おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
仕事って何でしょうか?
何のためにしなきゃいけないのでしょうか?
働くって何でしょうか?
働いた結果として手に入れるべきは何でしょうか?
キャリアって何でしょうか?
どんなキャリアが望ましいのでしょうか?
こういった哲学的な問いが
これからの世の中では益々問われるように感じています。
それだけ「意味」や「意義」が理解できないと
長く続けることが難しい時代なんですよね。
いわゆる世間一般的な「答え」と
自分らしいオリジナルな「答え」があると思いますし、
これが正解だ!という
絶対的なものがあるわけでもありません。
毎日の仕事を充実させるためにも
自分なりの「答え」らしきものを
手に入れることができたらといいですね。
今回ご紹介する書籍は、
【 「自分らしさ」を見失わずに働く方法
理想のキャリアの作り方 】 です。
本書をピックアップした理由
『「自分らしさ」を見失わずに働く方法
理想のキャリアの作り方 』
高城 幸司 大和書房 を読みました。
私の場合はキャリア支援を仕事としていることから
キャリア本は定期的に読んで
最新の考え方やノウハウを知っておきたいと考えています。
ただキャリア本って
実にセレクトが難しいんですよね。
すごく表層的な内容も少なくありませんし、
逆にキャリア論として学術的になり過ぎると
ちょっと難しくて読めたものじゃない。
実務として
キャリアを学ぼうと思うと
それなりのバランス感覚が必要ですね。
本書はたまたまAmazonで見掛けて
ついポチっとしちゃったのですが、
どうでしょうか?
自分らしさを見失わないというのは
働く人間として大事ではありますが、
自分らしさばかり出して
仕事が成立するとは思えません。
また理想のキャリアと言いますが、
そんなものが本当にあるのかどうか…。
一応、キャリアの専門家を自負する私ですから
何だか突っ込みたいモードになっていますけど
それでもやっぱり情報収集はしておきたいです。
どんな感じかな~と思いながら
読み始めたのでした。
目次
1章 「もっと自分らしく働きたい」と思っているあなたへ
2章 上司目線で35歳までのキャリアを設計すると、
「社畜」にならない働き方が見えてくる
3章 小さな仕事にも「コミット」して働くと
「自分」というフラグが鮮明になる
4章 周囲と「つながる」ことで、
仕事で活かせる「強みと才能」が磨かれる
5章 ふと立ち止まってしまったキミに伝えたいこと
感想
私はキャリアの世界で
もう20年以上仕事をしていますから
そんな私には内容としてちょっと物足りなかったです。
ただどんな業界でも、どんな職業でも
若手の方には向くのではないかと感じました。
本書では、
22~25歳をポテンシャル人材期、
26~29歳をキャリア人材期、
30~35歳をオーソリティー人材期として設定し、
それぞれの時期に何を考えるべきか、
どんな行動を起こすべきかを
わかりやすく丁寧に説明してくれています。
その内容が素晴らしいか?と問われると
個人的にはエクスキューズはありますが、
じゃ全然ダメかと問われると
参考になるところもあると思うよ…という感じです。
まあそもそも若手人材をターゲットにした本を
50才を過ぎた私が読むこと自体が間違っているので
ごく普通に若手の方が読むには適していると思います。
医療業界におきましても
医学生の皆さんや、研修医、専攻医の皆さんが読むには
なるほど…と思うところも散りばめられていますので
そこそこ参考になりますのでいいと思います。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
「自分には向いていると思えないから、
辞めたい」と思っても、
ひとまず冷静になって、
自分の仕事や会社の中での自分の存在を、
第三者目線で見直してみてください。
もしかしたら、それなりに結果が出ていませんか?
あなたの成果を、周囲は認めていませんか?
(中略)
あたりまえのことですが、
どんな仕事にも、
楽しい部分としんどい部分があるものです。
では、どうやればしんどい部分を、
できれば楽しみに変えて
乗り切ることができるのか?
その方法を発見するためにも、
目の前の仕事と今までの仕事について、
「自分の仕事ぶりを周りの人が
どんなふうに認めてくれているか」を、
客観的な目で振り返って考えてみてください。
(P.35)
昔は石の上にも3年と言われて
最低でも3年は勤めなさいと…
できれば5年、10年と長く勤めることに
価値を置く傾向がありましたが、
今は完全に崩れちゃいましたね。
でも嫌なら辞めてよいとか、
合わないなら合う場所を探せというアナウンスは
私は間違いだと考えていて、
若いうちはいいですけど、
40代、50代になった時には
余程のスキルがないと相当に苦労すると思ってます。
安易で気楽なアナウンスというのは
だいたい間違っているものなんですよ。
時間が経つのを忘れて取り組んだ仕事や、
忙しい自分の時間を割いて取り組んだ仕事には、
その仕事が好きか嫌いかはともかく、
自分らしさが存分に発揮されているといえるでしょう。
(中略)
本来、仕事にムラがあってはいけないのですが、
言われたことを言われた通りにやるのではなく、
「期待値以上の仕事をしよう」という
自らの意思で動いた仕事には、
間違いなくあなたらしいこだわりが発揮されているのです。
(P.47~48)
同じ仕事をするにしても
そこに魂がこもっているか?否か、
高いモチベーションで挑んでいるか?否か、によって
その仕事の質は全く異なるものになりますし、
同じ結果だったとしても
そこから得るものは全然違うでしょうね。
「気持ち」や「思い」って
キャリアにとっても物凄く重要です。
いい経験とキャリアは同じではないのです。
自分の専門性=自分らしさは、
こだわりを持って仕事をしていくことや、
ある分野の仕事を最初から最後まで
やり抜く経験を通して形成されていきます。
その経験が得られない、
あるいは感じられない職務経歴書は、
社会的には「キャリアが荒れている」としか
見えないおそれがあります。
転職しようと履歴書を書いても
「あなたに向いている仕事はありません」と
言われかねないということです。
(P.70)
誰の目線か?ということですね。
自分がいい経験をしたと思っても
社会的に、第三者的にそうでなければ
それは自己満足に過ぎないでしょう。
キャリアとは「スキル」と「経験」が
長年積み重ねられて出来上がるものです。
一時の満足では
とてもキャリアには繋がりませんね。
この時期の仕事で大切なのは、
ちゃんとやること。
「ちゃんと」というのは、
ただ普通にやるのではなく、
一生懸命やって一生懸命間違える、ということです。
(P.88)
これ、すごくわかります。
最近はキャリアの「焦り」が広がっていますからね。
何かをすれば
すぐに結果が欲しい。
キャリアに繋がる答えが欲しい。
でもそもそもキャリア自体が中長期的なものなので
いくら焦っても繋がらないんですよ。
そんなに簡単には見えてこないものなのです。
だから目の前にあることを
一生懸命やって一生懸命間違えるという経験を
積み重ねていくことが肝心なのですね。
自分のキャリアの答えを早く欲しがることで、
かえって自分のキャリアを先細りさせてしまうことになるので、
注意が必要です。
(P.109)
重複しますけど、そういうことです。
キャリアは中長期戦です。
様々な経験を積み、スキルを身につけて、
そのうえで初めてキャリアとして成立するのです。
1年や2年で得られるものなんて大したことがありません。
というか、その程度なら多くの人が持てるのです。
キャリアは相対的なものでもありますから
多くの人ができるのなら価値は上がりません。
希少価値こそが貴重なキャリアとなるのです。
人ができないキャリアは強いのです。
言われた言葉を
何でも鵜呑みにしてしまうのはなぜでしょうか?
それは、自分のことがよくわからない、
見つからない、見失っているなど、
自分に自信がないから、
自分の強みが何なのかがわからないので、
人に言われた言葉に振り回されてしまうのです。
自分に自信が持てない原因のひとつに
「自分自身に成功体験がないこと」が挙げられます。
迷っているときは、
人に安易に答えを求めて、
聞き入れたくなってしまうものです。
(P.175)
本当の意味での自信を持っている人って
最近は特に少ないですね。
厳しいことを言いますが、
それって経験不足であり、実力不足であり、
成功体験が足りないのだと思うのです。
キャリアを焦るなというところに繋がりますが、
まだまだプロセスと考えたほうがいいです。
ここで考え方を間違えてしまうと
「今だけカネだけ自分だけ」に陥ります。
残念ながらその先にいいことはありません。
カネという最もわかりやすい指標に頼ってしまうと
時間を掛けて
キャリアを積み重ねることから離れてしまいますから。
ラッキーにも「FIRE」できればいいですけど
そんなに簡単ではありませんし、
仮にできてもそれほどの満足感はないでしょう。
気持ちはわからないでもありませんが、
こうした一見アリに思える
「出世しないで存在感を発揮したい」という希望には、
実は大きな落とし穴があります。
(中略)
重要なのは、弁護士を社員として雇うことや
社員を弁護士に育てることではなく、
弁護士をうまくマネージメントできる
知識と見識を備えた人が社内にいることです。
そういう社員こそ存在価値があるのです。
ですから、あなたが会社組織でずっと働こうと考えるのなら、
いつかは管理職となって人をマネージメントすることになると、
覚悟しておくべきでしょう。
(P.203)
現状維持は停滞どころか、
堕落と同じなのですよ、ビジネスの世界では。
出世競争にしゃかりきになる必要はありませんが、
普通に出世しないと窓際が待ち受けています。
いえ、窓際ならまだましで
早期退職を促されることになってもおかしくありません。
今やっている仕事を同じようなやり方で
5年、10年続けられるかというと、
答えはNOです。
なぜなら、その仕事をできる人が
続々と入社してくるからです。
そうなれば、低位安定で留まっていた人たちは、
下から入ってきた人たちに席を奪われてしまいます。
(中略)
いつか誰かに取って代わられるのがイヤなら、
中途半端な立ち位置で成長を止めるのではなく、
低位安定志向の意識を変え、
自分の仕事を変えていくことが必要なのです。
(P.206)
これも簡単な社会の仕組みですよね。
今だけしか考えないと
あっという間に心地良い世界を失います。
後輩が入ってくれば、後輩に抜かれれば
このままでいいという世界は消えてなくなるのですね。
向上心を失うというのは
サバイバル戦略としても誤りです。
評価
おススメ度は ★★★☆☆ といたします。
ただし20代~30代半ばくらいの方に限っては
★★★★☆ と星を増やします。
キャリアについて語らせたら
どうも止まらなくなってしまう私ですから
本当はもっと言いたいこと、書きたいことがあるのですが、
当ブログはあくまでも書評ブログですので
このへんで止めておきます。
完全に医師向けではありますが、
もっとキャリアを知りたければ
弊社の公式サイトにキャリアブログがたくさんありますので
よろしければどうぞ。
それでは、また…。
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