ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

儲かる中小企業 人手不足に負けない111のポイント

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私自身が

小さな会社の経営者をしておりますので

経営本に関しては

適宜読んで勉強せねばと考えております。

 

ところが20代の頃から

実は結構、経営本は読み込んでおりまして、

何でしょうね、憧れがあったのでしょうか?

 

相当数を読んで学んできたのは

ちょっとだけ胸を張れるところです。

 

ただ最近はですね

医師がご自分のクリニックを持つ際の

開業支援も業務上でお受けしていますので

経営に関しての勉強はさらに必要度を増しています。

 

自分では開業コンサルタントとしての責務だと考えていますが、

同業者では経営をあんまり勉強していない人もいるようです。

 

これは他山の石として

開業医を目指す先生方のためにも、

自分のためにも、自社の社員のためにも、

これからも経営に関しては

しっかり勉強を続けていく所存です。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 儲かる中小企業 人手不足に負けない111のポイント 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 儲かる中小企業 人手不足に負けない111のポイント 』

中小企業庁 著 日経BP総研 中堅・中小企業経営センター 編

日経BP社 を読みました。

 

前述したように経営本に関しては興味が高いです。

いつも本屋さんに行くと

面白そうな経営本を探しますし、

ネット上でも同様です。

 

でも、世の中にはあまりにも多くの経営本があり、

どれを読めばいいのか、

なかなか判断が難しいですよね。

 

本書に食指が動いたのは、

中小企業庁」が出しているという点です。

 

日本は諸外国と比較して

中小企業が多いと言われますね。

 

この善し悪しは私には何とも言えませんが、

事実として中小企業は多いのは間違いなく

前述したように…

私自身も中小企業の経営者であること、

クリニックの開業コンサルタントとして

開業医になる先生方と経営談義をすることが多いことから

天下の中小企業庁(?)が音頭を取ったのであれば

そこには何か学ぶことがあるだろうと思いました。

 

教科書的な堅い内容であれば

ちょっとどうかなとは思ったのですが、

それでもかなり勉強する意欲満々で読み始めたのでした。

 

目次

第1章 中小企業だからできる生産性改革

第2章 リーダーシップで会社を変える

第3章 社員の声が創る新しい会社

第4章 ICTが生み出す新しいチャンス

第5章 永続企業の土台を支えるネットワーク

第6章【データ編】中小企業を取り巻く環境を統計で知る

 

感想

うん、これは面白い。

勉強になりました。

 

将来、クリニックの開業を目指す先生や

すでに開業医となられてる先生、

また病院経営に従事する先生にも

素直におススメです!と言える内容です。

 

まず事例が多い。

詳細まで説明している企業と

簡単に紹介する企業がありますけど、

業種が全然異なる会社の実情を知るのは

とても貴重な機会ですし、

読みながら私の頭の中はインスパイアされました。

 

そして本書で紹介されている中小企業は

何らかの理由で「窮地」に陥って

それを「変化」させて生き残った会社ばかりです。

 

つまりずっと順風満帆だったわけではなくて、

危機を脱したわけなのですね。

 

この「変化」への取り組みこそが

非常に勉強になります。

 

企業の存在価値というものは

いくつもあるとは思いますし、

社長によって何を最優先とするかは

意外と違いがあるんじゃないかと思ってます。

 

ただそのひとつに間違いなくあるのは、

「永続性」ではないでしょうか。

いわゆるサステナビリティと言ってもいいですね。

 

もちろん中小企業の宿命として

跡継ぎがおらずに廃業するということもあり得ます。

 

しかし本来であれば

親族だけではなく、従業員も含めて

後継者問題というのは先手先手で手を打っておくべきですね。

 

ただこれに対しては昨今、

M&A会社や、行政側でも課題として取り組み、

だいぶ第三者承継なども増えてきているように思います。

 

本書でもその成功事例をいくつか挙げており、

私自身も考えておかねばならんなと感じました。

 

これもある意味では変化への備えであり、

中小企業は常に変化して

新たな姿かたちを目指していかねばならないのですね。

 

もうひとつ思ったのは

IT化、システム化の大幅な遅れです。

 

大企業のように

毎年若い新卒が入社してくるわけではありませんから、

どうしても在籍社員の平均年齢は上がり

今までのやり方を変えるのには反対意見があるでしょうし、

テクノロジーの進化に付いていけないということも

やはり少なくはないと思うんですね。

 

本書のなかでも抵抗勢力に時間を掛けて説得し、

業務効率を飛躍的に高めた話しも出てきますが

中小企業の場合は、売上の大幅減少か、

社長の代替わりこそが

きっかけになるのかもしれません。

 

そもそも社内のリソースに限りがあり、

大きな投資ができるほど

余裕がある会社は多くないでしょう。

 

逆に言うと

知恵と工夫さえあれば

変化が大きくなくとも

器自体が小さいので

一気に変えることができるという利点もあるはずです。

 

中小企業こそ

常に変わり続けていかねばならんのだな。

この点が私が本書を読んでの最大の学びです。

 

それでは今回は少ないですけど

恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

「『改善提案してください』と言っても、

 なかなかアイデアは出てきませんが、

 『面倒臭いと思っていることを挙げて』と言うと、

 どんどん出てきます。

 それが業務改善やシステム変革のコツです」

(P.38)

 

大阪府大阪市にある

株式会社大都の山田社長の言葉です。

 

二代目社長の娘さんと結婚し、

事業を受け継ぐことになったそうです。

 

しかし金物卸業は完全に下火で

山田社長はネット通販、EC事業に活路を見い出し、

社員を解雇し、会社を作り直したのです。

 

新事業は順調に発展したものの

売上が増えていく半面、

生産効率が上がらず

社員の負担が増すばかりだったそうです。

 

そんな時に山田社長が

いかにして業務改善の手を打ったか?が

この言葉に現れています。

 

確かに何かを変えるぞ!と言われると

つい反発してしまう社員は多いでしょうけど、

本人たちにメリットがある改善ならば

現場の困っていることや

イデアを引き出すことはできるでしょう。

 

私自身の引き出しにしまっておき、

いざという時に使わせてもらおうと思います。

 

「商品は替わっても、

 そこに使われている部品は基本的に大きく変わりません。

 部品をつくる際の切削、研削、組み立て、といった

 技術がなくなることはないのです。

 ガラケーからスマホに替わっても、

 切削の需要がなくなることはないでしょう。

 もし、自動車産業がダメになったら

 別の商品の部品をつくればいいだけです」

つまり、完成品と違い、

部品をつくる技術は普遍性が高いから、

完成品ではなく部品づくりに特化した

ものづくりを共進はしているのだ、というのだ。

(P.133)

 

長野県諏訪市にある

株式会社共進の五味社長の発言です。

 

大手の自動車会社からも

評価の高い技術力を持つ切削加工会社です。

 

同業者や取引先からは

完成品を作ればいいじゃないか?と言われるそうですが

五味社長はポリシーを持って

部品にこだわっているのですね。

 

これなどは社会の仕組みであったり、

業界や製品の構図や構造を

熟知しているからこその発言でしょう。

 

それぞれの業界には

特有の構図、構造があり、

そこをしっかり見極めないと

リスクに弱い体制のまま続いてしまい、

いざという時に

打てる手がないということになりがちです。

 

仕事の本質というか

事業の構造を深く熟慮しないといけませんね。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

さすがに中小企業庁が関わっているだけあって

全国の特徴ある中小企業の事例が集まっており、

その点では大変勉強になりました。

 

一見、自分の業界とは全く違っても

よくよく考えれば

似たところがあったり、

少し形を変えれば自業界でも使えたりすることは

結構多いと思うんですね。

 

直接的に私の転職支援や開業支援に

マッチする内容はなかったですし、

クリニックの開業、経営に関わるところもなかったですが、

きっとヒントはあちこちに散りばめられていると思いました。

 

先日、弊社のyoutube経由で

ある医師よりお問合せがあり、

今まで読んだ経営本を紹介して欲しいとのことでした。

 

ちょうど本書を読んでいるタイミングでしたので

今、過去の書評なども読み返しながら

どの本をピックアップするか整理しています。

 

おそらく本書は入ることでしょう。

 

経営本と言ってもいろんな種類がありますが、

本書はなかなか異色であり、

開業医を目指す医師にとっても

読む価値はあると思います。

 

それでは、また…。

 

 

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