おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私はキャリア支援を長く仕事としていますので
中長期的な戦略とか、
常に5年後、10年後を考える視点などは
とてつもなく重要であると思ってます。
とはいえ未来がどうなるかなんて
神様じゃないとわからないことですし、
予想が当たるなんて
そうはないとも考えています。
これからどうなるか?よりも
これからどうしたいのか?
どうなりたいのか?
こちらのほうが大事ではないでしょうか。
夢物語や希望を語ることも必要ではありますけど
そのプロセスで具体的に何を実行するのか?
結局、キャリアや人生をより良いものにしようと思えば
経験値を積み重ねて
スキルや知識を身につけねばなりませんからね。
どうしたいのか?どうなりたいのか?を考えるさいには
わからないながらも
未来予想図を思い描くのは悪くありませんし、
それがデータに基づくものであれば
少しは正解に近づくかもしれません。
今回ご紹介する書籍は、
【 ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法 】 です。
本書をピックアップした理由
『 ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法 』
落合 陽一 猪瀬 直樹 角川書店 を読みました。
落合陽一さんの著書は好きなので
きちんと読み続けようと思ってます。
ちなみに今までは下記を読んできました。
本書は「2021-2050」と銘打っていますから
未来予想図として興味深いと思い購入したのです。
ただ、猪瀬直樹さん?
え?落合さんどうしたの?
なぜ猪瀬さんなの?と疑問には思いました。
ぶっちゃけ落合さんと話しが合うとも思えませんし、
未来を語るのには相応しくないのではないかと思ったからです。
一応、調べてみましたら
猪瀬さんの著書も過去読んだことがありました。
もともと作家さんですし、
もっと読まねばいけない本はあるのでしょうが
個人的にはあんまり興味が持てる人ではありません。
しかし落合さんが対談するなら
そこには何か目的があるのでしょうし、
異質な2人がディスカッションすることで
何か化学反応でも起きるのかもしれないと考えて
まあ、読んでみるか~という感じで手に取ったのでした。
目次
第2章 2021年の日本風景論
第3章 統治構造を変えるポリテックの力
第4章 構想力は歴史意識から生まれる
感想
率直に申し上げて
落合氏の未来を見通す目と
猪瀬氏の過去そして現状を分析する目が
組み合わさることで
化学反応を起こした感じがしました。
正直、私はあまり猪瀬さんを評価できなくて、
そりゃ作家としては素晴らしいですし、
道路公団の改革などの
ご活躍はスゴイなとは思いましたけど、
その後の副知事時代までは評価できるのですけど、
都知事から今の議員としての働きぶりは
ちょっと残念な気がしてしょうがないのです。
小泉さんや石原さんというリーダーの元で
強烈な印象を残したように
この方は自分が政治家になるのではなくて
強力な政治家のブレーンが向くのではないかと思うのです。
ま、それは置いておいて…
落合さんとの対談はどうなの?
話しが噛み合うの?と不安ではあったのですが、
まあ、それなりに、成立はしていますし、
というか、
これは落合さんの凄さなのですけど
この方は否定、批判、非難をしないのですね。
現代社会なんて
突っ込みどころが満載ですし、
文句を言えばキリがないですよね。
不備は多いし、
政治や行政は信頼できないし、
ダメなところを言い始めたら
いくらでも出てくると思うのです。
でも落合さんは
現状を素直に認めて、
こうすれば良くなるんじゃないか?という
ポジティブな発想を持っていらっしゃる。
この若さで、素晴らしいなと思いますし、
私にとってはリスペクトの対象です。
そんな落合さんだから
猪瀬さんとも話しを上手く合わせつつも
しっかりと導いている感がしました。
むしろ猪瀬さんの長所を引き出すような
賢明なファシリテーターぶりです。
そのおかげで
非常に面白い内容となっているのが
本書ですね。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
手を動かさず、モノを生み出さず、
批判と愚痴をたれ流す。
そんな人は山ほどいますが、
手を動かしながら語る人は少数派です。
(P.6)
ホントおっしゃる通りですよね。
何もできない自分を肯定するために
人を批判するなんて
これほど恥ずかしいものはありません。
まず自分が行動すべきですよね。
いま、住んでいる人たちや
現場の声を尊重するのは不可欠です。
ただし、絶対視していたら改革はできません。
それは極論を言えば既得権益の肯定でしかなく、
むしろ未来の人たちの機会を奪うことにつながります。
(P.25)
そうそう。
もう既得権益者自由にさせてはおけない状況です。
未来を犠牲にしていてはいけませんよね。
後世のために物事を考えるべきですね。
東京の中心には無の空間があり、
厳かな自然が残っている。
逆にその周辺には
日々変化を続ける大都市としての顔がある。
言い換えれば、伝統とモダンが重なり合うことで
東京という都市の魅力ができている。
(P.102)
これが保守だと思います。
大事なものを守り、伝統となる。
日本の場合は保守が保守じゃない。
ただ政権維持のために
保守になったり革新になったり、
バラマキしか打つ手がない。
グローバリズムのような
おかしな流れに乗ったのが今の苦境ですよね。
もっと足元を見なければなりません。
標準的教育とマスメディアの呪縛から
いかにして離れるか。
ポスト平成の日本を構想する際に
もっとも重要なポイントだと思っています。
ビジョンを描くときにもう中流マスメディアに
頼らなくていいと僕は考えています。
(P.108)
戦後の焼け野原からの復興。
この成功体験に胡坐を掻き続けてはいけませんね。
もうすでに終わったことなのです。
ある意味では現在も焼け野原のようなものです。
今までと同じことをしていても何も変わらないどころか、
既得権益者を太らせるだけです。
未来を犠牲にして…。
これは変えねばなりませんよね。
ということも大事になります。
日本では技術的にはできるけどやれない、
という話が至るところに転がっています。
(P.136)
ハンコ文化やFAXなど
どう考えても非効率なものが、
変えたくない旧勢力のせいで
いつまでも残っていたのがこの国の欠点ですね。
結果的に世界から後れを取り、
全体のパイが縮小し続けて
先進国で最低の給与水準となりました。
このままでいいのですか?ということですよね。
身近な改善の延長にこそ
改革の成就があるのだと思います。
僕がこの本で歴史を意識することが
重要だというのもここに理由があります。
2021年以降の日本を変えようと思ったら、
それ以前の日本の歴史を学び、
その本質をつかんでいくしかないのです。
ビジョンを生み出すためには、
まず歴史から学ぶしかない。
ある時代にチャレンジしていて失敗したことでも、
この時代なら成功するかもしれない。
こうして仮説を考えながら歴史を学ぶことで、
次の時代に生かせるものが作れるのです。
(P.167~168)
賢者は歴史に学ぶ。
愚者は自らの経験に学ぶ。
もうこれに尽きますね。
私たちは過去の成功体験から脱すべきですし、
ヒントは日本の歴史を振り返れば
いくらでもある気がします。
最近のAIの研究に即して言えば、
コンピュータを用いた統計的アプローチでは
正規分布の範囲内から
外に出るのは難しいことも指摘されています。
外れ値を出すことも難しいようです。
ど真ん中ストレートのスーパー官僚みたいなものは作りだすのですが、
「こっちのほうが受けるんじゃないか」と思って
リスクを取るような人物を生まない。
ということは、とんでもないビジョンというのは、
人からしか生まれないということを
意味しているような気がします。
ビジョンを生み出してからは、
AIが適切な方法を考えてくれるかもしれませんが、
AIがみんなが驚くような
とんでもないビジョンを生み出すかというと
それは別問題です。
自分が知らないということを知ることから、
新たな視点が生まれます。
(P.171~172)
誠に申し訳ないのですが、
AIを理解できない人は
権力から外れていただかねばなりませんね。
直言すれば、政治家です。
70代とか、80代の人は
早く引退していただき、
まあ能力のある人は顧問として
ご活躍いただきましょう。
第一線はAIを理解し、活用できる人が
必要不可欠です。
そして硬直化した官僚社会や大企業をAIでぶっ壊して
未来のための社会を作りましょう。
と、思います。
デジタルヒューマンは
「自分とは何か」を悩むのではなく、
いまできることをどんどんやりながら、
自分にできることを磨いていったほうがいいのです。
つまり、
「いま必要なものをあえてリスクを取ってやる」
ということです。
リスクをあえて取るというのは、
いまのコンピュータにはなかなかできない判断になります。
人間はコンピュータと違い、
リスクを取っているほどモチベーションが上がるという
不思議な性質があります。
機械は正規分布の中でしか吸収していかない。
(中略)
言い換えれば、時代を作っていくような突拍子もない
アイデアを出すことが苦手ということです。
リスクを取ることでモチベーションが上がれば、
機械に代替されない人材になっていくでしょう。
(P.182)
これは面白いですね。
人間とコンピュータの役割分担とも言えますね。
AIも含めてですが、
役割が明確化されれば
さらに人類は進化できるような気がしますが、
役割が不明瞭だと
不幸なシンギュラリティを迎えるかもしれませんね。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
これからどう生きるか?
当然、正解があるものとは思えませんし、
個々それぞれで目指す世界は違いますよね。
ただ本書に書かれている内容は知っておいたほうが
サバイバル戦略として有利になるように思います。
知ると知らないでは
とんでもない「差」になりそうですし、
時代に取り残されないためには
頭に叩き込んでおくのが良いですね。
それでは、また…。
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