おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私の読書は
新刊にこだわりが全くありません。
自分の興味があるものに
素直に従うようにしています。
当ブログの読者様はご存知の通り、
10年前でも、50年前でも、100年前でも
読みたいものは読むというスタンスです。
しかしごく稀に新刊を読むことがあります。
最近ですとSNSが情報源となることが多いでしょうか。
興味が持てるとすぐにポチってしちゃいます。
本書は確かtwitterだったでしょうか。
外科医の先生がおススメしていて興味を持ちました。
今回ご紹介する書籍は、
【 SKILL 一流の外科医が実践する修練の法則 】 です。
本書をピックアップした理由
『 SKILL 一流の外科医が実践する修練の法則 』
クリストファー・S・アーマッド メジカルビュー社 を読みました。
別に私は一流の外科医を目指しているわけではありませんし、
(当たり前)
外科系の先生とはよくお会いしますけど
手術の詳しい話しをすることもあんまりなく、
どちらかと言うとキャリアの話しばかりしていますので
本書を読まねばならない理由があったわけではないのですが、
この帯を見て、
本書は学びになるという勘が働いたのです。
外科医が一流になるプロセス。
それはビジネスパーソンでも
プロスポーツ選手でも
芸術家や技術者などでも
何か共通することがあると思ったのですね。
あとは松井秀喜氏が推薦というのも
結構、気になりました。
あんまりこういう宣伝広告をしない方ですから
それでも松井が出てきたということは
やはり学ぶべきことが多いのではないかと思ったのです。
実はそれ以外にも、
以前にメジカルビュー社さんとやり取りをしたこともあり、
諸々の状況を鑑みて
これは読むべきだよね…と思い手に取りました。
目次
Part 2 スキルの向上
Part 3 マスターの域への到達
Part 4 そのほかの考察
おわりに
感想
私の予感は当たりました。
とても勉強になりましたし、
楽しく読むことができました。
本書は「スキル獲得の原則」を
著者が外科医であることから、
しかもあのヤンキースのチームドクター長を務めていますので
(それで松井秀喜がコメントを寄せたのですね)
医師として、手術をする外科医として、
若手の医療者へのアドバイスが中心ではあるのですが、
表現力が高く、また事例を多く散りばめていますので
どんな職業の方でも
成長意欲が高い人には
とても勉強になるのではないかと思います。
まさに「一流を目指す人たちへのギフト」です。
とは言え、面白かったのは、
著者はアメリカ人ですし、
ましてドクターですから
もっとテクニカルな話しが多いのかと思いきや
意外や意外、
何と根性論や、精神論が多いのです。
古臭い理不尽な体育会系の主張ではありませんが、
物の考え方や、やっぱりメンタル面も大事なのですね。
それがあっての技術論ともいえ
やはりある種の根性論はベースにあったほうが良さそうです。
また、本書はキャリア論や、
人生論としても秀逸なアドバイスをくれています。
ここに書かれていることを実践したら
きっと今より良いキャリアや人生が手に入るのだろうな。
私は素直にそう思いました。
早速、私自身も本書で学んだことを
仕事上で、また人生を豊かにするためにも
参考にして精進し続けたいと強く感じました。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
進歩するためには、
適切な目標設定が不可欠です。
客観的な目標を設定できず挫折してしまう外科医や、
目標は持っているものの、
その目標を達成するための具体的な方法や
プロセスを確立していない外科医は多くいます。
才能のある外科医は目標を詳細に設定し、
それを達成するためのプランが明確です。
さらに優秀な外科医は具体的な目標、プロセス、
目標を達成するまでのタイムラインを考えつつ、
多くの場合、
さらにその次の目標まで併せ持っているものです。
(中略)
「夢」と「目標」を区別することは重要です。
夢とは最終的に到達したい場所で、
目標はそこに到達するための方法です。
(P.20)
これは別に外科医に限定する話しではなく
内科医など他のドクターも同様でしょうし、
医師以外のあらゆる職業にも言えることではないでしょうか。
私の専門でもあるキャリア論としても
非常にわかりやすく有用ですし、
人生、つまり生き方や考え方としても秀逸ですよね。
優秀な人は日常的に実践していますし、
そうでない方はここから始めるのが良いと思います。
どのような分野であれ、
才能を開花させるのはハードスキルと
ソフトスキルの両方が必要です。
(中略)
スポーツを始めたばかりのころは
ハードスキルが優先されます。
テクニックがすべてなのです。
多くの才能あるスポーツ選手や音楽家は、
キャリアを積んでもなお基本練習を欠かさず、
子どものころに行っていたものと同じ
基礎トレーニングを行います。
(中略)
「外科医にとって解剖学の知識ほど行動を変えるものはない」
という言葉があります。
外科手術の基本は、解剖学の総合的な知識に基づいています。
(P.30)
外科医と解剖学の箇所については
私には想像の域を出ないのですが、
言いたいことについては諸手を挙げて賛成します。
ハードスキルもソフトスキルも
突き詰めると基本の積み重ねですね。
意識をしなくても
自動的に身体が、心が、動くようなレベル。
それが本物であり、
プロフェッショナルなのでしょうね。
一人で練習することで、
何を練習することが最も重要かを
自ら決める自主性が生まれます。
多くの場合、
自分の最大の弱点をなくしたり減らしたりすること、
そして最も重要だと思われることとの
バランスをとることが重要です。
(中略)
「チャンピオンとは、誰も見ていないところで、
前のめりになり汗びっしょりになって、
くたくたになるまでやるような人物である。」
(P.45)
天才こそ隠れたところで努力をしているものです。
結局、何か特別な才能があっただけではなく、
その才能を徹底的に磨いたからこその天才なんですよね。
スゴイ人ほど陰で努力をしているように思います。
スキルを構成する最も小さな要素で、
習得できそうなものは何でしょうか?
その要素につながるほかの要素は何でしょうか?
どんなスキルを習得するにせよ、
パターンはいつも同じです。
全体を見る→最も単純な要素に分解する→それを元に戻す。
その繰り返しです。
一つの要素を練習してマスターしたら、
それに次の要素をつなげます。
(P.58~59)
この分解して練習するという考え方は
もっと若い頃に知りたかったなあ。
おそらくテクニカルなものでも
情緒的なものでも、
分解しなければ見えてこないものが多いような気がします。
経営状態が良い病院は、
経営状態の悪い病院よりも10倍もミスを報告していたのです。
さらに調査したところ、
本当に違いはミスをすること自体ではなく
(どの病院も御簾の量はほぼ同じでした)、
御簾を「報告する」ことにあったのです。
経営状態の良い病院はミスを議論と改善のチャンスと見なす、
オープンで透明性の高い方法で運営されていたのです。
一方、経営状態の悪い病院は、
恐怖、不安、沈黙に満ちていました。
従業員はミスを認めると「首が飛ぶ」と思っていました。
(P.82)
これは我が国の医療事故調査制度でも言われることですし、
ミスは必ずあるわけで、
ミスを責めるのではなく、
いかにミスから学び、改善するかが大事ですね。
勝者は、他人からエキスパートとみなされていても、
自分がまだどれほど学ばなければならないかを知っている。
敗者は、十分に学んで
自分がどれだけ知らないかを知るに至るより前に、
まず他人からエキスパートとみなされたがる。
(P.106)
ホントその通りだと思います。
人間は努力を止めた段階から堕落するんですよね。
そして堕落していることにすら気づかず、
後世に無視されます。
いくつになっても成長しないといけません。
若い頃の成長とは違う形で…。
高いレベルの達成への道は険しいものです。
未熟であるうちは成長できます。
成熟した途端に腐敗が始まります。
探求をやめたとき、
成長は止まります。
(P.141)
電車の中で周囲を見渡しても
勉強に集中している中高年者なんて
あんまり見ないですよね。
一方で夕方以降にスタバに行くと
物凄く勉強している若者たちが多いです。
年長者が勉強せずに
若者が勉強している。
まあごく小さな範囲だけで決めつけるのは
さすがにちょっと乱暴ですけどね
でもそういう傾向はあるのかもしれないなと
少し残念に思います。
上に立つ人間ほど勉強すべきですよね。
新しいものにチャレンジして
今までにない見識を公開すべきです。
と、自分にエールを送ります(笑)
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
医療の勉強にもなり、
自分を成長させるための術も手に入り、
スキルをどう獲得するのかまで教えてもらって
私にとっては非常に良い本でした。
ただ…
ただですね、
やはりこれは若手の外科医の先生が読むのが
最適なのだろうなと思います。
一部、私でもわからない医学用語がありましたし、
スポーツや芸術に例えて
わかりやすくはしてくれているのですけど
手術が上手くなるためには?というところは
医療者でないと実感できません。
もしくは若手医師を指導する外科の先生などは
手に取るように共感できるところもあると思います。
どうぞご参考になさって下さい。
それでは、また…。
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