ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

医療貧国ニッポン 「より手厚く、より安く」が国を滅ぼす

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私は医療業界の端っこで仕事をしていますし、

毎日のようにドクターの皆さんとお会いして

様々なお話しをしていますから

当然、医療に対しての興味は高いです。

 

今までも何百冊という本を読んできていますし、

それなりの知識を持っているとは思いますが

終わりのないのが医療の世界です。

 

しかも本来であれば

私たち1人1人に密着するものであり

もっと多くの人が医療を学び

基本的な知識を身に付けたほうがいいとも思います。

 

そうしないと社会保険料は上がるばかりですし、

医師に的確に診療してもらうコツを知らないと

自分が損をすることになりかねません。

 

その意味では私のポジションというのは

少しだけ医療を知っている一般人ですので、

これからも多くの書籍を読み、

よい情報発信ができたらいいなと考えています。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 医療貧国ニッポン 「より手厚く、より安く」が国を滅ぼす 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 医療貧国ニッポン 「より手厚く、より安く」が国を滅ぼす 』

奥 真也 PHP新書 を読みました。

 

放っておいても

医療本は読んでいるのですが、

最近は学びたいことがあまりにも多くなってきて

油断するといつの間にか少し離れてしまうことがあります。

 

仕事柄でもありますので

意識を高く持って勉強せねばと自戒しています。

 

本書を執筆した奥真也先生は

1度だけお目に掛かったことがありまして

一応、有難いことに面識があるのですね。

 

ちょうどその頃に奥先生が書かれたのが

こちらでした。

 

ka162701.hatenablog.com

 

この本もとても面白く

大変に勉強になりました。

 

奥先生の文体は柔らかく

実に読みやすいのが特徴だと思っていますが

今回の作品は医療貧国ニッポンですからね。

 

え?結構、強烈に批判しちゃったりするのか?と

多少に心配になりながらも

きっと良い勉強になるだろうと思い

楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

第1章 “医療とお金”の大問題

    ー増大する医療費、輻輳する課題

 

第2章 “医者と患者”の大問題

    ーニッポンの医療現場で起きている困った現実

 

第3章 “医者と病院”の大問題

    ー「よい医者」「よい医療」とは何かを考える

 

第4章 “医者の働き方”の大問題

    ー医師たちの働き方改革は進むのか

 

第5章 “医学部”の大問題

    ー医学・医療教育のいまとこれから

 

第6章 “ヘルスリテラシー”の大問題

    ーこれからの医療との向き合い方

 

第7章 “長寿化”の大問題

    ー「老い」と「死」にどう向き合うか

 

感想

心配は杞憂に終わりました。

 

さすがの奥先生。

厳しい視点を持ちながらも

暖かくオブラートに包みこみながら

事実を淡々と指摘してくれています。

 

上記の目次をご覧になるとわかりますが、

まさに日本の医療が抱える問題、課題を

相当に幅広く網羅しており、

本書は医療に関心のある人にとっては

読みやすくわかりやすい入門書として

とても有意義なものになるんじゃないかと思いました。

 

弊社におきましては

社員に対して課題図書としておススメをいたしました。

 

何でもそうですけど

相手を悪者にしてしまうって簡単じゃないですか。

 

医療業界、これは医療機関であり、

医師をはじめとした医療従事者や

また医療制度、保険制度など

文句をつけようと思えば

いくらでもつけられるわけですね。

 

ところが私たち日本人は

むしろフリーアクセスや国民皆保険制度など

諸外国と比較すればかなり恵まれた環境なのですよね。

 

国の予算が痛むくらいに

お金も投入されているわけです。

 

もちろん医療側にも課題は多いですが、

それにしても相当に素晴らしい厚遇であることは

間違いありません。

 

それなのに権利意識を丸出しにして

暴言や暴力を奮う人が増えてきて、

モンスターペイシェント化しているのですね。

 

これは医療現場だけではなく、

社会のあちこちで散見されることではありますが、

実に嘆かわしい事態であると思います。

 

私たち一般人にもできることはありますし、

もっとヘルスリテラシーを高めて

良い患者が増えてくれば

私たちも医療従事者も

今よりずっと良くなるでしょう。

 

本書はですね、

とても平易に書かれており

もっと良くなる医療現場について

スッと理解ができます。

 

是非とも多くの方々に手に取っていただき、

医療業界の課題にはこういうものがあるのだな…

医療現場はこういうことで困ってるんだな…

医師や看護師や薬剤師の現状はこうなんだな…

医学教育にはこんな問題があるんだな…

私たちにはこういう部分で協力できるんだな…と

我が国の医療の現実を知っていただきたいです。

 

そもそも私たち人間の心身は

まだ解明されていないことも多いのに

なぜ治らないんだ!と逆上しても

無理なものは無理としか言いようがないですよね。

 

こんな常識すら理解できていない人が

大声を荒げて、暴力を奮おうとするなんて言語道断です。

 

いや、それどころか、

訪問診療の現場では医療者を監禁するとか、

殺人を犯すような輩までいるわけです。

 

これではおちおち診療もしてられませんよね。

でもこれが現実なんです。

 

コロナ禍の3年間を振り返ってみても

常識の通用しない

とんでもない患者たちが日本全国で続出しました。

 

また医療従事者の家族に対して

心無い言葉をぶつけた人もいました。

 

その一方で医療現場で奮闘する医療従事者たちに

大きな感謝の思いを持った方もいますし、

心からのエールを送った人もいますね。

 

もし医療機関がなかったら…

医療が機能しなくなったら…

私たちの生活が脅かされてしまい

経済にも多大な悪影響が出ることを

私たちはこのコロナ禍で学んだはずですよね。

 

それなのに「公」という発想を持たずに

「私」のことばかり要求していたら

全体が沈んでしまいますよ。

 

私は「医療」を国家の根幹であると考えています。

 

そりゃそうです。

国民の多くが病気やケガを負っていたら

国全体の発展が覚束ないどころか

大いに足を引っ張ってしまいますよね。

 

であるならば私たちはもっと医療を

大事にすべきではないでしょうか?

 

まさに相互扶助であり、

「One for All, All for One」であるべきですし、

それが1人1人に返ってくるのですよね。

 

そして医療現場で奮闘する医療従事者の皆さんを

私は国家の「宝」であると考えています。

 

まあなかには時々ニュースで取り上げられてしまうような

ロクでもない人もいるにはいるでしょう。

 

でも大半の方は

人を救う、助ける、癒すことに真摯に立ち向かい、

美学を持って医療現場に立ち続けてくれています。

 

医療に100%治すなんてあり得ないのに

その可能性を1%でも上げるために

日頃から絶え間ない研鑽と努力をされていて、

最善を尽くしてくれているわけです。

 

それをクレームや暴言や暴力をぶつけるなんて

私には許し難いです。

 

本書を読んで

こんなことを考えました。

 

日本の医療には多くの問題や課題がありますが、

それを乗り越えられるかどうかは

私たち国民全体に掛かっているのでしょうね。

 

医療現場に丸投げしていては

ただの責任放棄でしかないと思います。

 

聞いていますか?

厚労省のお役人や政治家の皆さん。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

医療本も随分と読んできた私ですが、

そのなかでも高評価を与えることができる良書です。

 

仮に本書を日本人の多くが読んでくれれば

きっと日本の医療は劇的に良くなるんじゃないかな。

 

そう思えるほどに

多角的に、多面的に、

わかりやすく、読みやすく、書かれています。

 

国民皆保険制度が崩壊し、

医療機関に罹れなくなってから

後悔しても確実に遅いです。

 

今から私たち1人1人が

すべきことがあるのだと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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