こういう領域にいる方は

頭の良さに加えて

頭が良すぎちゃって

エキセントリックなところがあったり、

物事を突き詰め過ぎて

素人には理解できないところがあったりするものですが、

まあ、そういうのもご愛敬ですね。

 

この人たちの持つ見識を

我が国はもっと活かすべきだろうと思えますし、

4名のキャリアの多くが海外で築かれているところに

一抹の淋しさを感じます。

 

ただ天才レベルにある人たちが

日本社会をどう見ていて

今後どうあるべきかという見解は

私にとっても非常に参考になりました。

 

多くの人がこのような発想が持てると

まだまだ日本という国も捨てたものじゃないと思うんですね。

 

少しでも関心が持てましたら

是非、本書をお読みになって欲しいです。

きっと斬新な発想に面白味を感じると思います。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

今の教育は、同一の場所で、

同一のカリキュラムを一斉に学ぶものです。

小中高の12年間では、

個人がどういうタイミングで

何をどのように学ぶかをほとんど選択できません。

世界が複雑化し、

子どもでもいろいろな情報が手に入る今の社会では、

古い建前は誰の目にも無理がある。

職種や生き方によって

求められる知識はまったく異なります。

どんな人生を歩むかによって

必要な学習はさまざまとなると、

教育を受ける目的自体、

人によって変えざるを得ない。

教育の目的やカリキュラムなどを

個別最適化していく必要があります。

(P.34)

 

本当おっしゃる通りだと思います。

 

今のIT化、AIの技術を考えれば

何ら問題はないはずですけど

いつまでも権力を握り続けたい文科省

認めることはできないでしょうね。

 

その結果として

国力が下がっていくわけですから

罪深いにも程があります。

 

なんでも「選択と集中」と言い出すのはよくない。

個々人が独自の方向性を追求していけるように

薄く広く資源を配分することが重要なのではないかと思います。

そもそも「選択」がうまくいく保証がどこにもありません。

(P.39)

 

これもその通り!と思います。

だって選択と集中を言い出してから

ずっと日本経済は低迷しているわけですよね。

 

金太郎飴のような人をいくら作っても

社会は良くならないことが証明されたと思うのです。

 

ただ政策や社会制度をつくる立場にいる人は

エリート層に生まれ、

親から手厚い教育を受けてきた可能性が高く、

世の中の平均からはほど遠い場合が多いわけです。

なので、エリート層に属する人たちだけの経験にもとづいて、

日本人一般についての教育制度をつくるというのは、

かなりリスクがあります。

自分の経験がいかに個人的なものに過ぎないか、

いかに極端なのかということを思い知るために、

データによって「真実」を突きつけることが

重要になるのです。

(P.49)

 

エリートは道を間違えやすいとも言えますね。

エリートの理解の範疇では

見えない世界があるんだと思います。

そしてそちらの世界のほうが

イノベーションは生まれやすいのですね。

 

私は、今の日本はもっと

「格差をつくり出すべきだ」と考えています。

格差をつくるといっても、

貧乏な人を増やすわけではなく、

圧倒的な価値を生み出す「稼げる人」を

増やしていくということです。

今後の日本には、

国際的な競争力や国家の財政のためにも

そういった人が欠かせないです。

(P.62~63)

 

もともと我が国の強みは

平均値の高さだったと思います。

 

しかし平均値は段々と下がっていますし、

アメリカを見ればわかるように

1人の天才が社会を変革していくほうが

発展性があるのかもしれませんね。

 

歴史とデータを見ていくと、

「技術がすべてを解決してくれる」という

資本主義のロジックにさえ従っていればいい、

という楽観的な考えが正しいとは到底いえません。

むしろ、近い将来に技術革新が起きるということが、

何もしないことの言い訳になっていないでしょうか?

けれども、そんなことで浪費している時間はもうないのです。

ここで考えなければならないのは、

「資本主義がきっと解決してくれると信じ込ませることで、

 得するのは誰か」ということです。

得をするのは、今すでにこのシステムから

いろいろな利益を得ている既得権益層の人たちです。

(P.81)

 

脱・資本主義とまでは言いませんけど

いつまでも既得権益層を太らせていたら

もうこの国は持たないでしょう。

 

オリンピックを見てもそうですし、

所詮、自民党政権にすり寄る人たちの目的は

国や国民ではなく、

自分たち「だけ」のためですからね。

 

商品をつくってる会社が儲けるために、

私たちは広告によって

絶えず不安や欲望をつくり出されている。

一部の人の金儲けのために、

多くの人たちが不幸になっている状況です。

(P.87)

 

不幸とまでは思いませんけど、

翻弄されているのは間違いありませんね。

 

私たちのリテラシーの問題もありますが

宣伝広告は信じてはいけないと思います。

 

お金という数値で測ることを

過剰に意識した社会は、

数値化できないものを無視し、

犠牲にしてしまうシステムでもあります。

私たちが今の社会で生きづらさを感じているのは、

数値化できないけれど、

本当は大事なものを

ないがしろにしているからではないでしょうか。

(P.104)

 

お金以外の価値感。

ここを共有できないと

資本主義の魔術に惑わされっぱなしですね。

 

数値化できない

わかりにくいけど、

とても価値のあるもの。

プライスレスにこそ

本質があるんじゃないでしょうか。

 

感情と体の反応と思考はすべてつながっているのです。

私たちの感情は、

生存のために必要となる、

とっさの行動やとっさの判断のために、

進化の過程でつくられたものだと考えられています。

(P.162~163)

 

現代の医学でも説明しきれないもの。

人間にはまだたくさんあるのでしょうね。

 

心理学用語に「アルトルイズム」という言葉があり、

これは日本語で「他愛」と訳されます。

他愛は、自分が抑うつを感じているときに、

「自分が誰かの役に立っている」と感じられると、

その抑うつが和らぐという考え方です。

(P.185)

 

自分1人で生きていると勘違いして、

自分、自分、自分と自分勝手になっていちゃ

見えなくなるものは大きいでしょうね。

 

それがストレスとして跳ね返ってきて

自分を追い込んでいく。

そういうパターンは実に多いと感じます。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

率直に言って

新書ではもったいないというのが正直なところです。

もっと深掘りして欲しい。

 

むしろ1人1人を1冊の本にしてもいいくらいです。

ただ、それだと難しくなり過ぎる気もします。

 

それぞれ著書もおありになるようですので

興味を持てた人はそちらで深掘りするのが良さそうです。

 

私レベルでは新書で充分かな。

 

それでは、また…。

 

 

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