おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
自由とは何でしょうか?
はい、自由とはかくかくしかじかで…と
すぐに答えを出せる人は
そう多くないんじゃないでしょうか?
もともと我が国は戦後にアメリカから
自由を与えられたとも言われており、
自分たちで勝ち取ったわけではありませんので
自由に対しての価値を
あまり意識していないとも言われたりしますね。
いったい我が国に自由はあるのでしょうか?
資本主義社会に自由はあるのでしょうか?
いろいろ思うところもありまして
本書を見つけた時には即購入をしました。
今回ご紹介する書籍は、
【 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ 】 です。
本書をピックアップした理由
『 君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ 』
内田 樹 ウスビ・サコ 中公新書ラクレ を読みました。
まあ例の如く内田さんの著書は
もうそれだけで読むんですけど(笑)
ウスビ・サコさん?ん、誰?とは思いました。
ただ内田さんが選んだ対談相手なら
それだけでも知るべき人物だと思っていますし、
むしろ存じ上げない方だけに
興味深いというところもあります。
そして本書のタイトルがスゴイですよね。
自由論はわかります。
大いに語るべきですし、
若い方々に対して今この時代だからこそ
自由について考えてもらうことには
大きな価値があることでしょう。
ただゲリラ的な学びってのは
ん~、どんな学び?と頭の中が
クエスチョンだらけになりました。
むしろこれくらいの状態で読み始めたほうがいいのが
内田さんの本だと思います。
どんな内容になっているのか
メチャクチャ楽しみにして読み始めたのでした。
目次
1章 「だらだらする」ということ
2章 教育は「ゲリラ」だ
3章 将来は「なんとなく」決めるべし
4章 自由にはある種の「毒」がある
5章 君たちは「不自由な世界」をいかに生くべきか?
感想
いや~、期待通り…どころか、
期待を大幅に超える素晴らしい本でした。
是非とも多くの方に読んでいただきたいですが、
特に10代、20代、30代の若い方々には
超絶おススメをいたします。
もし現代社会に不満があり、
将来に不安を感じているならば
その理由や今後どうすべきかのヒントが
本書には散りばめられています。
50代の私ですら
興奮しながら読みましたし、
そうだ、そうだと納得できるところが多かったです。
内田さんの理論はこれ以上ないほどに完璧で
サコ先生の生い立ちや生き方が
それをさらに輝かせてくれています。
サコ先生は京都精華大学の学長を経験した
マリ人ということで
これがまた日本人らしさを
客観的に見つめることのできる存在です。
このお2人の対談は実に面白く、
また深く考えさせられました。
教育論を戦わせながらも
話しはそこで止まらずに、
私には人生論としても
キャリア論としても
社会学、哲学、人類学など
とてつもない幅広い知見がここにはあるように感じました。
本書を読まねば
これからの時代をサバイバルすることはできないんじゃないか?
そう思えるほどに有益な話しが満載です。
騙されたと思って
是非ともこの本はお手に取って欲しいです。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
これからの社会で活躍するためには、
問いを立てられる力、
課題に直面した時に本質を問う力が必要なのです。
「問い」が立てられて、その原点に立ち戻る。
(P.14)
私もそう思います。
安易に答えばかりを欲しがっていて
得た答えにすがりつく傾向が強い昨今ですが、
問いのない答えって
誰かの受け売りであることが多いですよね。
まずは自分で問いを立てる。
そして自分らしい答えを見つける。
このプロセスが必要ではないでしょうか。
日本の子供たちは今、
学校教育の中で、マジョリティの中に紛れ込み、
「みんなと同じ表情」」をすることで、
身の安全を図ろうとしている。
そうやって、豊かな表情や多様な視点を捨てている。
そのことに僕は危機感を覚えました。
(P.24~25)
昔からよく言われますけど
我が国の「同調圧力」は
こうして醸成されてしまうのですよね。
昔みたいに公務員や
サラリーマンを育成する時代じゃないんだから
教育から見直さねばなりませんよね。
文部科学省には無理だろうな…。
ふるいにかけるというのは、
ある大きさのものを選別する、
つまり均質化することですよね。
そこで拾われた人は、
どこに入れても使える汎用性のある人です。
日本の近代化というのは
そういう部品のような人間、
ジェネラリストをつくることに
他ならなかったわけです。
(P.38)
身に詰まされますね。
ひと頃はこれが機能して
これだけの先進国になれたわけですけど
バブル崩壊以降は
一向に機能しなくなってしまい
今では先進国からずり落ちそうになっている。
部品のような人間が不要なわけではないけど
多数派を変えていかねばなりません。
未来はどんどん分岐していきます。
ですから生物としては、
多くの分岐を萌芽的に含んでいるような位置に立っている時に
気持ちが落ち着くはずなんです。
「これしかない。これ以外のことが起きたらおしまい」というのが
一番弱い。
「何が起きても、なんとかなる」というのが強い。
未来の選択肢が減れば減るほど、
生物は恐怖を覚えるはずなんです。
逆に「これだけ選択肢がある」と思えれば、
この先何があるかわからないけれど、
それほど怖がる必要はない。
それは生き物として皮膚感覚で直感できるものだと思うんですよ。
(P.44~45)
先行き不透明な時代を読む。
まさにこういうことだと思うんですよ。
ここに正解なんてないのです。
ただあるのは失敗しないというノウハウなんですよね。
これはキャリア論としても
人生論としても通じる大事な考え方ではないでしょうか。
問題は、僕たちの社会では
すべての制度が「人口増・経済成長」を前提に
設計されているということです。
これまでずっとそうだったのですから当然ですけれども、
もう人口は増えないし、経済も成長しません。
その前代未聞の条件を勘定に入れて
制度をつくり替えなければならない。
(P.83)
おっしゃる通り!
ここですよ、ここ。
だから旧態依然とした我が国の制度では
何をやっても上手く行かないわけですね。
自民党政権も作り直し、
官僚制度も作り直し、
会社なんてすべて作り直し、
インフラも、教育も、医療も、何もかも
すべて作り直し。
それができなければ
私たちの暮らしはどんどん悪化するでしょうね。
知人の医療経済学者によると、
今アメリカには、
主な雇用の創出先が政府機関と病院と大学の三つという
地方都市が結構あるのだそうです。
(中略)
つまり、行政機関と病院と大学があるだけで、
小さな都市なら経済的に自立できる。
もしかすると、
これがこれから先の雇用のひとつのモデルになるかもしれません。
どの業種が雇用を創り出すのかは時代とともに変化します。
21世紀になって雇用が増えそうなのが、
今挙げた医療と教育と行政の三つです。
(P.103)
アメリカの現実としてはそうなのでしょう。
ただ日本がどうなるかはちょっとわかりません。
なぜなら政府にその現実的な視点がなく、
票を多くくれるところに
優先的に貴重な資源を注いでますから。
僕はその「理由はわからないけれど、
このテーマで研究したい気がする」というのは
とても大切な手がかりだと思います。
どうして自分は「こんなこと」について
調べたい気になったのか、
それは誰も教えてくれない。
自分で考えるしかない。
人が「天職」に出会うのはだいたいそういうものです。
「なんとなく」「もののはずみで」「図らずも」
就いた仕事が気がついたら生涯の仕事になっていた、
というのはよくあることです。
(P.105)
20年以上も転職支援の仕事をしている私ですが、
これは素直に同意できます。
前述の医療、教育、行政が
有利そうだからという考えを持つのではなく
何でもやってみて、自分が心地良い仕事をするのが
間違いのないキャリアの選択ではないかと思います。
僕は「友愛」を個人的な「親切」というふうに
読み替えたらいいんじゃないかと思っているんです。
だから、僕は親切ということをとても大切に考えています。
「人に親切にする」ということと
「集団の和」を求めるとか
「絆」や「一体感」を求めるということは別のことです。
でも、親切で自由の暴走を抑制することはできる。
(P.144)
このあたりは実に勉強になりました。
フランス革命の「自由・平等・友愛」と
アメリカの建国の考え方との相違。
国の設計、国柄、そういうものについて
実に考えさせられました。
今、ゲゼルシャフト
(学校や企業など、なんらかの目的のために結成された組織)と
ゲマインシャフト(血縁や地縁など自然発生的な共同体)のことを
おっしゃいましたが、もうひとつ、
ゲノッセンシャフトという集団があります。
これは英語の「アソシエーション」と同義のドイツ語です。
生まれた瞬間から縛られる地縁結合共同体や血縁共同体とは違い、
非常に親密でありながら
個人の自由で任意に参加できる共同体のことです。
かつてのコミューンやコモンのような、
ひとつの運命を共にするタイプの村落共同体を
これから再構築するのは難しいと思いますが、
それに代わるものとして、
「新しい公共」、「新しいコミューン」、
「新しいゲノッセンシャフト」を
21世紀の若者たちは手づくりしていく必要がある。
出来合いのものはありませんから、
手づくりしていくしかない。
(P.149)
非常に面白いですね。
組織や団体、人の集まり自体の
根本的な思想が変わっていくのですね。
今までのように自然発生的なものではなく、
意識的に手づくりしていくと。
人類の進化が必要な気がします。
ひとつのことを一生懸命突き詰めるのも大事ですが、
複数の分野について専門的知見を有しているというのも
研究者の能力として認定してよいと思うんです。
それは確かに単一領域でのランキングにはなじみませんけれども、
複数の領域をクロスさせないとわからないことだってある。
そういう場合には「何が専門かわからない人間」が
役に立つことだってあると思うんです。
(P.174)
これも腑に落ちました。
要は図る定規から変えねばならないのですね。
ひと昔前の高評価は現代では高評価ではない。
しかしひと昔前の高評価の人が
我が身可愛さで定規を変えない。
それが現代日本の現状でしょうか。
既得権益を持つ人を早く引退させなきゃいけませんね。
ガッポリお金をあげて引退させましょう。
どうせ自分だけ上手く生き延びることしか考えてないし、
後世のことなんか
これっぽっちも考えていないのですから。
日本の組織においては、
上司が部下に対して最初にするのは
「仕事を指示すること」ではなくて、
「マウンティングすること」なんです。
目下の人間にまず屈辱感を与えて、
「この人には逆らえない」と思い知らせることが
あらゆる業務に優先する。
そんな集団が効率的に機能すると思いますか?
(P.212)
もちろん思いませんよね。
そしてもう30年も、40年もこんなことを続けてきて
あらゆる組織が金属疲労を起こして
上手く運営できていないわけじゃないですか?
こういうのを「クソ」と言うんです。
ただ若い方には是非頭に入れていただきたいのですが、
この人たちの持つ伝統と既得権は強いですよ。
文句を言うだけでは適いっこありません。
だから圧倒的な実力をつけるしかないんです。
黙らせるしかないんです。
私はもういい年ですけど
ある部分では先頭に立ち、
ある部分では支えになろうと思ってます。
評価
おススメ度は ★★★★★ と文句なしの満点です。
本書はすべての日本人に読んでいただきたい。
そうしないとこの国は絶望的な状態に陥るでしょう。
権力者は自分たちだけ良い目に合うために
ずっと嘘を付き続けています。
その嘘を見破り、
権力を引きはがし、
新たな世界を作っていくためにも
本書に書かれている内容は
必ず武器になるのではないかと感じました。
それでは、また…。
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