おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
賢者は歴史に学ぶと言われますが、
現代を生きる私たちにとっても
歴史が学びとなるシーンはすごく多いと思ってます。
私自身は人を学ぶ、
社会の仕組みを学ぶというのを
人生のテーマとして勉強をしているつもりですが、
もう少し具体的に言えば
私は経営者でもありますし、
部下を持つ管理職でもあります。
小さな所帯ではありますが、
だから難しいところもあるので
学びに終わりはないと考えていますし、
むしろ私自身が先頭を切って
貪欲に学ぶべきだろうとも思ってます。
今回ご紹介する書籍は、
【 勝つ司令部 負ける司令部 東郷平八郎と山本五十六 】 です。
本書をピックアップした理由
生出 久 新人物文庫 を読みました。
本書を購入した理由は2つあります。
ひとつはこの「新人物文庫」に関心を持ったことです。
当書評ブログでは
度々登場しているのが「人物文庫」です。
まだ書評を書き始める前から
かなり読んできました。
そろそろ制覇できるんじゃないかというくらいに
個人的には大好きなシリーズであります。
でもこの「新人物文庫」は今まで知らず
発見した時にはちょっと嬉しくなりました。
先に「人物文庫」を制覇しようかなとも思ったのですが
ざっと「新人物文庫」を見ると
やはり非常に興味深そうな本が多くてですね
ついポチっとしたのが本書でした。
もう一つの理由は
私自身のマネジメント力を上げたくて
名将と言えそうな2人ですし、
戦争という非日常、
いやそれどころか命を懸けた日々なわけで
そういう究極の厳しい状況の中で
一刻の猶予もなく決断を下していかねばならないのですから
そこには学ぶものが大だろうと考えたのです。
期待に沿うのかはわかりませんけど
メッチャ気合いを入れて読み始めたのでした。
目次
・両司令部の陣容
・マカロフ長官謀殺対珊瑚海海戦
・戦艦「初瀬」「八島」沈没対ミッドウェー海戦
感想
個人的にはかなり満足の内容です。
た・ただですね、
山本五十六のファンの方は
本書は読まないほうがいいです。
著者はあまり山本五十六を買っていないどころか、
かなり否定的なんですね。
東郷平八郎をはじめとした
日露戦争当時の幹部に対しては
相当に好意的なのですが、
大東亜戦争における
山本五十六をはじめとした幹部に対しては
かなり否定的、批判をしています。
読み進めていけば
確かにそうかもと思えるのですが、
実は私自身も何を隠そう
山本五十六に対しては
かなり好意的に捉えておりまして
彼の名言などは実に勉強になると思っていました。
ちなみに下記の本なども
とても良い学びとなっていたのですね。
ただ、本書を読んで考えたのは
大らかで器が大きくて心が広くて
とても人間味に溢れた方であるのは間違いありませんが
連合艦隊司令長官としてはどうだったのか?と問われると
東郷平八郎のような厳格さ、
つまりリアリストとして
甘さがあったのかもしれないなと思えてきました。
わかりやすく言うと
リーダーとしては申し分のない人物だったけど
マネージャーとしては問題があったのかもしれないなと。
腹心の部下にマネジメントに長けた人を
招き入れるなどできていれば良かったのでしょうけど
わりと自分と似たタイプの人を近づけてしまったのかな。
戦争とは超が付くほどのリアルな世界であり、
そこには人の生死が掛かっているのですね。
いくら人間として優れていても
そこに必要なスキルは厳格さであり、
徹底したリアリズムなのでしょう。
本書を読む限りは
東郷平八郎にはそれがあり、
山本五十六には欠けていたことがよくわかります。
まあこれは山本個人の問題というよりも
時代の流れ、時代の要請、時代の求めであり、
任命責任もあるわけですけど
生まれた時代が異なれば
もっと高評価を受けていい人なのだろうと思いました。
ちなみに東郷平八郎の本は
読んだことがあるかと調べてみましたら
司馬遼太郎さんの著書に取り上げられており
そこでは触れていました。
ただ日露戦争の本と言えば
あまりにも有名ですよね。
私は確か20代後半の頃に
むさぼるように読んだ覚えがありますが、
これは本書でも東郷平八郎とともに
かなりの分量で取り上げられていますが、
秋山真之が印象的でした。
東郷平八郎が勝ち戦ができたのは
秋山真之の存在があったからこそとも言え、
山本五十六にはいなかったということなのですね。
さて、本書の基本的なスタンスは
勝つ司令部と負ける司令部を明らかにして
そのノウハウから現代社会を生き抜く術を手に入れようという
そんなスタンスではないかと思います。
勝つ司令部=東郷平八郎であり
負ける司令部=山本五十六ではあるのですが、
そこは著者の主張が強くなり過ぎないように
東郷でも失敗は糾弾していますし
山本でも良い点は良いと認めています。
ただ全般的な方向性としては
東郷に対しては拍手を送り、
山本に対しては批判的です。
世間的には山本五十六のイメージがいいので
どうやら著者はそれに納得が行っていないようです。
また偶然にも先日読んだばかりなのですが、
下記の「失敗の本質」の主張にも不満があるようで
一部では強烈に反論をしていたりします。
結構、売れた本らしいので
やっかみも半分あるかもしれませんが(苦笑)、
いえ著者はかなり真面目な方のようですので
それは違うだろう!と論戦を挑んでいます。
そんなところも微笑ましく、
著者には好感が持てました。
最後に、本書を読もうと思った私の目的としては
命のかかった究極の場面だからこそ
マネジメントや経営に学ぶところがあるのではないか?
そう考えていたのですが、
まだ言語化するには少し早い気もしますが
やはりそこには「何か」があるように感じました。
前述したように
山本のリーダーシップや人間力と
東郷の厳格さとマネジメント力は
もし同一人物が持ち合わせることができたのなら
最高の人物になれると思うのです。
そんな完璧な人間なんていないんですけど
目指すべき目標設定としてはいいかもしれません。
どちらかと言えば
私は山本五十六に近いタイプだと思いますので
もう少し東郷なり秋山から学ぶべきだな。
そんなことを考えました。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
いろいろな見方ができるとは思いますが、
やはり事件は現場で起きているではないですけど
どれだけ現場と同調できるのか?
ここがトップとして機能できるかどうかなのですね。
東郷平八郎は危険を顧みずに
現場の最前線で指揮を執り、
山本五十六は安全地帯で
戦艦大和という高級ホテルで指揮を執りました。
挙句の果てには
ようやく最前線に出るかと思いきや
無線を米軍に傍受され
戦闘機に待ち伏せられて
死に至るわけですね。
時代が随分と違いますけれど
それでもトップの立ち居振る舞いとして
それはどうだったのか?
やはり結果が示しているのかもしれません。
生き様というか、生き方として
とても勉強になりました。
それでは、また…。
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