ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

座右の書「貞観政要」出口治明 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私は歴史が好きですし、

今までもずっと自分なりに学び続けているつもりです。

 

ただ…

子供の頃から日本史は好きで

どの時代も興味津々なんです。

 

では世界史はどうかと言うと

ヨーロッパにしても、北中南米にしても、

アジア、アフリカともに

とても関心が高いです。

 

いえ、別に歴史だけではなく、

地理的にも、現代社会学としても

知りたいことがたくさんあります。

 

ところがですね、

なぜか中国に関してだけは苦手意識がありまして

あの三国志ですら詳しくありません。

 

現代史や、哲学や倫理、偉人など

興味深いとは思うものの

なぜか今まで若干敬遠ぎみなんですよね…。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 座右の書「貞観政要出口治明

  中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 座右の書「貞観政要出口治明

  中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』

出口 治明 角川書店 を読みました。

 

貞観政要…。

 

実は30代後半くらいの時に

1度読んだことがあります。

 

確かこれだったかと記憶しています。

 

www.kinokuniya.co.jp

 

ちょうど私が最初に社長になった頃で

きっと藁にもすがる思いで

不安を打ち消したくて

世界の名著とも言える本書に辿り着いたのでしょう。

 

初めて読んだ貞観政要は衝撃でした。

こ・この本はスゲー!と素直に思いました。

 

それから10数年の時が経ち…

スゲー本だったという思い出しか残っておらず

もう1度の読み返しが必要じゃないかと思いまして…。

 

ちょうどfacebookでも

ある医師が貞観政要を話題にされたこともあり、

同じ本を再読するのもいいですが、

あえて変化球はないかと辿り着いたのが本書でした。

 

出口治明さんは

歴史家と遜色ないくらいの知識をお持ちですし、

名経営者と言っても過言ではない方ですので

いったい貞観政要をどのように解釈しているのか、

素直に興味が持てたのですね。

 

ちなみに出口さんの著書は

今まで下記を読んでおります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

対談や共著でして

出口さんが丸々執筆した本は

私にとっても初体験です。

 

リーダー論として、

経営論としてきっと良い学びができるだろうと

大きな期待を持ってしまいましたし、

10数年ぶりの貞観政要

私に何を与えてくれるのか?

かなり楽しみにして読み始めたのでした。

 

目次

序章 「世界最高のリーダー論」はどうして生まれたか

    ーものごとの「背景」を押さえる

 

第1章 リーダーは「器」を大きくしようとせずに、中身を捨てなさい

    ー「権限の感覚」と「秩序の感覚」

 

第2章 「部下の小言を聞き続ける」という能力

    ー「諫言」の重要性を知る

 

第3章 「いい決断」ができる人は、頭の中に「時間軸」がある

    ー「謙虚に思考」し、「正しく行動」する

 

第4章 「思いつきの指示」は部下に必ず見抜かれる

    ー「信」と「誠」がある人が人を動かす

 

第5章 伝家の宝刀は「抜かない」ほうが怖い

    ー「チームの仕事」の重要なルール

 

第6章 有終の美は「自分」にかかっている

    ービジネスを「継続」していくために

 

感想

基本的なスタンスとしては

貞観政要に書かれていた

これは大事だと出口さんが感じたところを

現代社会に合わせて丁寧に解説をするという感じです。

 

よって多少なりとも

出口さんの価値観という

フィルターを通しての解説になりますが、

それでもポイントは掴めるのではないかと思いました。

 

だいたい中国の歴史を見ると

易姓革命が多いですから、

ひとつ間違えば一族郎党が命を落とすのですね。

 

統治すると言っても

善政を敷けばいいというものではなく、

命を懸けてせねばなりません。

 

それこそ織田信長みたいな人が

部下にも周辺にも多くいるようなイメージでしょうか。

 

いつ寝首を掻かれるかわかりませんから

硬軟合わせ持って

何が起きても当たり前のように対処するくらいの

したたかさが必要なんだと思います。

 

あくまでも出口さんが現代人として

イチ経営者として、イチリーダーとして

今風に貞観政要を解釈して

大事な点をピックアップしてくれています。

 

しかも貞観政要が書かれた

時代背景から丁寧に説明してくれているのですね。

 

実に読みやすく、わかりやすく、

貞観政要を解説してくれていますので、

これはリーダーになっている人、

これからリーダーになろうとする人にとっては

必読の書と言っていいかもしれません。

 

経営者はもちろんのこと、

管理職やこれからなる人には

素直におススメができます。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

リーダーを演じるとは、

自分のポジションに対して

深く自覚することです。

(中略)

自分の立ち位置を確認し、

それに見合った振る舞いを演じ続けていれば、

それはやがて、その人の本性になると思います。

(P.66)

 

別に偉いからリーダーになるわけではありません。

これは社長でも、院長でも、そうだと思うんです。

 

立場は人を作るとも言いますが、

トップリーダーを演じているうちに

本物のリーダーになっていくのだろうなということは

私の実体験としても同意できます。

 

君主が心に留めておくべき10の思慮(十思)と、

積むべき9の徳行(九徳)を太宗に説いています。

九徳は、孔子が編纂したとされる五経のひとつ

書経尚書)』に書かれている教えです。

 

【十思】

①「誠に能く欲す可きを見れば、

  則ち足るを知りて以て自ら戒むるを思ひ」

②「將に作す有らんとすれば、

  則ち止まるを知りて以て人を安んずるを思ひ」

③「高危を念へば、則ち謙沖にして自ら牧ふを思ひ」

④「滿溢を懼るれば、則ち江海の百川に下るを思ひ」

⑤「盤遊を樂しめば、則ち三驅以て度と爲すを思ひ」

⑥「懈怠を憂ふれば、則ち始を愼みて終を敬するを思ひ」

⑦「擁蔽を慮れば、則ち心を虚くして以て下を納るるを思ひ」

⑧「讒邪を懼るれば、即ち身を正しくして以て悪を黜くるを思ひ」

⑨「恩の加はる所は、即ち喜びに因りて以て賞を謬る無きを思ひ」

⑩「罰の及ぶ所は、則ち怒りに因りて刑を濫りにする無き思ふ」

 

【九徳】

①寛にして栗

②柔にして立

③愿にして恭

④乱にして敬

⑤擾にして毅

⑥直にして温

⑦簡にして廉

⑧剛にして塞

⑨彊にして義

(P.81~84)

 

この十思九徳は、

リーダーが常日頃から意識すべき

とても大事な思想ですので

本来は現代語訳や意味も書くべきですが、

膨大な量になりそうですので割愛します。

 

私もネットで調べてみたのですが

わかりやすく説明しているものもありますので

もしご興味が持てましたらそちらもどうぞ。

もちろん本書でも詳しく説明があります。

 

<参考>

koejima.com

 

上司の機能をひとことでいうと、

「人をまとめる」「方向を示す」という役割です。

今、どの方向に風が吹いているか、

社会がどの方向に変化しているかを見極め、

その変化に適した人材に任せる。

適材適所に人材を配置し、

チームとしてのパフォーマンスを上げる。

それが上司の役割です。

(P.94~95)

 

言葉にすると簡単ですが、

これを実行するのは難しいです。

でもしなければならないのがリーダーですね。

 

人の嗜好も、してほしいことも、

すべて違いますが、

してほしくないことはかなり共通しています。

仕事でいえば、

上司の思いつきや自己満足で

実際には生産性の向上に寄与しない

ムダな仕事をやらされることが、

その典型でしょう。

「相手が喜ぶことをする」という思いやりの一歩手前に、

「相手が嫌がることをしない」という思いやりがあります。

自分がされたくないことは、

相手にもしない、これが上に立つ人の最低限のルールです。

上に立つ人は、そのくらいの自制心を持つべきです。

(P.99)

 

勘違い管理職に聞かせてやりたいですね。

こういう最低限のことができないから

パワハラや過重労働がなくならないのでしょう。

 

私自身も自戒しなければなりませんが、

人間として間違えていますので

その先は出世しないんじゃないでしょうか?

 

人間は「見たいものしか見ない」、

あるいは

「見たいように都合よく現実の世界を変換してしまう」という

習性を持つ動物です。

(中略)

見たくないものを見ないのは、

人間に備わった自衛の手段からしれません。

なぜなら、見たくないものを見なければ、

それはなかったことと同じなので、

心の平静を保つことができるからです。

(P.104~105)

 

見るべきものは見る、

見なければならないものから目を背けないということも

逆説的に大事なのだろうなと思いました。

 

ま、見たくないということは

だいたいそこに書かれていることの予想が付きますよね。

心の平静のためにも

必要のないものはスルーすることも大切ですね。

 

上に立つ人が正しい判断をするためには、

何よりも心身の健康が大切です。

だからこそ、心をかき乱されないように、

情報の取捨選択をする必要があるのです。

上に立つ人は、知りたがり屋でも、

話したがり屋でもいけない。

(P.106)

 

自分の職掌範囲という意味でも、

相手のエリアを汚さないという意味でも、

こういう考え方はリーダーに必須ですね。

 

さみしがり屋や、かまってちゃんは

リーダーに不適格でしょうか。

 

社内の不安定の種は

どこから生まれるかといえば、

暇な職員からです。

(中略)

部下に仕事を与えるのは、

上司の愛情です。

(P.188)

 

これもマネジメントでしょうか。

好き嫌いとかではなく、

仕事をする仲間として

適切な業務分担は必要ですね。

 

部下が自分のことを信頼してくれているから、

自分も部下を信頼するのではありません。

順番が逆です。

上司が部下を信頼するから、

部下は上司を信頼してくれるのです。

この秩序の感覚はリーダーにとって、

とても大切なセンスだと僕は思っています。

(P.201~202)

 

おっしゃる通りですね。

単なる上司、部下の関係だけでなく

人間関係とは信頼をベースに成り立つわけですし、

別にリーダー云々ではなく、

人として持っておくべきだろうなと思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

貞観政要に久しぶりに触れてみて思ったのは、

本書のあとがきにも書かれていましたが、

これは経営者やリーダーだけでなく

上司に対してどう接するべきかという

部下側の発想についても書かれている点が

素晴らしいと思いました。

 

実際に経営者や幹部に対して

どう接すればいいのか悩んでいる

若手社員も少なくないと思うんです。

 

そりゃ上司側に問題があって

器が小さかったり、

聞く耳を持たなかったりすることも

決して少なくないことでしょう。

 

ただいい上司であれば

そこは聞き入れてもらえるはずです。

 

ある種の見極めの参考にもなるかもしれませんね。

 

つくづく人間とは難しいものだなと思いました。

それだけに面白いものでもありますね。

 

それでは、また…。

 

 

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