おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
これは誰もが通る道だと思うのですが
ある年代までは学ぶ対象とか、
尊敬に値する人などは
大抵が年上の方でした。
ところが自分自身が年齢を経ると
いつの間にか対象が同年代になり、
あるところからは年下の方から学ぶことになります。
こんなところに
つまらないプライドを持ってもしょうがないですし、
年上とか同年代とか年下とか
そんなことよりもいいものはいいと考えて
貪欲に学んだほうが自分のためにもなりますね。
今回ご紹介する書籍は、
【 22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる 】 です。
本書をピックアップした理由
『 22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる 』
成田 悠輔 SB新書 を読みました。
以前に下記を読みました。
天才の1人として
成田悠輔さんの文章が紹介されており
大変に興味深く読みました。
その後、様々なメディアでもお見掛けするようになり
時々、世間を賑わせているようですね(苦笑)。
たまたま本書を見つけた時は
成田さんの主張は賛否両論はあるのだろうけど
考え方はユニークだし、
学ぶところは多そうだなと思い購入したのですね。
私より随分年下ですし、
若干、強烈な考え方もあるでしょうけど
それも含めて知っておくべきかなと考えて
楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
A.はじめに断言したいことい訳
B.要約
C.はじめに言い訳しておきたいこと
第1章 故障
第2章 闘争
政治家をいじる
メディアをいじる
選挙をいじる
UI/UXをいじる
第3章 逃走
第4章 構想
選挙なしの民主主義に向けて
民主主義とはデータの変換である
アルゴリズムで民主主義を自動化する
不完全な萌芽
政治家不要論
感想
う~ん、なるほど。
ある意味では斬新、そして激烈、
でも知っておくべき主張ですかね。
前回、マルクスについて学びましたが
少しマルクスの若い時に似た感じがあるでしょうか。
若かりし頃のマルクスのようなパワーを感じます。
私なんぞが語るようなものではなく、
いずれ歴史が判断するのかなと思いました。
基本的には「常識を疑う」という
成田さんらしいスタンスがここにはあり、
私から見ても実にユニークと思うところもあれば、
それはどうなの?と思うところもあり
でも世に問うという点では
こういう書籍や主張があってもいいかなと感じましたね。
10年後、20年後の成田さんの著書も読んでみたく
それまで健康で生きておきたいものです(笑)。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
経済と言えば「資本主義」、
政治と言えば「民主主義」。
勝者を放置して
徹底的に勝たせるのがうまい資本主義は、
それゆえ格差と敗者も生み出してしまう。
生まれてしまった弱者に声を与える仕組みが民主主義だ。
暴れ馬・資本主義に民主主義という手綱を掛け合わせることで、
世界の半分は営まれてきた。
(P.10)
こんなに簡潔に資本主義と民主主義を説明しているのは
さすが天才というところでしょうか。
私の中での疑問も
これでスッキリしました。
人類は世の初めから気づいていた。
人の能力や運や資源がおぞましく不平等なこと。
そして厄介なことに、
技術や知識や事業の革新局面においてこそ
不平等が大活躍すること。
したがって過激な不平等を否定するなら、
それは進歩と繁栄を否定し、
技術革新を否定する、
仮想現実に等しいことを。
(P.42)
みんな平等に不平等なんですよね。
不平等を隠してしまうほうが
むしろ平等に反するというか
不平等が拡大してしまうような気もします。
お金以外の価値感が薄い時代からこそ
不平等がお金という側面でしか見られていないけど
総合的に見ると意外と行って来いじゃないかな。
持つ者には特有の苦しみもありますし。
確かに、若者と老人の価値感のズレは人間の常である。
有名人の名言を取り上げるまでもなく、
親や上司、ご近所さんの子どもを
思い浮かべるだけで十分かもしれない。
そして、世代間の衝突は人類の原動力でもある。
歴史を塗り替えるのは
いつも「若くて無名で貧乏」(毛沢東)なひよっ子だ。
老害への怒りとさげすみを胸に革命を起こした若者は、
しかし、やがて自ら老害化し、
次の世代に葬り去られる。
私たちは「葬式のたびに進化する」というわけだ。
しかし、今世紀に入ったあたりから
何やら雲行きが怪しい。
若者の怒りが絶望に、
そして脱力に変わりつつあるように感じる。
(P.91)
ジェネレーションギャップは
いつの時代でも存在するものだから
そんなに気にしなくてもいい気がする。
老害を叩く風潮が強いですし、
私も非常識な高齢者に腹を立てることもありますが
みんないつかは年を取り、
その時の若者に老害と言われちゃうんですよね。
それが自然というものだから
高齢者も社会貢献することを考えればいいのにと思う。
それよりも若者の絶望とか、脱力とか、
諦めとか、そっちのほうが気になりますね。
Z世代は終わりの始まりなのかな。
早く脱皮しないと大変なことになりそうだけど
次の世代は意外とたくましかったりするのが
人間社会の面白いところです。
狭間のZ世代とか言われないように。
だが、今は環境が違う。
政策ごとに有権者が意志表明することもできるし、
その人にとって「重要じゃない」
「よくわからない」と思われる政策に
無駄な影響力を発揮しないように辞退したり、
信頼できる人に票を委ねたりする仕組みも可能だろう。
「ある政治家・政党に、すべてを任せる」という
昭和な固定観念を考え直す必要がある。
(P.117)
技術的には充分できるでしょうけど
今の政治や行政ではストップが掛かるでしょうか。
まずは政治家の引退年齢を定め、
官僚の天下りを完全に禁止して
企業献金をゼロにした暁には
実現に近づいていきますかね?
あと「昭和」でひと括りするのは止めて欲しいな。
意外と昭和生まれの人は
改革への意欲を持ってたりもするのだから。
そうじゃない老害な人もいるけどね。
世の中の仕組みや技術環境が大きく変わっているのに、
義務教育の中身はほとんど変わっておらず、
世界の行く末について
正しい判断をするための
基本的な脳のOSを提供する機能が働いていない。
追い打ちを掛けるのが教育の「過剰」だ。
米英の有権者を調べた研究によれば、
有権者は高学歴になるほど党派的で独善的になり、
議論と反省によって
意見を修正していく能力を失っていく傾向があるという。
学歴や知識が増すごとに
自分は正しいと思い込む傾向があることがその理由だ。
この頑固さは民主主義の基礎を脅かす。
(P.128)
まあ義務教育の形は
これから変えていかねばならないでしょうね。
意外と教育現場は頑張っていると思いますけど
文部科学省には無理でしょうか。
高学歴の人ほど頑固というのはどうかな?
そうではない人も多いし
学歴のない人でも頑固な人は多いし。
会議・街中などから染み出した民意データには
もちろん歪みがある。
だが、選挙での投票もまた、十分に歪んでいる。
情報に次ぐ情報を仕入れ、
熟慮に熟慮を重ね
高めた意識で心を決めて選択するという建前で、
その実テレビやSNSに垂れ流される
政治家の作り込まれた言葉遣いや表情に
誘導されていることを示す様々な証拠があるからだ。
この二つの歪みを無根拠に区別したがる心情は、
「人々の声を集約する大役は選挙しか許されない」という
既得権者的な差別意識でしかないだろう。
一般意思の規制緩和が求められている。
どこかに本当にまっさらで透明な「民意」や
「一般意思」があるという幻想を捨てる必要がある。
私たちにできるのは、
単一の完全無欠で歪みのない
民意抽出チャンネル・センサーを見つけることではない。
ましてや、選挙はそのようなチャンネルではない。
私たちにできるのは、
むしろ選挙やTwitterや監視カメラのような
個々のチャンネル・センサーへの過度の依存を避け、
無数のチャンネルにちょっとずつ依存することで、
特定の方向に歪みすぎるのを避けることだけだ。
(P.178~179)
本書では「選挙」に対して疑問を持ち、
選挙以外にどんなことが考えられるか?
選挙制度自体を変えられないか?
ダイナミックに変えるだけではなく
新たな取り組みをミックスできないか?など
とても興味深いアイデアがいくつも書かれていました。
それ、面白そう、やってみたいと思うようなものもあり
より良い政治、より良い国民の暮らしのためには
やはり選挙制度から変えていかねばならないでしょうね。
低コストで、効果的な改革は
ジワジワと行うことができるはずなのに
政治や行政を通すとできなくなる。
若者が絶望するような社会では
未来に蓋をするようなものですから
もっと権限委譲して
斬新なアイデアを実行していくべきですよね。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
政治改革は政治家にはできないし、
行政改革は官僚にはできないと思うんですよ。
でも権限を持たれてしまうと
どんなにいいアイデアでも通らないし
握り潰されるのがオチですよね。
きっと政治家のなかにも
優れたアイデアを持つ人もいるでしょうし、
官僚のなかにも
大胆かつ有効なアイデアを持つ人もいるでしょう。
そこに民間を加えれば
我が国だって生まれ変わることもできるはずです。
知恵とアイデア。
仕組みと構図・構造。
私は半径5メートルから
自分にできる改革をしてまいります。
それでは、また…。
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