ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

全身美容外科医 道なき先にカネはある

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

世の中にはあまりにも知らないことが多いですし、

そのすべてを知ろうとしても

そんなに簡単ではありませんから、

どこかで取捨選択しなければなりませんね。

 

でも、知らなくていいことなんて

よほどの「悪どい」こと以外は

あんまりないのかもしれません。

 

どうしても私たちは自分の価値感や判断基準に則って

これはいる、これはいらないと考えてしまうものですが、

時には自分の基準を離れて

こんなんも知っておいたほうがいいかもな…という

枠を広げる発想も必要なのでしょうね。

 

私にとって読書はまさにその手法のひとつ。

今回もたぶん普段なら読まないだろうけど

読んでみたら面白そうかもという感じで

新たなチャレンジをいたしました。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 全身美容外科医 道なき先にカネはある 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 全身美容外科医 道なき先にカネはある 』

高須 克弥 講談社+α新書 を読みました。

 

とても知名度の高い高須先生の著書です。

YES!高須クリニックはなぜか脳裏に残ります。

 

私は仕事柄、医師をサポートしていますので

医療業界のことは何でも勉強する必要があります。

 

ただその大半は保険診療ですから

自由診療である美容外科、美容皮膚科などは

それほど優先度が高くありません。

 

他にもっと学ばねばならないものが多いので

どうしても保険診療が優先されてしまい、

美容医療は後回しになりがちです。

 

しかし時々自由診療を志す先生から

キャリアに関してのご相談を受けることもあり、

知らないままでいいわけではないのです。

 

もちろんそれなりの知識は持っていますが

さらに知ることを避けてはならず、

本書を見つけたときには

あ!これは読むべきと直感が働きました。

 

すると不思議なことに

形成外科の先生からご相談が入り、

美容外科への転身を検討したいと…。

 

こういうご縁はとても興味深いです。

今読むしかないじゃん!と

気合いを入れて読み始めました。

 

目次

第1章 人が歩いた道に成功はないー七〇年代以前

第2章 マイナスイメージをどう変えるかー七〇年代

第3章 躍進とやっかみとー八〇年代

第4章 昨日の美人は今日のブスー九〇年代1

第5章 「強欲医師」の汚名と大借金ー九〇年代2

第6章 歴史的分岐点としての「プチ整形」-二〇〇〇年代

第7章 急増する高齢者の整形ー二〇一〇年代

 

感想

うん、実に面白い。

とても勉強になりました。

 

高須克弥という美容外科医の生き様というか

歩んできた道がよくわかりました。

 

それこそ伝記もののような感じで

ライフヒストリーとでも言えばいいのでしょうか。

 

まさに日本の美容医療の歴史ですね。

 

よいことも悪いことも

包み隠さずに堂々と述べておられたのが印象的です。

 

昨今では我が国でも美容クリニックは増える一方で

若手のドクターが転身することも多いです。

 

しかし高須先生は

そういった傾向に警報を鳴らしており、

それこそ美容業界の生き字引のような方ですから

その発言には重みがあります。

 

道なき道を自ら作り上げてきたからこそ

すでに完成形に近い美容業界で

何をするのか、何ができるのか、

近未来を見据えているのですね。

 

また新たな技術を

世界各国から持ち込み、

またそれを工夫して我が国のニーズに適した

サービスラインナップを作ってこられた方ですので

フロンティア精神のスゴさというか、

イノベーションへの尽きぬ思いも

高須先生が成功されたひとつの要因なのだろうなと痛感します。

 

もともと高須先生が美容外科に転身した頃は

今のように社会が受け入れていたわけではありません。

 

むしろ怪しい医者がすることだという風潮が強く、

それを乗り切ってきたのですね。

 

嵐の中を突き進んできたバイタリティー

その後の成功へのやっかみなど

想像できないくらいのバッシングがあったことでしょう。

 

成功者ってのはそういうものかもしれませんが、

高須先生も自分が信じる道を粛々と歩み、

荒野を切り拓いてきた方なのですね。

 

サバイバル戦略としても勉強になりましたし、

とてもリスペクトできる方であることがわかりました。

 

ここで余談ですが、

実は私、両国国技館に大相撲を観戦しに行った時に

高須先生をお見掛けしたことがありまして、

席がすぐ近くだったものですから

かなりの近距離でお会いしました。

 

もちろん何かお話しをしたわけではないのですが、

支援している関取が出てくると

「YES!高須クリニック」と連呼されて…

これは報奨金を出しているからなのですよね?

この辺りの仕組みは私もよくわかりませんが、

何度も何度も「YES!高須クリニック」とアナウンスされて

場内が騒然としてきたのを

大変に喜ばれていました。

そんなお茶目なところもあるのですね(笑)。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

いまの若い医師たちは、

きつい肉体労働や医療事故のリスクを伴う

「上層」の科への入局を嫌う傾向があります。

反対に、かつてあやしいものとされた美容外科は、

楽そうで収入が多そうに見えるのか、

その人気はうなぎのぼりです。

「高須先生のように成功したい」という若い人もいますが、

それは掘り尽くされた金鉱みたいなものであり、

すでに手遅れです。

いまの時代、美容外科医は世の中にたくさんいるのですから、

いまさらそこに進んでもたいした成功は得られません。

そもそも「高須先生のように美容外科を目指します」という

若い人に対しては、

心から「君たちはバカじゃないか」と思います。

結果的に美容外科医になった医者は結構ですが、

最初から何もないのに美容外科医を目指すのはいただけません。

医者というものは、

世の中のためになることをやるべきです。

フルコースでいえば、

美容外科はデザートみたいなものです。

メインを作れるようになったらデザートにもチャレンジしてみる。

それでたまたま腕があって

おいしいケーキがつくれるようになったら、

それで名を馳せてもいい。

しかし、はじめからケーキを狙うのは

医者として論外です。

(P.54~55)

 

へえ、昨今の風潮に対して

高須先生はこのように考えているんだ…と

少し意外に思いました。

 

でも、おっしゃっていることは正論でしょうか。

自分のキャリアをどうするか?に

美容という選択肢があるならば

よくよく考えたほうがよいのかもしれませんね。

 

安易な転身はリスクですからね。

 

なりたい自分に外見を寄せていくというのは

自分を変える近道のひとつです。

しかも、コンプレックスというものは

強ければ強いほど、強力なバネとなって、

大きく飛躍する材料になります。

(P.79)

 

なるほど。

別に、美容整形の分野だけでなく

人生戦略としてもありな考え方と思います。

 

洋服とか、髪型とか、

そういうものも含めて

なりたい自分に寄せていくのはあって良さそうですね。

 

高須ブランドと言われることもありますが、

実に単純です。

人と違うことをやる。

そして、頑固に料金を変えない。

また、何もかも正直にやることも大切です。

組織の崩壊は内部告発から始まることが多い。

だから外にも内にもウソをつかない。

こうした姿勢を崩さなければ、

いつしかブランドに化けます。

一方、それを崩すと、

苦労して築いたブランドは一瞬で消えてしまいます。

(P.114~115)

 

本書の他の部分でも何度も出てきますが、

高須先生の成功は「逆張り戦略」が要因であることは

一目瞭然です。

 

人と違うことをやる。

人がやらないことをやる。

 

美容外科医だけでなく、

どんな職業でも当てはまることでしょうね。

 

僕は開業以来、

「美容医療は幸福医療だ」と訴え続けてきました。

美容外科医は健康でおカネも余暇もあり、

さらにプラスアルファが欲しいという人のお手伝いをしているだけ。

当然、余裕がない人に美容外科をすすめるなんて間違えていますし、

患者をだまして過剰な施術をするなんてもってのほかです。

言うまでもなく、こうした問題を解決するには

ダメな医者を淘汰するしかありません。

ところが、日本の美容外科界は異色の成り立ちゆえ、

その仕組みがないという現実があります。

(P.175)

 

だいたいどの業界でも

先駆者たちは必死になって形を作り、

それに追随した人は

おこぼれで金儲けをするようになります。

 

今の美容業界はそういう感じなのでしょうか。

個人的に思うのは、

医師が経営トップにいて

美容医療を真摯に追及するところはいいですが、

企業がお金を出し、

一応、医師を院長には据えますけど

結局、企業の論理で経営しているところは

だいたい長持ちしませんね。

 

企業に医療はできないと思います。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

この系統の本に満点をつけるのは

結構、珍しいかもしれません。

 

それだけ学びとなりましたし、

もしこの書評をお読みの若手医師のなかで

美容業界への転身を検討されている方がいらっしゃれば

転職活動の前に本書をお読みすることをおススメします。

 

美容業界の変遷がよくわかりますし、

そこから導き出される未来に関しても

かなり把握できることと思います。

 

今でも多方面でご活躍の高須先生ですけど

こんなにも硬派に取り組んできたのかと

私は感銘を受けましたし、

美容業界への視点が変わりましたし広がりました。

 

2つ存在する美容学会の下りであったり、

今後の美容医療の未来図であったり、

私の仕事的にも非常に参考になるところが多かったです。

 

本書は弊社の社員の必読の書といたします(笑)。

 

それでは、また…。

 

 

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